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リヴァモア・ヴァレー Livermore Valley Wine Country
北カリフォルニアにおけるワイン・カントリーは、ナパやソノマですべてが語られてしまうほど、
この2大産地の存在感は圧倒的です。
が、もちろん、ここ以外にもワイナリーが集中している地域はあるわけで、そのひとつが
以前取り上げた「シエラ・フットヒルズ」であり、今回ご紹介する「リヴァモア・ヴァレー」です。
リヴァモア・ヴァレーは、サンフランシスコから東へ約40分
ほどのところに位置します。
サンフランシスコからヨセミテに向けてドライブすると、必ず、
フリーウエイ580号線に沿って通る街ですし、もう少し走る
と、風力発電の大きな風車がずら〜っと並ぶアルタモント・
パスが見えてきます。
1800年代後半からワインが作られてきているリヴァモア・
ヴァレーは、その土壌、気候、人材、どれを取っても、ナパ・ヴァレーと
非常に似通っている地区でした。
今でも、夏はものすごく暑くなりますが、風力発電がある
くらい、風が常にそよそよ(時にはぶいぶい)吹く土地柄。
霧はさほど出ませんが、朝晩の冷え込みは充分にあります。
皮肉なことに、サンフランシスコから近いということが原因
で、郊外型住宅地として早くから目がつけられ、禁酒法が
解かれた直後(1920年代)には、ナパよりも土地代が高く
なっていたそうです。
このあたりから、ナパにワイナリーがより集中するようになり、
リヴァモアは、その影に隠れて個性をなくしていったよう
です。
挙句の果ては、安かろう悪かろうのジャグ・ワイン生産の地として認識され、このあたりの葡萄を
使っているワインの大半が、「リヴァモア・ヴァレー」と書かず、「サンフランシスコ・ベイ」という
名前でボカしたりする始末。これでは、地域復興も望めません。
フリーウエイを降りて、リヴァモアのダウンタウンを過ぎる
と、途端に広々と大地が広がる風景に変わります。
ほとんどの土地に葡萄が植えられていて、その畝が
丘陵地帯にだ〜〜っと連なります。
サンフランシスコから、ナパまでは約1時間強かかりますが、ここリヴァモアなら40分ほどで
着くわけで、それでいて、何ら劣ることのない風景、のんびりさを味わえるのですから、
ベイエリアの住民、訪問客にとっては、ラッキーなことです。
昔から、このあたりで名を馳せてきた「Wente」
「Concannon」は大量生産のワイナリーですが、
ここ10年あまりで、小規模ワイナリーが増えてきました。
ベイエリアで、それなりの仕事をしてきた人達が、ワイン
造りに乗り出してきたものです。
少量生産ですから、ワイナリーでしか買えない、味わえ
ないワインが多く出てきて、こうなると、個性的なワイン
も出てきますから、訪れてみようかと考える人も増えて
きます。
現在、リヴァモア・ヴァレーは、じわじわと訪問客を増やしてきているように見受けられます。
さほど広くないヴァレー内に、ワイナリーが約20数軒点在しており、週末になると、各種イベントで
賑わっているようです。
ナパ、ソノマと違って、シエラ・フットヒルやリヴァモアといった「マイナー地区」は、週末にしか
テイスティング・ルームを開けていないワイナリーが多いのが特徴。
平日は、他の仕事もやっているから時間がないし、テイスティング・ルーム用の人を雇うほど
余裕ないし・・・という背景も、一部あり。
私は平日に訪れ、平日もオープンしているワイナリー3軒を覗いてみました。
スティーヴン・ケント氏のフルネームは、このあとに
「Mirassou」が付きます。サンノゼ地区で長年ワイ
ナリーを営んできたミラソー家のメンバーです。
(当ワイナリーが、ガロに買収されて以来、公では
ミラソー名を表に出さないようにしているそうです)
ここは実に「わが道を行く」的ワイナリーで、「Merrillie」(ケント氏の祖母)という名のついた
シャルドネと、カベルネ・ソーヴィニョン以外は、一切一般流通に乗せず、500名までに制限
された「Future Release Program」と「Collector's
Circle」というメーリング・リスト
に登録している顧客のみに、そのワイン販売しています。
500名に限定しているくらい、その生産量は極小で、
1種につき平均100ケース前後。
ワイナリーでは、その時期によって、「Future Release
Program」で提供されるワインの中から1種類が出されて
いて、テイスティングできます。
「Collector's Circle」メンバーにしか行かない、
アーティスト・シリーズのワインにいたっては、
そのボトルを眺めることができるだけ。テイスティングさえできません。
どんなワインがあるかは、下記のウエブサイトでご覧下さい。 非常にユニークです。
スティーヴン・ケント・ワイナリー |
|
住所 | 5443 Tesla Road, Livermore |
電話番号 | (925) 456.2380 |
ウエブサイト | www.stevenkent.com |
訪問 | 毎日、正午〜午後4時半。 テイスティング:約4種ほどで、5ドル。 |
コンキャノンは、ウエンテと並んで、昔からこの土地で
ワイン造りをしている大量生産組です。
1883年に設立され、禁酒法時代を乗り越えて、事業を
続けているワイナリーですから、その歴史はハクがついて
います。つい最近、2002年に、低価格ワイン販売で知ら
れる「Wine
Group」に買収されましたが、新オーナー会社の
資本を背景に、安かろう・悪かろうワインだけでなく、リザーヴ系ワインにも
力を充分に注ぐことが可能になっています。
実際、レストランやショップで見かけるのは、何十万ケース
も生産しているプティ・シラーくらいで、今回、ワイナリーで
テイストしたようなボトルのワインを見かけることはほとんど
ありません。
これらをテイストすると、コンキャノンに対するイメージが、
かなり変わります。特に、100%リヴァモア・ヴァレーの
シラーを使った、リザーヴ・シラー(2001)には、ちょっと
びっくりしました。
ものすごくスモーキーで、earthyで、スパイシー。
大変、個性的なワインでした。
95年のプティ・シラーなどというライブラリー・ワインを
含めて、8種類テイストできますが、これが無料。
こうでなくっちゃ!(笑)
たくさんテイストしましたが、一番初めに頂いた
「2003 Limited Release Stampmaker's
White」が最も好みのタイプでしたので、1本買いました。14.95ドル。
ローヌ系品種、ルーサンヌ、マルサンヌ、ヴィオニエのブレンドです。
コンキャノン・ヴィンヤード |
|
住所 | 4950 Tesla Road, Livermore |
電話番号 | (925) 456-2505 |
ウエブサイト | www.concannonvineyard.com |
訪問 | 毎日午前11時〜午後4時半。 テイスティング:無料 |
フリーウエイ580号線を降りて、リヴァモアのダウンタウン
を抜けたら最初に出てくるのが、この「レツラーフ・ヴィン
ヤーズ」です。
看板も小さいですし、テイスティング・ルームも、小さな家
の中の台所を改築して仕立てたようなもので、大変素朴。
彼らのワインはすべて、リヴァモア・ヴァレー内にある
エステートから収穫された葡萄を使っています。
いづれも1000ケース満たない生産量ですが、いろいろな
品種を育て、取り扱っています。
ソーヴィニョン・ブラン、シャルドネ、メルロー、カベルネ・
ソーヴィニョン、ボルドー・ブレンド、そしてカベルネ・ポート
まで、全9種をテイスティングできます。
(平日だったこともあり、3ドルのテイスティング代が
無料になりました)
ナパ・ヴァレーにある「Noah」が、ここの息子さんの
ワイナリーだそうで、そこのワインもテイスティング
に1本出ていました。
メルローに期待していたのですが、さほどの印象も受けず、
それよりもカベルネ・ポートが素晴らしく、これも1本
買いました。22ドル。
庭がこじんまり、とても可愛らしく、春になったらここでピクニックなどしてみたいものです。
レツラーフ・ヴィンヤーズ |
|
住所 | 1356 Livermore Ave, Livermore |
電話番号 | (925) 447-8941 |
ウエブサイト | www.retzlaffwinery.com |
訪問 | 火曜日〜金曜日:正午〜午後2時 週末: 正午〜午後4時半 テイスティング:8種ほどで、3ドル。リザーヴは5ドル追加。 |
平日でしたので、上記3軒のみの訪問でしたが、興味深いワイナリーが他にもたくさんあります。
次回は、週末にぶらっと訪れてみたいと思います。
この日一番印象に残ったワインは、実は、ランチに訪れた
「Garre Winery & Cafe」のメルロー、1997年でした。
ちょっと昔のヴィンテージですが、これがグラス7ドルです
から、まあまあお得。この日の最初のワインだったせいも
あるかもしれませんが、強烈ストレート・パンチをくらった
ような、目の覚めるようなフルボディ・メルローでした。
プライム・リブ・サンドイッチと、大変良く合っておりました。
(2005年3月現在)