Staglin Family Vineyard
スタグリン・ファミリー・ヴィンヤード
【ピュアなエステート】
スタグリン・ファミリー・ヴィンヤードは、マヤカマス山脈のふもと、Rutherford(ラザフォード)に畑と
ワイナリー施設を持つ、純正エステートです。純正というのは私の造語ですが、すなわち、敷地内に
自分たちの畑を持ち、敷地内にワイン造り施設があり、ボトリングまでそこで完了させる
「敷地内(エステート内)完結型」ワイナリー。
幹線道路29号線から、細い農道をマヤカマス山脈方面(西)に走っていくと、そこに入り口があります。
ゲートの向こうには、一面のヴィンヤード。ゲート近くがシャルドネ、奥にカベルネ、サンジョヴェーゼ、
まだ若いプティ・ヴェルドーが植えられており、近隣ヴィンヤード同様、「オーガニック」農法で栽培されています。
【由緒正しき土地】
スタグリン・ファミリーの歴史は、現オーナーのお父様、Pasquale
Stagliano改め
Ramon Staglin氏が、イタリア・カンブリア地方からアメリカに移住、東海岸、ネブラスカ州での生活を
経て、1945年にカリフォルニアに移ってこられたことから始まります。
カスタムメイドの室内装飾品製造を生業にしながら、ホーム・ワインメーキングを趣味でやっておられた
ラモン氏は、息子のGarenに4歳の頃からワインを飲ませていたそうです。
UCLAを卒業、スタンフォード大学のMBAを取得したギャレンは、何度となくナパを訪れるうちに、いつの日か、うんと年取ってしまう
前に、この素晴らしいワインカントリーで生活することを夢見ていました。
ベンチャー・キャピタル業界、及びインフォメーション・テクノロジー関連会社で成功を収めたギャレンは、遂に1985年、62エーカーの
ラザフォードの土地(うち、ヴィンヤードは50エーカー)を買ったのでした。
この土地は、かのアンドレ・チェリチェフ氏が1966年に植樹、ことのほか大事に手を入れていた畑で、
BV(ボーリュー)の最高級ライン「Georges de La
Tour Private Reserve Cabernet
Sauvignon」がここから造られていました。
ギャレンと奥様のシェリさんは、この土地を譲ってもらうべく、ジョージ・ド・ラツール氏のご子孫に
熱心にお願いをされたそうです。
そうして、夢をかなえた彼らは、アンドレ・チエリチェフ氏の指導を受けながら、その葡萄を育て始めました。
【カーヴ内ワイナリー】
コンサルタント、ワインメーカーがCelia
Welch Masyczekさん、ヴィンヤード・マネージャーがDavid Abreu氏という凄い面子で、スタグリンのワインは造られていたのですが、優良な畑を持っていたら当然、同じ敷地内にワイナリー施設を造りたくなります。
で、1989年、ギャレン氏はワイナリー施設と熟成用カーヴを建てる許可を申請したのですが、
周辺住民たちの反対により却下されてしまいました。
で、上記3人組が出した案が、「じゃあ、カーヴの中にワイナリーを造ってしまったらどうか?」というもの
でした。口では簡単に言えますが、樽を寝かせておくだけのカーヴと違って、その中でワイン造りの工程
すべてを行う場合、天井の高さ、作業場によっての室温・湿度調整、機械を置くスペース、すべてを
考慮しなおさなければなりません。
すったもんだの末、そして当初よりもかなりの予算オーバーの末、カーヴ内ワイナリーが完成。
24,000スクエア・フィート(約2160平方メートル)の現存スペースにおける工事がすべて完了したのが、2002年5月でした。
この地を購入してから実に17年後の快挙です。
【映画の舞台】
現在も、インフォメーション・テクノロジー業界で、4会社のディレクターをし、投資家活動も続けておられる
ギャレン氏ですが、このカーヴ建築の最中、ご家族揃って当地に自宅を建て、移り住んで来られました。
このご自宅というのが、素晴らしいイタリアン・カントリー・スタイル・ヴィラ。
スタグリンと言えば、最近の賛否両論映画「モンドヴィーノ」で取り上げられたことで話題になりましたが、
それよりも、ディズニー映画「ペアレント・トラップ The Parent Trap」がここで撮影されたことの方が、
私には興味深かったです。
今をときめくヤング・セレブリティ Linsay Lohan リンゼー・ローハンが、まだ初々しくもお茶目で
可愛い12歳のときの映画「ペアレント・トラップ」は、「二人のロッテ」のリメーク版。
リンゼーが双子を一人二役で演じるのですが、お父さんがナパ・ヴァレーのワイナリー経営者という設定でした。
で、その家に使われたのがスタグリンのご自宅だったというわけです。
とてもキュートな映画で、私は数度見たほど気に入っているのですが、「あの素敵なヴィラはどこにあるのだろう」と
ずっと思っていました。 だから、スタグリンのご自宅がそれだったとわかった時は、長い間ひっかかっていた骨がノドから取れた
ようにスッキリしました。
ご自宅なので、そこまで車を乗り付けて写真撮影することは遠慮しましたので、ここにその写真は
ありません。是非、この映画をご覧ください。本当に素敵です。
【テイスティング】
というわけで、テイスティングです。ワイナリー施設をひとおおり、ぐるっと案内していただいてからの
テイスティング。
この日は以下の3種でした。
Salus Chardonnay 2004
$40.00
Cabernet Sauvignon, Rutherford, 2001 $150.00
Cabernet Sauvignon, Rutherford, 20th Anniversary 2002 $150.00
シャルドネは、ロ〜〜ング・フィニッシュの、フルーツ風味口内炸裂型。 ヴァニラ風味がかなり長い間残るので、
私は二口しか頂けませんでした。高級シャルドネです。
カベルネは、実に印象深い違いを実感しました。01年の香りは甘くかぐわしく、時間がたつにつれ、その深いアロマが
更に強くなっていきます。が、口に含むと、酸味が前面に出てきて、これでバランスが取られている印象を受けました。
一方、02年は甘いだけでない、もう少し大人っぽい香り。
そして、woodsyな味わい。この森林浴しているような風味と、ダーク・ベリー系の風味が積み重なって、
深みというか複雑味がぐんぐんと増していきます。
か〜〜なり好きです。お値段もやっぱり凄いし。
迷ったけれど、1本買いました。再来年くらいのクリスマスに飲んでみたい。
この2002年のカベルネが、現在のカーヴで全工程を経た初のワインだそうです。 |