Copain Wine Cellars コパン・ワイン・セラーズ 【ターリーOB
という背景は不要?】
一軒前の「フェイラ」に続いて、もとを辿れば「ターリー」繋がり。今回ご紹介する「コパン」の設立者の一人であり、
ワインメーカーでもあるウエルズ・ガサリー氏 Wells
Guthrieは、約8年ほど前まで、「ターリー」にてアラン・
ジョーダン氏の補佐をしておられました。アラン・ジョーダン氏のもとから独立して行った人たちは、皆、一様に
その実力を発揮してきているようです。この欄で以前紹介した「ウエットストーン」のジェイミー・ウエットストーン氏
も同窓生。
ただ、ターリー時代から既に8年ほどがたっており、「Copain」の名声も充分にあがっていて、カスタム・クラッシュ
施設の経営にも携わっている状況を拝見していると、「元ターリー」という背景はもう必要ないのではないかと
思えます。
サンタ・ローザのインダストリアル地区に、カスタム・クラッシュ施設を持ち、コパンもそこで造られていたのですが、1年ほど前に、
ようやくコパン独自のワイナリー施設を建てるに至りました。そして今年に入って、テイスティング・ルーム部分が完成し、
アポイントメント制で一般消費者に開放されました。これで一丁上がり!というわけではありませんが、「よくここまで来れました、
おめでとうございます」と申し上げたくなります。
【単一畑】
コパンのワインの特徴は、そのほとんどが単一畑ものであるということです。で、その数が、かなり多く、また移り
変わりが早い。現時点で例えば、ピノ・ノワール6種、シラー11種、ヴィオニエ2種、ルーサンヌとジンファンデル
1種ずつがリストアップされていますが、それらのうちのいくつかは、ここ数年で取り扱いを止めているのもあり、
これに加えて、ローヌ・ブレンド1種もありますから、全部を網羅するのは大変なことです。
ただし、それぞれの生産量が少なく、400ケースを切るものについては、メーリング・リスト・メンバーに入って
直接購入をしないことには、お目にかかれない場合が多いです。
ワインは、ミール・フレンドリーであるべきというウエルズさんの意向を反映してか、ワイン・ショップでよりも、
レストランで彼のワインを見かける頻度が高いようにも感じます。(もちろん、評判高いナイスなレストランばかり)
新しいワイナリーの周りには一面、ヴィンヤードが広がっていますが、ここで収穫されるフルーツは大半が他ワイナリーに売られて
いくもので、コパンのワインには使われていないとのこと。新しく植え替えた部分があり、それらに関してはあと数年後、もしかしたら
コパンのワインに入ってくるかもしれません。
【テイスティング】
シンプル&クールなセッティングがされたテイスティング・ルーム。
まずは、コパンのセカンド的存在「Saisons de Vins」のロゼ「ラ・プランタン」がサーヴされました。
訪れた日は、あいにくの霧雨状態、薄ら寒い日でしたが、それでもこのキュートなロゼでホっと温まる心地。
食欲そそられるものが食前酒として最高とされるのであれば、まさにこれは、素晴らしい食前酒。
続いてサーヴされたのは、Copain,
Caties Corner Viognier 06。
当サイトで何度もしつこく書いておりますが、クラッシュパッドで造ったマイ・ブランド「mon
amie」のヴィオニエが、このケイティズ・
コーナー・ヴィンヤードのもので(05年ヴィンテージ)、コパンでも同畑からヴィオニエを造っておられることを不勉強にも存じ上げ
なかったので、嬉しいサプライズでした。アプリコットや桃の甘さが、下手するとしつこくなりすぎなところ、しっかりした酸と
ミネラルさがビシっと出てきて、非常にバランスの良い素敵なヴィオニエでした。
ただ残念なことに、この06年ものが、ケイティズ・コーナー・ヴィンヤードからは最後のものになるとのこと。
そのあと、ワイナリー施設の方に移り、ワイン造りの行程や、セラーの状態の説明を受けます。
カスタム・クラッシュ施設で、複数のワイン・メーカー達と、機械・用具・スペースを共有しながらの作業ではなく、自分がコレと思う機械、用具、照明、水周り、スペーシングを自在に操ることのできる「自分達だけの」施設があることが、どれだけエキサイティングなことか、
コパンの施設を拝見していると、ウエルズさんチームの情熱・躍動感が伝わってくるかのようでした。
そしてテイスティング・ルームに戻り、今度はテーブルに座って、じっくり赤ワインをテイスティング。
この日出されたのは以下でした。
2006 Tous
Ensemble ピノ・ノワール $30
フランス語で「All Together」(みんな一緒に)という意味のこのワインは、単一畑ものばかり造ってきたコパンで
初めての「アペレーション・ワイン」(地域ワインとでも訳せば良いのでしょうか)。
アンダーソン・ヴァレーの3ヴィンヤードからのフルーツをブレンドさせたものです。
単一畑ものに使われるフルーツとは別のセクション、別のクローンのもので造られていて、生産量も恐らくコパン
の中で最大、1037ケースです。
深い森、earthyさ、その複雑さ、決して「わかりやすい」ピノ・ノワールではありませんが、それだからこそ、「これに
何を合わせて食べようか」と、いろいろ考えさせてもらえる愉しさがあります。お値段も、ピノ・ノワールにしてはお手頃だし。
2005 James
Berry Les Copains $40
単一品種でなく、グルナッシュとムールヴェードル主体、15%ほどのシラーのブレンドだから、Copainsと複数形に
なっています。
ラベルが今の白地になる前、緑っぽい、今風でキュートな絵柄&字体だった頃、コパンのワインはピノ・ノワール
で評判をあげてきていたように見受けられたのですが、ここ1〜2年ほどの間に、ローヌ系品種の造り手としての
方が前面に出てきているように感じます。
ウエルズさんが、ワイン造りに目覚めて最初に修行したのが北ローヌ地方の「Chapoutier」だったということを
思い返すと、さもありなん、とは思えます。
ジェイムス・ベリー畑はパソ・ロブレスにあり、この畑からルーサンヌも造っています。
グルナッシュとムールヴェードル=シャトー・ヌフ・ド・パープ=渋くてフルボディで強烈・・かと思いきや、
これが思ったよりもかなりスムース。酸もしっかりしているので、ヒートもまったく感ぜず、後味にとても素敵な
ラズベリーっぽい風味がス〜っと来ます。とてもとてもナイス。迷わず1本、買いました。
2006 Madder
Lake シラー $25
ローヌ系品種に偏りつつある状況は、コパンから出ているシラーの数でも窺い知ることができます。
レイク・カウンティーのマダー・レイク・ヴィンヤードは、シラーの他に、テンプラニーヨなども栽培していて、
かなりユニークな存在。
私の好きな、ペッパー風味充分のシラーでありながら、5%ほどのヴィオニエがブレンドされていることによる
ものなのか、スモーキーになりすぎず、逆に大変フローラル。ミネラル度も充分、す〜っとするシラーでした。
ヴェリー・ナイス。
シラーのコパンという評判が高まりつつある中、ウエルズが手がける単一畑もののシラーをあれこれと試して
みるのも楽しみですが、彼のピノ・ノワールも置き去りにしたくない。特に、コパンのピノ・ノワールは、
「アンダーソン・ヴァレーのピノ・ノワール」を味わうのに最適だと思えるのです。
アンダーソン・ヴァレー、頑張れ!です。 |