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2006年08月23日

今週は、8月20・21日の2日間にわたって開催された、恒例大テイスティング・イベント「FWOC」(Family Wineries of California)の
レポートをお届けします。
8月20日が一般消費者向け、21日(月)がトレード、メディア関係者向けで、私は21日に参加しました。
(過去のFWOCレポートは、こちらへ。2003年2004年2005年

今年は、このイベント初参加の新進ワイナリーで、かつ、ピノ・ノワールを造っているところをピックアップして回りました。
そう決めてはいても、実際に会場に入ると、あ、あれも飲んでみたい、あ、あの人に会っておかなきゃ、と目移りしますから、
夕方以降のアポイントもあったために「制限時間2時間」としていたのに、結局3時間半も会場でウダウダしておりました。

以下、印象に残ったワイナリーを記します。

                 


Vergari Wines

04 Pinot Noir
 Van der Kamp Vineyard
 Dunah Vineyard
 

 
 2003年設立。オーナー兼ワインメーカーのDavid Vergari氏は、
 オーストラリアやヨーロッパでも ワイン造りに携わっており、
 ワイン業界コンサルタントとして活躍されています。
 単一畑ピノ・ノワールは、いづれも150ケース前後の生産量と非常に少ない。
 Van der Kamp畑は、50年を越す樹齢のオールド・ヴァインがあることで
 有名ですが、ここのピノ・ノワールがその古いヴァインのフルーツから
 造られているのかどうかは不明。 大変落ち着いた感じ、
 そして「ソノマ・マウンテンだぞ〜」と声が聞こえてきそうなワイルドさが混在していて
 大変印象的なワインでした。
 Dunah畑のピノ・ノワールは、これまたより一層earthyで、深い森の香り。
 少しスパイシーな味わいさもバランス良く、ポルチーニ・マッシュルーム入りの
 リゾット頂戴!でした。
 

John Tyler Wines

04 Pinot Noir
Bacigalupi Vineyard

 

 
 ワイナリーでテイスティングしたり、ワイン・ショップをウロウロしていると、
 何故かわからないけれど、あるヴィンヤードが妙に気になり、
 記憶の隅に残り続けることがあります。
 Bacigalupi Vineyardはまさに、私にとってそのタイプのヴィンヤードで、
 確か、Ruddのワインでこのヴィンヤードを知りました。
 「John Tyler Wines」は、そのバチガルピ畑のオーナー、ジョンさんと、
 甥っ子でありワインメーカーのタイラー・ヒックス氏のファースト・ネームを
 取ってつけられた名前のワイナリー。
 30年に渡って、ヴィンヤードを管理してきたジョンさんの「我がワイン」は、
 2002年から市場に出始めています。
 生産量826ケースのピノ・ノワールは、どっしりとしたマッチョ・タイプ。
 ジョンさんの職人気質な雰囲気と、タイラーさんの若く溌剌とした男性の
 イメージがそのまま、ワインになったような感じでした。
 今年からリリースされるジンファンデルもテイストしましたが、不思議と
 シャトー・ヌフ・ドゥ・パープを思い起こされました。
 

August West

04 Pinot Noir
Rosella's Vineyard
Graham family Vineyard

 

 
 カーメル・ヴァレーのBernardusワイナリーをスタートに、Chalone,
  Testarossa
で実力をつけられてきたEd Kurtzman氏は、日本の
  カリフォルニア・ワイン愛好家の方々の間では既に知名度の高い
 ワインメーカーかと思います。
 2002年に、Gary Franscioni氏(Rosella's ヴィンヤード、
 ROARワイナリーのオーナー)と、Howard Graham氏(Graham
  Family
ヴィンヤードのオーナー)とパートナーを組み、オーガスト・ウエスト
 を興されました。
 Grahamのピノ・ノワールは、チェリーコークの味わいが真っ先に飛び
 出してくるキュートなワインで、ちょっと大人っぽいRosella'sのピノ・ノワール
 と対照的でした。40ケースしかリリースされないというシラー(Rosella's)は、大変口当たりの良い、
 飲みやすいものでした。よく言えば癖のない、悪く言えば個性に薄い。
 
Mayro-Murdick

04 Pinot Noir
Iund Vineyard

 
 オレゴンでのワイン品評会のジャッジを勤めていたほどのピノ・ノワール
 愛好家 Michael Cox氏と、奥様のTinaが興したワイナリー。
 ピノ・ノワールしか出していません。
 それぞれの父方のおじいさんのファーストネームをつなげた
 「Mayro-Murdick」ラベルからは、カーネロスのIund Vineyard単一畑
 もののピノ・ノワールを出し、「Hunderdon」というラベル名で、サンタ・
 ルチア・ハイランズのピノ・ノワールを出しています。
 カーネロスのピノ・ノワールは、地方の美術館で思わぬ逸品に出会った
 時のような、ハっとさせられるものがありました。
 とても素敵なピノ・ノワールでした。
 

Aubin Cellars

04 Pinot Noir
Russian River Valley
Sonoma Coast

 
 ラベルのアートにまず惹かれました。そして、「Aubin」という名前も妙に
 ひっかかるのです。(良い意味で、です。)
 初ヴィンテージの2001年には、Fred Scherrer氏のコンサルタントを受けて
 いますが、現在はLoren Tayerle氏がワインメーカーです。
 オーナーのJerôme Aubin氏は、ブースを訪れた人一人一人に丁寧に
 ワインの解説をされていて、大変熱心な真摯な方とお見受けしました。
 ロシアン・リヴァー・ヴァレーのピノは、豊かなエレガントな香りかぐわしく、
 ソノマ・コーストのピノは、深い
earthyさが特徴。かなり気に入りました。
  ロシアン・リヴァーが30ドル、ソノマ・コーストが24ドルという価格もナイス。
 

Black Kite Cellars

05 Pinot Noir
Anderson Valley

 

 
 ブラック・カイトは、アンダーソン・ヴァレーに生息するタカの名前。彼らの
 ヴィンヤードの上空を頻繁に飛んでいるそうです。
 ラベルも、だから、そのタカの絵。渋い。
 
Donald & Maureen Green夫妻を頂点に、彼らの娘家族、孫・・と
 三代にわたるファミリー・メンバーでワイナリー運営が行われています。
 現在のワインメーカーは、「
Saxon Brown」の Jeff Gaffner氏。
 アンダーソン・ヴァレーにある自家農園のフルーツで、ピノ・ノワールだけ
 造っています。
 12月リリースの05年ピノは、ほんの少しまだ未熟な感じがしましたが、
 ナヴァロ川沿いで、コースト・レッドウッド(背の高い木)がそばにあるという
 その風景が目に浮かぶような、清冽なイメージがするワインでした。
 

Freeman

04 Pinot Noir
Sonoma Coast
Akiko's Cuvee
Russian River Valley
Keefer Ranch Vineyard
 

 
 オーナーご夫妻の奥様が、
Akikoさんという美人の日本人女性である
 ことから、ご存じの方も多いかと思います。
 ワインメーカーが、前記「
August West」のEd Kurtzman氏で、
 ピノ・ノワールとシャルドネを造っておられます。
 フリーマンのピノ・ノワールは、どれも「合わせる食べ物」をいろいろと
 連想させてくれるもので、そこが素晴らしいと思うのであります。
 派手さはないけれど、エレガントな、とてもトラディショナルな、
 誠実なピノ・ノワールです。
 このラインアップでは、「
Akiko's Cuvee」が、スパイシーさと香りの深さとで、一番好きでした。
 

         ここから先は、ピノ・ノワール以外。

Ahnfeldt

03 Merlot
Napa Valley

 
 スプリング・マウンテン・ヴィンヤードや、CAIN FIVEにおられたClaig
  Maclean
氏がワインメーカーとして参画しているワイナリー。
  カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、ソーヴィニョン・ブランの3種、合計の
  生産量が1400ケースという少量生産。
 「ワイン・スペクテーター誌」2005年10月号で取り上げられて、
  一躍有名になりました。で、その時点で35ドルだったメルローは、
  1年後の03年ヴィンテージには45ドルに値上がりしてしまいました。
  やれやれ。
 
でも、中途半端に飲みやすいメルローではなく、どっしり凝縮度の高い、
 シリアスなメルローです、これは。
 

Parallel Wines

04 Cabernet Sauvignon
Napa Valley

 

 
 4組の仲の良い夫婦と、ワインメーカー&ヴィンヤード・マネージャー、
 合計10名がパートナーとなって立ち上げたワイナリー。
 ワインメーカーがPhilippe Melka氏で、ヴィンヤード・マネージャーが
 Jim Barbour 氏というから驚きです。今、ナパ・ヴァレーで最もひっぱり
 だこのコンビと言っても良いのではないか、というくらいのこの2名も入って、
 それで出しているカベルネが、40ドル台後半というから、これまた驚き。
 リリース即、売り切れの可能性大です。

 今回テイストした中で、唯一の「04年」ヴィンテージ、カベルネでした。
 ポテンシャル感じられます。私の好きな酸味が程よくて、ハートフルな
 カベルネだと思いました。

 5年ぶりに、フィリップ・メルカ氏をお見かけしましたが、すっかり「サクセス・
 マン」らしくなられて、思わず目を細めて彼を見てしまっている自分に気づき、
 なんてオバさんくさいのだろう、と思ったり。
 
Buoncristiani

04 O.P.C
04 Syrah

 
 4人の兄弟が立ち上げているワイナリーで、4人が4人とも、何らかの形で
 ナパ・ヴァレーの他ワイナリーで働いていながら、自分たちのワイン造りも
 やっています。
 兄弟男ばっかり4人というのも、今の時代珍しい方だと思いますが、
 その4人全員がワイン業界にいるというのも凄いことです。
 Coombsvilleにケーヴを造ったそうで、「絶対見に来てよ」とのことですので、
 近いうちに取材を兼ねて訪れることにします。
 もとより、ブレンドの「O.P.C」は好きなワインだったので、兄弟のお一人と
 お話できたのは良かったです。
 

         2003年ヴィンテージのカベルネ・ソーヴィニョンは、あまり前評判芳しくないようで、確かに一部のワインには「かなり普通」という
         印象のものがあるのは確か。でも、これは03年ヴィンテージに限ったことではなく、何かの拍子に「普通」になってしまうものは
         毎年存在します。
         ピノ・ノワールでチェックを入れていたものをテイストし終わったあと、カベルネ03年を飲み歩きましたが、
         個人的な感想は、「山を目指せ」でした。特に、ダイアモンド・マウンテン、スプリング・マウンテン地区。

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