CADE
WINERY ケード・ワイナリー
【プランプジャック・グループのワイナリー】
政治に興味がなくても、カリフォルニア・ワインに興味があれば、ワインカントリーのお膝元サンフランシスコの
市長がGavin Newsom 氏であるということは、ほとんどの人がご存じのことであろうと思われます。
1967年生まれ、42歳の若き現・市長は、バリバリの青年実業家として90年代から(つまり、彼が20代半ばの
時から)、その名を世間に響き渡らせていました。
彼が最初に興したのは、92年「プランプジャック・ワインズ」(PLUMPJACK
WINES)というワイン・ショップ
でした。その後、飲食、ライフスタイルに関連するリテール・ビジネスを展開していき、現在、プランプジャックという
社名のもとには、@レストラン Aワイナリー Bワイン・ショップ Cリゾート Dスポーツ・ストアの部署が
置かれています。
ナパ・ヴァレーはオークヴィルに、Plumpjack Winery
をオープンさせたのが1997年。
デビュー・ワインとなった「1995 リザーヴ・カベルネ・ソーヴィニョン」が、いきなりロバート・パーカーJR氏の
「95+」を獲得したために、あれよあれよという間に、ワイナリーそのものの規模も急成長していきました。
2000年には、その年リリースの「1997 リザーヴ・カベルネ・ソーヴィニョン」に対し、従来のコルク使用のものと、
スクリュー・キャップ使用のもの2種類に分け、結構な論争を巻き起こしたのも記憶に新しいところかと思います。
で、2007年、プランプジャック・グループの最新ワイナリー・プロジェクトであるところの「CADE
WINERY」が
興され、今年2009年春に、堂々オープンとなりました。
プランプジャック・グループは、その「プランプジャック」そのものも含め、すべてシェイクスピアの作品から店名・
ワイナリー名がつけられており、CADEも例外ではありません。
(CADE
: 通称ジャック・ケード。(d.1450)
英国の反乱指導者。ヘンリー6世の失政に対して反乱を起こした)
研究社「リーダーズ英和辞典」
【グリーン・ワイナリー】
日本で言われているところの「エコXX」と、ほぼ同じ感覚で、こちらで使われているのが、「グリーン」です。
環境保全に留意したもの、エネルギー消費を抑えているもの、オーガニック素材が使われているもの、
サステイナブルであるもの、これらのいづれかを全うしていれば、「グリーン」と呼ばれることができるようです。
ケード・ワイナリーは、US
Green Building Council (USGBC)発行の「LEED
」認定ワイナリーとなっています。
LEED
とは、「Leadership in Energy and
Environmental Design」の略で、つまりエネルギー消費抑制、
環境保全に適した設計であるということの証明のようなものです。
現在、ケードは、これだけに満足せず、その上を行く「LEED GOLD」認定を目指しています。
これが取得できれば、ナパ・ヴァレーでは初の「オーガニック農法であり、かつLEED
GOLDと認定されたワイナリー」
ということになります。
つまり、「グリーン・ワイナリーであり、グリーン・ワインである」ということです。
「LEED」のコンセプトは、その建物そのものの設計だけでなく、敷地全体のバランス、そしてそこで働く人たちの
環境をも包括した「サステイナビリティ」を目指すものです。
以下の5つのポイントが、厳しく査定されます。
@ Sustainable Site Development A Water
Savings B Energy Efficiency C Materials Selection
D Indoor Environmental Quality
これら5ポイントにつき、ケード・ワイナリーがどのように具体的に実行しているかについては、
当ワイナリーのウエブサイトに詳しいですので、それをお読みください。
そして、それらを事前に頭に入れて、ワイナリーのツアーに参加すると、「な〜〜るほど〜」と
大いに納得されることでしょう。
そういう知識がなくても、ケード・ワイナリーのロケーション、そこからの眺望、スリークな建物からは、
静かな衝撃を受けます。
私たちが訪れた日の午前中は、湾の方に霧が低く深く残る一方で、ある程度の標高以上は凄まじくクリアという、
ヒルサイドにおいては比較的良く見られるタイプの気象状況だったのですが、ずっとずっと南の方にある山まで
見えていながら、平地に霧が漂っているその風景には、心打たれました。
【ツアー&テイスティング】
テイスティングだけでも、アポイントメントが必要です。
大手のワイナリーのように、テイスティング・カウンターに何人ものスタッフが並んでいるわけではなく、
素敵な山の上の別荘のリビング・ルームで、ゆったりワインを頂くというスタイルです。
グリーン・ワイナリーであるという、その建物全体・敷地全体の雰囲気を味わうためにも、ここは是非、
ツアーに参加して頂きたい。
ワイナリー・ロゴに使われているマンザニータの木だとか、30%フライ・アッシュが使われているコンクリートの
壁だとか、水のリサイクルのされ方とか、敷地内の自然部分の残し方とか、
グリーンであるということは、知恵も労力もコストもかかるものなのだなあと、しみじみ思います。
ツアーのあとはテイスティングですが、通常のテイスティングは一人$10で、テイスティング・ルームの
ソファに座って、サーヴを受けます。
「フード&ワイン・ツアー」を申し込むと、大きなダイニング・テーブルの方に案内され、出されるワインそれぞれに
マッチするフィンガー・フードが出されます。
私たちが訪れた日のワインは、以下でした。
2008
ソーヴィニョン・ブラン $26
スクリュー・キャップです。ほんの少し、セミヨンが入っています。
2007
Napa Cuvée カベルネ・ソーヴィニョン $60
ヒルサイドの急斜面ヴィンヤードのフルーツと、山すそ扇状地のフルーツがブレンドされたもの。
リリースされたばかり。(9月)
2006 Howell
Mountain カベルネ・ソーヴィニョン $64
ハウエル・マウンテン地区の7つのヴィンヤードから、フルーツが集められて造られたもの。
個性に欠けると言われればそうなるのかもしれませんが、「良くできているワイン」だと思いました。
2007年ヴィンテージのマウンテン&ヒルサイド・カベルネを心待ちしている者からしますと、
当ワインのリリース時期である来年の6月に、もう一度来たい!と思うのであります。
これら3本は、いづれも購入フルーツで造られていますが、2007年の「エステート・カベルネ・ソーヴィニョン」
(ハウエル・マウンテン)が来年2010年にデビューする予定になっています。是非とも、これは飲んでみたいものです。
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