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2005年2月9日
無断で2週間のご無沙汰をしてしまいました。母方の祖父が他界し、急遽日本に1週間ほど
帰っておりました。折りしも、大寒波到来の日本は予想通りの寒さでしたが、その間、
ベイエリアは穏やかな暖かい日々が続いていた様子。
たった1週間のブランクだけなのに、帰ってきましたら、道沿いの梅や桜がちらほら咲きかけて
いて、既に春のおもむきです。
今週は、新聞連載「好きが高じてワイン造り」3回目分の御紹介です。
過去の記事コピーは、こちら。Vol.1,
Vol.2 。
10月16日早朝に収穫され、クラッシュ・パッドに運び込まれた果実は、大きく深いバットの
中で今にもポーンと弾け飛びそうなくらい、活き活きとしたものでした。黒ずんでつぶれかけ
ているものや、シワシワになっているものを取り除き、合格果実を別箱に放りこみます。
その別箱がいっぱいになると、その中身をプレス機に移します。
茎のついた房ごと、ごっそりとプレス機にいれ、これを上からプレスして果汁を出すのですが、
クラッシュ・パッドは大規模ワイナリーではないので、この作業を一気に施す機械がありません。
そこで何を使うかと言いますと、そこにあるもの、すなわち私達自身なのです。
私達の「足」を使うのでした。
ジーンズの裾をたくしあげ、専用液に足を浸して
洗浄し、タラップをあがり、ステンレスのドラム缶に
入りこみ、ぶどうを上から踏みおさえます。
「ストンプ」と呼ばれる動作で、厳密に言えば、この
方法は現在アメリカでは禁じられているそうです
が、「ホームワインメーキング」の域を出ない私には
問題なし。
ずぶずぶと沈みこみそうになる体を、容器の縁にかけた手で支え、ひたすら、ぶどうを踏み
おさえていきます。眺めた感じより、実際にはずいぶんと体力を要する作業で、スポーツジムの
クロストレーナーより疲れます。約10分おきに交代しつつ、およそ40分ほどストンプをやり続けました。
その一方で、一部のぶどうは、ちゃんとした液圧
プレス機でも圧搾されていました。容器の側面に
小さな穴がたくさんあり、中から圧搾されたぶどうの
皮が、その穴からポンポン弾け出て、果汁もその穴
から滲み出し、容器下部の受け皿にたまっていき
ます。
こうして圧搾を終えた果汁(「must」)は、華氏50
度以下に設定されたタンクに注ぎこまれ、数日間冷却されます。
この間に何が起こるのか、そして発酵はどのようにされるのか、次号に続きます。
新聞記事に掲載させた写真は、上の1枚のみです。
私と同じ畑のシャルドネを選んだ方たちも、一緒になってのストンプ作業でした。
雑談をしながらの作業で、どこそこのレストランは良かっただの、メジャーリーグの
プレイオフ戦の真っ最中だったので、その話だとか・・・。
下の写真は、液圧プレス機の小さな穴から皮がぐにゅ〜〜と押し出されているシーンです。
記事中、ストンプした容器を「ドラム缶」と書きましたが、実際その容器も、この液圧プレス機
と同様、側面に小さな穴があいていて、皮が押し出され、果汁が下部に流れ出るように
なっています。
ワイン造りの行程の中で、収穫〜圧搾〜発酵のあたりが一番忙しくもあり、
体力的にもキツい時期かとは思いますが、一番活気があり、ワイン造りの「喜び」を
改めて実感する時期でもあるのではないかと思いました。