ハイキング @ ヨセミテ国立公園
サンフランシスコから南東、車で4時間ほどの所にある「ヨセミテ国立公園」は、その広大な面積、雄大な自然を擁し、
アメリカ国内に数ある国立公園の中でも大変人気の高い、「must go」
placeであります。
日程に余裕のない旅行者は、サンフランシスコ発の日帰りツアーに参加しますが、東京都の1.5倍と言われる
サイズを持つヨセミテ国立公園に日帰りで行って(公園内滞在時間は、約2時間半)、その全体像がつかめる
わけがありません。そして、たとえ宿泊を伴って訪れたとしても、総面積の約9割が「ウイルダネス」
(いわゆる原生地域)であるヨセミテ国立公園のすべてを体験することはできません。
「観光」としてヨセミテ国立公園を訪れるのなら、ヨセミテ・ヴァレー、グレイシャー・ポイント、マリポサ・グローヴ
(巨木の森)、Tuolumne Meadow、Tioga Roadをカバーすれば、おおよそOKです。
これらのスポットなら、車椅子使用でもまったく問題なく、私もこの6月に日本から車椅子に乗ってやって来た祖母を、
これらに連れていき、大自然の広がりを体験してもらいました。
現地で2泊すれば、これらをカバーすることができます。
が、アメリカ国内の大半の国立公園に言えることですが、これらが抱える大自然の素晴らしさを実感するには、
少々大変でもハイキング(或いは登山)をすることが必須なのではないかと思われます。
この「フード&スポット」でも、過去にヨセミテ・ハイキングについて書きましたが、ハイキングの魅力にハマった
私は、積雪のないシーズンに最低1回はヨセミテまで行きます。
ハイキングそのものが好きなので、ヨセミテに限らずシエラ・ネヴァダのあちこちに足を伸ばしますが、
シーズン中にヨセミテを外すことは絶対ありません。
ウエブサイト「ヨセミテ国立公園大好き!」を通じて、ハイキングのベテラン吉野さんと知り合うことができ、
ハイキングの行き先も幅が出てきました。今までは、ちゃんと整備されたトレイルを歩いていたのですが、
吉野さんのおかげで、原野を行く「クロスカントリー(XC)」をするようになったのです。
ただし、自然というのは何が起こっても不思議ではない「怖さ」がありますので、クロスカントリーは
吉野さんのような熟練者が一緒の時にしかしないようにしています。
で、去年に引き続き、今年も「日帰りヨセミテ・ハイキング」をやりました。
歩くのも、運転スピードも速い吉野さんと奥様のAさんに「連れてってください」とお願いして実現。
昨年は、睡眠時間2時間でエラい目にあったので、今年は3日前から就寝時間の調整を始め、
当日前夜は晴れて、午後9時半にコテっと寝ることに成功。
当日は午前3時に起床、待ち合わせ場所に午前4時到着。 午前4時15分、出発。
ヨセミテまでの約3時間弱も、三分の二ほどはバックシートで眠りこけてました。
「睡眠、命」の私には、上出来であります。
ヨセミテ国立公園内ハイ・カントリーのMay Lake駐車場に、午前7時過ぎ到着。このあたりで既に、標高3000
メートル強。
高山病にかかりやすい人なら、こんなふうに平地からいきなり来たら、確実にやられるでしょう。
行き先は、今回も歩き出すまで知らず・わからず・聞かず状態でしたが、「とりあえず、Tuolumne
Peak」と
聞き、前から登りたいなあ・・と思っていたピークなので、やっほ〜!と喜びました。
May Lakeまではトレイルを取り、湖を越えてからクロスカントリー。途中、トレイルのようなトレイルでないような、
あまり整備されていない道に合流し、ぐんぐん標高を上げていきます。
いきなりの高地なので、だんだんと歩幅が狭まり、呼吸も荒くなり、足が錘がついたかのように重くなり・・・。
ハイキングの醍醐味というのは、次の一歩のことしか考えられなくなる、それ以外のことは何も頭に浮かばない
状態に自分がなってしまう点だと思います。少なくとも、私はその感じが好きで、わざとキツいハイキング・登山を
しているようです。(他人事のような)
垂直にそびえる岩場を、何度も止まって息を整えては再びよじ登り・・を繰り返していると、俗に言う
「クライマーズ・ハイ」状態になってきます。
「もうダメ、ああキツい」と思ったりもするのですが、終点(頂上)がすぐそこに見え始めると、
「ああ、あそこで終わってしまうのか」と場違い(?)の寂しさを感じるのですから、ちょっとヘンかもしれません。
Tuolumne Peak(標高3,253.60メートル)には、2時間20分で到達しましたが、そこからの眺めの
素晴らしいこと!
ヨセミテ国立公園内で、最も高い山「Mt.Lyell」、2番目に高い「Mt.Dana」がくっきり見えますし、
とにかく360度のパノラマはただただ雄大で美しい。
去年登ったJohnson Peak(標高
3,319メートル)からの眺望も素晴らしかったけど、こっちも負けてない。
ランチ・ブレイクを頂上で取ったあと、「これで終わりってことは、吉野さんに限ってはないだろうなあ・・・」と、
とりあえずは覚悟して
ましたが、案の定、「じゃあ出発」との一声で、今度は山の裏側、西側斜面へ・・・。
ここからは、完璧・純粋なクロスカントリーで、真夏の週末だというのに人っこ一人会うことがありませんでした。
トレイルのないルートは、しかしながら、手付かずの自然の宝庫でもあり、緑の絨毯と白い岩、その間を流れる
雪解け水が、ひとつの風景として目の前に現れ、がくがくする足を踏ん張りながら、「なんてきれいなのだろう」と
心から感動していました。
こんな素敵な景色と出会えるのも、クロスカントリーのおかげと、吉野さんに大感謝です。
結構、体力消耗度の激しい、キツいハイキングではありましたが、それだけの価値ありでした。
足に問題なく、しっかり歩けて、自分の体を支えて持ち上げられるだけの腕の筋肉があるうちに、
せいぜい、こういうハイキング・登山をやり続けていきたいものだと思うのでありました。
結局、この日はトータル6時間半ほど歩いて終了。
またまた吉野さんの鋭い運転でベイエリアに戻り、自宅には午後6時前に帰ってきました。
この日のハイキングの様子は、吉野さんのサイトにも詳しいです。左横の「シェラ歩き実践編」インデックスから、
「Tuolumne Peak/ S.Fork Cathedral
Creek」をクリックして、ご覧ください。 |