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シエラ・フットヒル地区・アマドー郡のワイナリー
シエラ・フットヒル地区は、サンフランシスコから北東へ約２時間半、サクラメント（州都）の、
およそ南東付近に広がるエリアです。あと２時間弱も走れば、西海岸を代表するスキー・
リゾート「レイクタホ」（Lake Tahoe）に出る山麓。
このエリアを南北に縦断する４９号線は、1840年代後半の「ゴールドラッシュ」時代、交通網の
中心となった道路でした。一攫千金を狙って、アメリカ各地からやってきたマイナー（鉱夫）達は、
夜毎の楽しみに、ウイスキーだけでなく、ワインをも味わっていたのでした。
その当時は、この地域が、カリフォルニア内で最もワイナリーの数が多い所だったそうです。
それから１世紀半。シエラ・フットヒル地区は、ここ１０年ほどの間に、新規のワイナリーが
集まる「エル・ドラド」（黄金郷）に成長してきました。
各種ワイン・ガイドブックにありますように、この地区では
依然、ジンファンデルが代表的品種で、アマドー郡の
全ヴィンヤード面積のうち、約65%を占めています。
が、最近は、サンジョヴェーゼやバーベラといった
伊・トスカーナ品種、そして、シラーやヴィオニエなど
の仏・ローヌ品種を手がけるワイナリーが増えてきて
います。
そのいづれのヴァラエタルも好きな者にとっては、
わくわく楽しみなワイナリー巡りです。
シエラ・フットヒル地区の中でも、ワイナリーが集中して
いるのが、「アマドー郡」（Amador County）で、
最寄の街は「プリマス」（Plymouth）。
そこから、Shenandoah Roadを入っていきます。
このShenandoah Roadが、何ともまた良い感じで、
見渡す限り、なだらかな丘陵が広がり、
ヴィンヤードが、パッチワークのように土地を埋めて
います。
ところどころに、ちゃんとワイナリー名が書かれた道標が
立てられているのが、可愛らしい。
17軒ほど代表的なワイナリーがありますが、その全部を回ることはできないので、
興味を惹いた４軒を訪ねてみました。
Sobon Estate
1856年設立の、アマドー郡で最も古いワイナリーです。ワインもさることながら、併設の
博物館（無料）が非常に興味深く、ゴールドラッシュ時代の家具・台所用具、そして
初期のワイン造りに使われた道具などが、埃をかぶったまま陳列されています。
この博物館があるために、Sobonは、この地区で恐らく最も訪問客が多いワイナリーだと
思われます。
Shenandoah Vineyards
上記Sobonの姉妹ワイナリーですが、設立されたのは
1977年。砂と粘土が混ざり合った土壌は、水分を充分
に貯めておけるため、年間降雨量が比較的少ない地域
で、ドライ・ファーム方式を採用しているワイナリーが、
このあたりでは多く、ここもそのひとつ。
アート・ギャラリーも併設されている、きれいなテイス
ティング・ルームでは、出るわ、出るわ、ストップかけない
限り、デザート・ワインも含めて１０種類くらいは飲むことに
なります。これが全部、無料なのですから、シエラ・フット
ヒル地区は凄い！
私はリザーブ・ワインも頂きたかったので聞いてみる
と、$4.95で３種類、おまけに大振りのグラスが
お持ち帰り。迷うことなく払いました。
Karly
ご夫婦二人でやっておられる「カーリー」は、砂利道を
くねくねと入っていった所にある、小さな小さな
ワイナリー。
ここは、オールド・ヴァインのジンファンデルと、
ホームメードのサワドー・ブレッドが有名。５種類ほどの
ジンファンデルは、当然すべて無料のテイスティング。
Domain de la Terre Rouge
ここは、ローヌ系品種が得意のワイナリー。カベルネ・ソー
ヴィニョン、メルロー、ジンファンデル等、カリフォルニア
伝統（？）の品種は、「イーストン」（Easton）という
ラベルで造られています。
ゆったり広々としたテイスティング・ルームは清潔感
溢れ、サーヴしてくださる人も、ビジター達も、とても
明るい。
イーストンも含めて、全部で１０種類くらいはテイスティング
しましたが、やはり全部無料。
Vino Noceto
名前から察せられるように、ヴィノ・ノチェトはトスカーナ
品種サンジョヴェーゼを主に生産しています。
テイスティング・ルームは、ガレージを開放してしつらえた
ような造りで、「家族全員で頑張ってます」という
雰囲気がバシバシ感じられる、素敵なブティック・ワイ
ナリーでした。
シングル・ヴィンヤードのサンジョヴェーゼも含めて、テイスティングは
やはり無料。「どれにするか迷ってる？決められるまで、いくらでも飲みなさい。」と、
おっしゃられたので、調子に乗って、いくらでも飲んでました。
たった４軒しか回りませんでしたが、テイスティング
したワインは、全部で３０種類を越えたと思います。
それらがことごとく、どこも無料、というのが素晴らしい。
タダで試飲させてもらうと、何か１本でも買わなければ
いけないような気に、ならないでもないですが、
買うにしたって、安いです。「リザーヴ」なんて名前が
ついていても、せいぜい25ドル程度。
15ドルあたりで「おいしいじゃない！」と思えるワインが、
ゴロゴロしています。
唯一と言って良い例外が、Terre Rougeの「Ascent Syrah」。75ドルもするシラーは、ロバート・
パーカーJrが、「94+」を2000年ヴィンテージにつけています。あいにく、これのテイスティングは
できませんでしたが、担当の女性が「サンクスギビングあたりにリリースされるから、その頃に
来られたら、テイスティングできますよ」と教えてくださいました。
シエラ・フットヒル地区のワインと言えば、ひと昔前は、安いジャグワイン、お世辞にも
美味しいとは言えない安いジンファンデル、というイメージが一般的でした。
ところが、ここ１０年ほどの飛躍ぶりは、あらゆるワイン・メディアが盛んに取り上げ始めたほど。
テイスティングは無料だし、ワインは手頃で美味しいし、アマドー郡は、まさに、
現代の「ゴールド」です。
アマドー郡のワイナリー全般
Amador Vintners Association
電話： (209)267.2297
ウエブ： www.amadorwine.com
Sobon Estate
住所： 14430 Shenandoah Road, Plymouth
電話： (209) 245.6554
ウエブ： www.sobonwine.com
テイスティング： 毎日午前１０時〜午後５時オープン
Shenandoah Vineyards
住所： 12300 Steiner Road, Plymouth
電話： (209) 245.4455
ウエブ： Sobonと同じ。
テイスティング： 毎日午前１０時〜午後５時オープン
Karly
住所： 11076 Bell Road, Plymouth
電話： (209) 245.3922
ウエブ： www.karlywines.com
テイスティング： 毎日正午〜午後４時オープン
Domaine de la Terre Rouge
住所： 10891 Dickson Rd, Plymouth
電話： (209)245.3117
ウエブ： 俄かには信じられませんが、「ありません」。
テイスティング： 金〜日のみ、午前１１時〜午後４時オープン
Vino Noceto
住所： 11011 Shenandoah Road, Plymouth
電話： (209) 245.6556
ウエブ： www.noceto.com
テイスティング： （金）正午〜午後４時、（土・日）午前１１時〜午後４時
これ以外の日は、アポイントメント要。
（2003年11月現在）
