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2009年10月07日

今年の9月はインディアン・サマー満開といった感じで、毎日毎日それは良い天気が続き、気温も摂氏30度を越す日がほとんどでした。
今週の「あれこれ」は、8月末に訪れたオレゴン州ウイラメッテ・ヴァレーのワイナリーについて書きます。
ちゃんとツアーに参加した「
Beaux Fréres」ワイナリーについては、別途「ワイナリー紹介」でアップさせています。こちらをご覧ください。
この「あれこれ」では、テイスティングだけしたワイナリーについて書いてあります。

何故、8月末にオレゴン州に行くことになったかについては、2009年9月2日「あれこれ」なんちゃってブログに書きました。
で、ワイナリー訪問を予定していた前日の夜、ビジネス・ディナーを終えてホテルに戻る途中、あろうことか、車の左後ろのタイヤが見事に
パンク。AAA(トリプルA。日本のJAF のようなもの)に電話して、人を寄越してもらい、とりあえず車に備え付けられていたスペア・タイヤに
取り替えてもらったのですが、「このスペア・タイヤでは、時速35マイル以上で走ってはいけないと、マニュアルに書かれてあるよ」と、
気の毒だけどしょうがないねえ・・と言った表情で、係のお兄さんに言われてしまいました。

時速35マイル以下では、翌日のワイナリー巡りさえおぼつかないわけで、お兄さんに最寄のタイヤ・ショップを聞き、電話帳でその店の
営業時間を確かめ、翌朝、朝一番でそこに車を持っていきました。午前10時の「
Beaux Fréres」でのアポイントメントに間に合わないかも
しれないなあ・・・と半分諦めつつ。
でもまだ私にも運というものが残っていたようで、約40分で、左後ろに新しいタイヤが取り付けられ、空気が減りやすくなっていた右後ろの
タイヤも修理されたのでした。再び車をだしたのが、午前9時15分。
グーグル・マップでは所要約45分となっていたルートを、「よっしゃ〜」と自分にかけ声してドライブしたのでありました。

ウイラメッテ・ヴァレー地区に行くにあたり、どのワイナリーを訪ねようかと、事前にあれこれリサーチしました。
「ウイラメッテ・ヴァレー・ワイナリーズ・アソシエーション」に登録されているワイナリーだけでも約180軒ほどありますが、
その半分以上が、「アポイントメント要」。これが、オフシーズンの冬になると、アポイント要のワイナリー数は更に増えます。
今後、何度となく来ることになりそうなので、今回は、アポイント要のワイナリーを一軒、あとは毎日オープンしているワイナリーを
3軒ほど選んで、気ままに回ることにしました。
 


Penner-Ash Wine Cellars
水〜日曜 午前11時〜午後5時。 ツアーは、土曜日午前10時、日曜日午前11時。

ペナー・アッシュのワインに出会ったのは、2004年5月、「プリマ・リストランテ」でのピノ・ノワール・サミットで、でした。
オレゴンのピノ・ノワールは、90年代後半のヴィンテージあたりから、急に高くなってきたなあと思っていたのですが、
その日出されたペナー・アッシュの2001年ピノ・ノワールも、他のワイナリーのものより頭ひとつ高かった記憶があります。
ちょっと高くて買いにくいワインは、まずテイスティングできたら、それに越したことはありません。で、ここに行ってみた
わけです。

通りに掲げられたワイナリーのサインを目印に、細い道を入っていくのですが、通りのサインからワイナリーまでの距離が
結構長い。森を抜けて、高台のてっぺんまで行きます。
てっぺんまで来ただけあって、Chehalem Valleyを見渡す風景は、大変素晴らしい。
テイスティング・ルームを含むワイナリーの建物も、とてもスリークで立派。
エコ・フレンドリーな建物なのだろうなと一見してわかる造りで、グラヴィティー・フロー(重力流動)を目的に、
地下を含めて3階建てになっています。

テイスティングは、赤・白混ざって5種のフライトと、ピノ・ノワールのみ4種のフライトの2種類・・・だったと思います。
というのも、当日、確かにメモを取っていたはずなのに、そのメモがどこを探しても見つからない。
既に一ヶ月以上も前のことなので、メモに頼りっきりの私の頭の中には、まったく記憶が残っていないのです。
おぼろげな記憶では、ピノ・ノワールは、ウイラメッテ・ヴァレー2007、Shea Vineyard 007、Dussin Vineyard 2007
をテイストしたはずです。そして、その時、他に誰も訪問客がいず私一人だったので、ピノ・ノワール・フライト($15)を
注文しつつ、「ちょっとだけ白もテイストさせてもらいますか?」とお願いして、リースリングとヴィオニエを口にしたのを
覚えています。

結果、最初にテイストした、この白がいたく気に入ってしまい、ピノ・ノワールより断然安いということも相まって、
リースリング07($18)とヴィオニエ08($28)を1本ずつ購入したのでありました。
ヴィオニエがあんな風に出来上がっているのなら、もしかして、ここのシラーも好みのタイプなのかもしれない、と
チラっと思ったのですが、その頃には別の訪問客が入ってこられていたので、それ以上の「お願い」は止めて、
おいとましたのでありました。

 

Bergström Winery
毎日 午前10時〜午後4時  テイスティング $20

どこのワイナリーに行こうかと考える時、名前はよく耳にするし、レストランのワイン・リストでも目にするし、でも、ちょっと
高くて手が出ないでいた、そういうワイナリーを訪ねてみるのも、ひとつのテです。
ここは、そんなワイナリーの一つでした。幸いにも、毎日オープン、予約なしでテイスティングができるとあって立ち寄って
みました。

AVA としては、「Chehalem Mountains」に属するエリア、Calkins Lane という小道を北上していくと、左手の高台に
瀟洒な建物が見えます。それが、バーグストローム・ワイナリー。ウイラメッテ・ヴァレーのワイナリー・マップを見ると、
そのすぐ近くに「
Lachini Vineyards」があり、ここのピノ・ノワールが結構好きな私は、「しまった、こっちにアポイントを
入れておくべきだった」と思ったのですが、まあここは次回に回すとして。

テイスティング・ルームのある建物は、どなたかのご自宅かなというような佇まい。
テラスが設けられていて、天気が良ければ、ここに座ってのんびりテイスティングというのも良い感じでしょう。
テラスから正面向こうに、
Dundee Hills の丘陵が見えて、なかなかの景色です。

訪れた日のテイスティングは、白2種、赤3種でした。

2007 Dr. Bergström Riesling   $28
  3つのオールド・ヴァイン・ヴィンヤード(
Hyland Vineyard:1971年植樹、Chehalem Mountain Vineyard:1970年植樹、
  Cherry Grove Vineyard:
植樹年は不明であるが、25年以上はたっているだろう)からのフルーツがブレンドされたリースリング。
  シトラス風味はさほど強くはなく、ミネラルな感じ、石っぽさがきれいに出ていて、良い感じにドライ。
2007 Sigrid Chardonnay   $75
  前年06年ものが初ヴィンテージの、いわゆる「リザーヴ」シャルドネ。2ヴィンヤードから収穫されたフルーツは、
  30%が新樽、残りがニュートラル樽、ステンレス・スティール樽で発酵、熟成され、それらがブレンドされて「
Sigrid
  シャルドネになるのは、全収穫量の10%ほど。
  生産量たったの250ケース。
  クリスプで、ミネラル感が優雅に流れ、バタリーで甘ったるいトロピカル風味は一切なし。
  「これは美味しいなあ」と感動し、値段を見たら、75ドル。が〜〜ん。
  白ワインは、赤ワインより安くなければならぬ、と思っているわけではないのですが、それでもシャルドネに75ドル
  かあ・・・と、かなり狼狽してしまいました。
2007 Cumberland Reserve Pinot Noir  $45
  
Bergström(エステート)、de Lancellotti (エステート)、Shea、Hyland、Durant 計5ヴィンニャードからの
  フルーツのブレンド。
  スモーキーで、
Earthyで、スパイシーで、明るい色のベリー系の甘さがほとんどなし。大変、大人なピノ・ノワール。
2007 de Lancelloti Vineyard Pinot Noir   $65
  エステート・フルーツ100%のピノ・ノワール。このワインは、バイオダイナミック(ビオデナミ)の認証を受けているそうです。
  上のピノ・ノワールより、ストロベリーのほのかな甘みが感じられますが、それでもエキゾティックなスパイス風味が
  かぶさってくるようで、  この「大人っぽさ」が、バーグストロームの特徴なのかなと思いました。
2007 Bergström Vineyard Pinot Noir  $75
  これもエステート・フルーツ100%。
  
earthy で、ミネラリーで、バラの花びらを彷彿させる香り、ほんの少しプロシュートっぽい香りもして、口当たりは極めて
  スムースでシルキー。2007年ヴィンテージのオレゴン産ピノ・ノワールで、初めて「これは素晴らしい」と思った一本でした。
  
  「気に入った!」と思ったワインが、白・赤両方とも75ドルもするのには、少々ショックを受けましたが、ここまで来たのだし記念に、と
  思いなおし、シグリッド・シャルドネを1本購入して帰りました。
  せめて、ワイン購入をしたら、テイスティング代20ドルを相殺していただきたいというのが、私の切なる願いであります。
 

Carlton Winemakers Studio
毎日 午前10時〜午後5時

ウイラメッテ・ヴァレーのワイナリーは、Newberg という街を中心に、Dundee Hills、Chehalem Montains,
Ribbon Ridge, Yamhill-Carlton
地区にほとんどが集中しています。
ヴィンヤードに囲まれたワイナリーという舞台を望むのなら、これらの地区を回るべし。
Carlton という街は、ナパ・ヴァレーで言えば、ナパ市のようなポジションにあります。ワイナリー巡りをする人には、
素通りされてしまいがちなのだけど、実はこの街で、何軒ものワイナリーが、テイスティング・ルームを開いているのです。
ナパ市ほどの規模はなく、実にこじんまりした街ですが、こういう所でこそ、地元では良く知られているものの一般的には
まだ無名の、素敵なワインに出会うってものです。

で、私は、カリフォルニアで言うところの「カスタム・クラッシュ」施設である「カールトン・ワインメーカーズ・スタジオ」に行ってみました。
複数ワイナリーが共同で施設を利用し、テイスティング・ルームでワインを販売。
テイスティング・ルームのおじさまは、「カリフォルニアから来た人は、カスタム・クラッシュと言うけれど、ここはCooperative Winery だ」と
おっしゃってました。大きな違いは、(恐らくですが)、カスタム・クラッシュの場合は、その施設のオーナーがいて、各ワイナリーとリース契約を
する一方、Cooperative は、入っているワイナリー全員がその施設の共同オーナーである、という点です。

とにかく、カールトン・ワインメーカーズ・スタジオには、現在8つのワイナリーが入っています。
Andrew Rich, Ayoub Vineyard, Brittan Vineyard, Hamacher, Lazy River, Montebruno, Retour Wine Co,
Wahle Vineyard

前記のPenner-Ashも、あのSoter も、Scott Paul も、ワイナリー設立当初は、ここでワインを造っておりました。

エコ・フレンドリーな建物はシンプルでスリーク。ワイン・バーも、自然の光を取り入れていてスッキリ美しい。
訪れた日のテイスティング・メニューは、白3種 $8、赤2種 $10。 
ピノ・ノワール1種(Hamacher)以外、飲んだことのないものばっかりだったので、白・赤両方テイストすることにしました。

Resonance, G3 White Blend 2008  $20
  75% Gewurtztraminer, 20% Pinot Gris, 5% Muller-Thurgauという、珍しいブレンド。
    Resonance ワイナリーが造っている唯一の白ワインで、バイオダイナミック・ワインの認証を受けています。
  ドライなのか甘いのか、その微妙〜〜な感じが、私には微妙〜〜でした。
Lazy River, Pinot Gris 2007   $20
  シトラス風味が爽やかで、飲みやすい。
Andrew Rich, Roussance, Columbia Valley 2007   $20
    ワシントン州コロンビア・ヴァレーのルーサンヌ。 
  ピーチとかアプリコット、バター・スコッチ・キャンディの味わい。かなりリッチ。

Lazy River, Estate Pinot Noir 2006    $33
  濃厚、満開時のバラの香り、インク。 大変個性的な味わい。
Hamacher, Signature Pinot Noir 2006    $45
  口当たりスムースながら、パワフル。ダーク・ベリーの風味と、スパイス風味がきれいに混ざっていてナイス。

テイスティング・バーのおじさまに、06年と比べて、07年のオレゴンは難しかったみたいだけど、08年はどうだったかと聞いてみたところ、
なんと、ハーベスト直前に霜が降りたんだとのこと。08年は、カリフォルニア州においても霜の被害が小さくなかったのですが、それでも、
霜といえば春のことで、収穫時期前に霜なんて、あまり考えられないこと。
ゆっくり(すぎる)成長を経たあとの霜だったせいもあり、収穫量は20%落ちたそうです。

うーん、それなら、2006年もののオレゴン産ピノ・ノワールを、もっと買っておくんだったなあと、ちらっと思ったり。
でも、どんな年でも、ピカっと光るワインを造る人はちゃんと存在するわけで、おじさまが、「これテイストしてみてごらん」と
出してくださったAndrew Rich の Cuvee B Pinot Noir 2007は、ど〜んとしたパワフルさ、派手さはないけれど、
すべての要素が繊細に絡み合って、とてもとても飲みやすい、キュートでフレンドリーなワインでした。 
$24という値段にも大感激。
ここでは、これと、Hamacher のピノ・ノワールを1本ずつ買って帰りました。
 

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