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2005年3月9日
今週は、新聞連載「好きが高じてワイン造り」4回目分の御紹介です。
過去の記事コピーは、こちら。Vol.1,
Vol.2 , Vol.3
無事に圧搾を終えた果汁は、華氏50度以下に設定されたタンクに注ぎ込まれ、
数日間冷却されます。冷やすことによって、果汁の発酵への動きを抑えます。
このプロセスは、今回手がけているシャルドネ造りには典型的なもので、数日の
冷却の間に、果汁を落ち着かせ、極小の固形物(fine lees)を含む果汁と、重く粗い
固形物(gross lees)を分裂させます。分裂した不要な固形物は、タンクの下部に
沈殿していきます。
これが終わったら発酵へと進みますので、それ
までに、どのイースト(酵母)を使用するかを決めて
おかなければなりません。昔からの伝統的ワイン
造りを継承している所では自然(野生)酵母での
発酵を採用していますが、味わいが多岐に広がる
傾向があり、決して簡単・スムースに発酵が終了
するとは限らないと言われるものに、素人の私が
手を出すことなどできるわけありません。
そこで培養酵母の登場となるのですが、クラッ
シュパッドでは三種類の選択肢がありました。
私たちのぶどうより約一ヶ月早く収穫され、発酵が
進行中のシャルドネ樽から、注入された酵母別に
三グラス用意され、みんなで試飲。
明らかに三者三様の異なる味わいがありましたが、
だからと言って、同じ酵母菌を使えば同じ味わい
になるかと言うと、そうとは限らないわけで、こう
なると、素人にとっての選択基準は、ただ好きか
嫌いかの問題になります。
私はとりあえず「これは違う」と感じたものだけ
指摘し、残り二種のうちのどちらにするかは専任
ワインメーカーのスコットに判断を委ねました。
そして決まったのが、「CY3079」という酵母菌です。
十月二十六日、酵母注入。まず、酵母菌への栄養
素となる「GO FERM」を水に溶かし、これに粉末状の
酵母菌を混ぜ、やさしくかきまぜます。20分間放置
したあと、樽に注ぎこみます。すてきなワインにしてね、
と願いをこめて。
発酵終了はいつ? 次号に続きます。
新聞に掲載した写真は、下の2枚です。
イーストは、@Chanson
AMontrachet
BCY3079 の3種類がありました。
モンラッシェ酵母は、よく使用されているもので、名前からして馴染みがあるのですが、
これを使った発酵中のワインをテイストしましたら、どうも私には、少々ミルクっぽいというか、
マイルドすぎるというか、クリーミーっぽいというか、そう感じました。
もちろん、これが良いという方もおられるわけで、ここで、自分がどういうワインを目指して
いるのかが明確であれば、選択もしやすくなります。
私が今回扱っているパチェコ・ヴィンヤードのぶどうは、圧搾後すでに自然のearthyさが
出ていました。 これ以上の複雑なスパイス風味は不要、と判断。
あとは、食べ物と一緒に合わせやすい「フレッシュな酸味」に焦点を当てたいと思いました。
@とBは、どちらもAに比べると、苦味が強かったのですが、Bの方が、よりクリスプな
印象を受けました。
で、スコットに、「モンラッシェはパス。私はCY3079が好きだけれど、スコットの意見に
従います。」と、謙虚に申し上げておきました。
後日、イースト注入の日、スコットは「私もCY3079が良いと思うよ。これで行こう。」と
言い、用意しておいてくれました。
樽にイーストを注ぎ込む、記念すべき(?)日でしたので、私もクラッシュ・パッドの
クールなTシャツを着て、作業をしました。