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2007年11月21日
今週は、かなり遅くなってしまいましたが、8月19・20日の2日間にわたって開催された、恒例大テイスティング・イベント「FWOC」
今年は、このイベント初参加の新進ワイナリーを中心に、品種は特に限定せずにピックアップして回りました。 以下、印象に残ったワイナリーを記します。 (アルファベット順) |
Bask Cellars
06 Viognier |
2005年に設立されたばかりの新進ワイナリー。2年前の同イベントで、ヴィオ ニエばかり試飲して回りましたが、パソ・ロブレス地区、シエラ・フットヒル地区の ものと比較して、この「Suisun Valley」のヴィオニエが印象に残ったのを覚えて います。(「ススーン・ヴァレー」と読みます) 「BASK」というのは、ウエブサイトによると、「Brian And Sister Kristie」から 来ているそうですが、ボトル・フェイスのデザインが今風で目に留まり易いのが ナイス。 ヴィオニエ06、バブコック・ランチは、ほんの少しパンチに欠けるかなという気が しましたが、リフレッシングさは充分にあり、なかなか素敵なワインでした。 ブライアン(ワイン・メーカー)とクリスティさん兄弟コンビもナイスでした。 |
Black Cat
Vineyard 04
Syrah
|
1996年にペンシルベニアからナパ・ヴァレーに引っ越してこられたReichow一家。 ナパ・ヴァレーの南東に土地を買い、翌年97年から葡萄栽培開始。 当初は、Mi Sueno Wineryのローランドにフルーツを売っていて、今現在も 契約が 続いているとのこと。ローランドが見込んだものなら間違いないだろう、 という、 私個人的な思い入れもあって、初の市場リリースとなった04シラーを 楽しみにしていました。 胡椒風味たっぷり、ちょっとドライな、渋いシルバーグレイ紳士を思わせるシラー が 好みなのですが、ブラック・キャットのシラーはまさに、そのツボにはまり ました。 ナイス。 |
Black
Kite Cellars
05 & 06 Pinot Noir |
昨年の当レポートでも書きとめているワイナリー。北か南か、どちらかを選べと 言われたら、今は北のピノ・ノワールに、より心惹かれている状態であります。 で、アンダーソン・ヴァレーです。 ブラック・カイト・セラーズのピノ・ノワールは、いづれもKite's Restヴィンヤードの フルーツで造られていますが、複数ブロックのものをブレンドしたものと、 シングル・ブロックもの3種が出されています。 今回試飲したのは、昨年同様、05のブロック・ブレンド(2ブロック)。 どうも印象が薄いなあ、こんなワインだったかなあと首かしげ、正直に伝えたら、 机の下から、「もうすぐリリースの06年バレルのを飲んでみて」と出してこられ、 それも試飲。06年ものは、3ブロックのブレンドです。 大人っぽいフローラルな香り、そしてエレガントな味わい。 かなり気に入ってしまいました。 ちょっと前の号の「ワイン・スペクテーター」誌で、「Top12 Hot New Pinot Noir Producers」に選ばれていましたが、良かった、良かった。 |
Churchill
Cellars 04
& 05 Pinot Noir |
Ken & Susan Churchillご夫妻の、ワインへの愛情がひしひしと伝わってきます。 エステート・ヴィンヤードは、サステイナブル農法を採用、もぐら退治のために ふくろうを住みつかせておられます。 ラベルは、同じ名前の50年代イギリス首相ウインストン・チャーチル氏の似顔絵を 載せてありますが、この似顔絵が実にキュートに似ているから微笑ましい。 試飲は、ベラ・ルナ畑、単一畑もののピノ・ノワール、04と05年を頂きましたが、 個人的には、群を抜いて、05年が素晴らしかったです。 スモーキーで、ダーク・フルーツの風味がエレガントに広がる、フード・フレンド リーなピノ・ノワールとお見受けしました。 |
Cloud View Vineyard
04 Estate Red |
ここは新進ワイナリーではありませんが、04年の当レポートで初めてご紹介し、そのあと、ワイン メーカーのKarenさんとディナー・テーブルをご一緒したことも あり、無視して通り過ぎることが できない、「気になる」ワイナリーです。 04年以来毎年、このFWOCでクラウド・ヴューのワインを試飲しておりますが、 今回の04年ヴィンテージが今まで頂いた中で、一番素敵でした。 プリチャード・ヒルというマウンテン・カベルネを代表する土地からの赤ですが、何と言いますか、 限りなく、ふくよかでエレガント。 「フィネス」Finesseという言葉を「優雅、上品」と訳すのであれば、それがぴったりくるワインでした。 Linda & Leighton Taylorご夫妻もご健在そうで、何よりです。 |
Joseph Family Vineyards
04 Cabernet Sauvignon |
03年ヴィンテージが市場初リリースのワイナリー。ソノマ郡はアレキサンダー・ ヴァレーに 自分達のヴィンヤードを持っておられ、現在そこからのフルーツで、 カベルネ・ソーヴィニョンのみを、ほんの500ケースほどだけ生産しています。 当ワイナリーは、Jan Joseph一家と、Bill Esselstein一家の共同経営による もので、Janさんは、カリフォルニアに移り住む前は、ウオールストリートの某会社 のエグゼクティブでいらっしゃいました。その時に、東京に駐在していたことが おありのようで、一生懸命記憶に残る日本語を使って、私と会話をされており ました。 生産量500ケースほどなので、マーケティングに資金を投入して、市場に 打って出るというような野心はさほどないようで、「まあ、ボチボチやっていくさ」 的雰囲気が、妙に心に残るワインでありました。 ワイン・メーカーのScott Peterson氏は、S.P Drummerのワインメーカーでもあり、 そこが、ここのワインを試飲してみようと思い立った要因でした。 |
Modus
Operandi Cellars
04 Cabernet Sauvignon |
ダラスからナパに移り住み、レストランでのウエイターをしながら、ワインメーカー になる夢を実現化してきたJohn Moore氏のワイン。 04年ヴィンテージが記念すべき初のワインです。別の業界で富を得て、ナパや ソノマに畑を購入し、最新設備を 導入したワイナリーを建てるパターンが、 ごくごく一般的である昨今、何の経済的後ろ盾もなく、自分のワインを造り 市場に出すのは、本当に大変なことであります。 ナパに来てから、複数の「師」ともなるワインメーカーと出会い、「La Toque」 レストランでウエイターの職を得たことが、今日の彼のポジションへの道を開いた と言えるでしょう。 Modus Operandiというのは、ラテン語で「Methods of Operation」という意味 だそうで、現在は、「Silenus Vintners」というカスタム・クラッシュ(テイスティング・ルームも あり。元、Koves-Newlanがあった所)で、プロダクション・マネージャーをしながら、このワインを 造っておられます。 04カベルネは、しっかりとした骨組み、ナパのカベルネらしくガッツリ感がありながら、「今すぐ何か おいしいものを一緒に食べたい!」と思わせるミール・フレンドリーな大変魅力的なワインでした。 |
Round Pond
Estate 04
Cabernet Sauvignon |
ラウンド・ポンドについては、そのオリーヴ・オイル造りについて、当サイトでご紹介 しています。04年5月に、ここを訪れた時、「近いうちにエステートのワインも出す 予定にしています」と、ライアン・マクドネルさんがおっしゃっていました。 オリーヴ・オイルだけでなくワインをも造ることになった彼らは、敷地内にワイナリ ーも新たに建設。今年の夏に完成したところです。 左にオリーヴ・オイル・ミル、右にワイナリー・・・と、ラザフォード・ロードの真ん中 あたりは、ラウンド・ポンドのお庭です。 彼らのオリーヴ・オイルは私も大ファンで、リリースのたびにちゃんと購入してきて いますが、ワインを口にするのは初めて。ドキドキしてしまいましたが、 これが、思いのほかと言ったら大変失礼なのですが、バランスの取れた素晴らしい カベルネでした。この日、試飲したカベルネの中で断トツ一位の美味しさでした。 |
Trione Vineyards & Winery
05 Chardonnay |
この日出されていた左記のものが、当ワイナリー初リリース。 Russian River Valley, Alexander Valleyを中心に、全部で700エーカーの畑を 所有し、過去ずっと近隣ワイナリーにフルーツを売ってきておられました。 シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、ピノ・ノワール、ボルドー・ブレンド4種で 全生産量が約1500ケースという小規模ではありますが、 葡萄そのものの品質には定評がありましたので、畑名を気にしながらワインを 飲んでこられた方には、「ああ、あそこが自分達のワインを造り始めたんだ」と 納得されることでしょう。 ピノ・ノワール、ボルドー・ブレンドは、今回あまりピンと来ませんでしたが、 白、特にシャルドネが、ピンと姿勢の良いワインで、ナイスでした。 現在、テイスティング・ルームを含む新ワイナリーを建設中で、2008年秋頃に オープンする予定とのこと。楽しみであります。 |