Signorello Vineyards シニョレッロ・ヴィンヤーズ
ナパ・ヴァレーを南北に走る幹線道路ハイウエイ29号線は、ヴァレーのほぼ中心を縦断していますが、
それとほぼ平行に、ヴァレーの東側を南北に走るのが、シルヴェラード・トレイル。
ヴァレー南端ナパ市から、北端カリストガに至るまで、このシルヴェラード・トレイルには信号がひとつも
ありませんので(セント・ヘレナに入ってから一つだけ点滅信号がありますが)、制限速度を遥かに超えて
ビュンビュン飛ばすドライバーがかなり多い道です。
今回は、そのシルヴェラード・トレイル沿いにあるワイナリーをご紹介します。
【Signorello
Vineyards】
ダウンタウン・ナパの外れから始まるシルヴェラード・トレイルを北上して間もなく、AVAで言うと
「オーク・ノール」と「スタッグス・リープ」の丁度境目あたりに、「シニョレッロ・ヴィンヤーズ」があります。
立派なサインを確認して入っていくと、その道はま〜〜っすぐ、丘の上につながっていきます。
このアプローチがとてもリッチな雰囲気。
ヴァレーを見下ろす場所には美しく手入れされたプール、緑に覆われた建物は天井高く造られており、
テイスティング・ルームは明るく開放感のあるスペース。
紙で包んであるかのようなデザインのランプが、おっしゃれ〜な感じを出しています。
98年に62歳という若さで他界された、創立者のレイモンド・シニョレッロSr.氏は、サンフランシスコ
生まれのサンフランシスコ育ち。
結婚してベイビーができた翌年に、カナダ・バンクーバーに移住されますが、ワインに並々ならぬ
情熱をお持ちだった彼は、70年代にナパ・ヴァレーのこの地にヴィンヤードを購入。
80年代から、息子さんのレイモンドJr氏も経営に参画、親子で優れたクオリティのフルーツを
育ててきました。
もともとは、ヴィンヤード・オーナーとして、収穫された葡萄をワイナリーに売る側でいたのですが、
85年のハーヴェストを機に、自分たちのワインをプロデュースするようになります。
そして翌年86年には、敷地内にワイナリーを建て、本格的なワイナリー経営へと乗り出したのでした。
巷でよく見かけるシニョレッロのワインは、エステート・フルーツを使ったカベルネ・ソーヴィニョンです。
年によって生産量は上下しますが、平均して約2600〜3000ケースが出回ります。
もちろん、このカベルネも素敵ですが、当ワイナリーに訪れたなら、まだまだ生産量の少ない他品種を
テイストしたいものです。
Seta, Proprietary White Wine
生産量約520ケース
いつ行っても売り切れ状態のホワイト・ブレンド。セミヨンとソーヴィニョン・ブランのブレンドです。
パッション・フルーツの甘い風味と、キリっと効いた酸味とのバランスが素敵なワイン。
9月にリリースとのことですので、その直後が狙い目でしょう。
Pinot
Noir, Las Amigas Vineyard, Carneros 生産量約115ケース
カーネロス地区にある「ラス・アミーガス」ヴィンヤードは、1946年にルイ・マーティニ氏が開墾した畑です。
それを、1992年、かのベックストファー氏が買い取って現在に至っています。
ちょっぴり甘めのピノ・ノワール。
Zinfandel, Luvisi Vineyard 生産量約360ケース
カリストガ地区、シルヴェラード・トレイル沿いにある当ヴィンヤードは、1900年初頭から葡萄が植えられて
いる古い畑です。ここから収穫されるジンファンデルは、樹齢55〜65年もの。
いわゆる「Old Vines」の範疇に入るかと思います。
オールド・ヴァインのジンファンデルを頂くと、長年の辛苦を味わってきたおじさまに「私の人生、そう簡単に
あんたにわかってもらえんだろうな」と、鼻でフンと笑われているかのような気分に陥ることがあります。
そう簡単にわからないからこそ、何度でもひつこく味わい続けて、追いつきたいと思うのであります。
Syrah, Estate
生産量約265ケース
オーク・ノール地区に、92年に植えられたシラー畑は、当ワイナリー所有。
シラーと一緒に、数パーセントのヴィオニエがブレンドされていますが、テイスティング・ルームの裏側、
山に向かって伸びる畑から、そのヴィオニエが収穫されています。
ハーヴ風味の効いたタイプのシラーではなく、ローストされたレッド・ミート、コーヒー豆の風味が強い方の
タイプです。
ブラックペッパーをたっぷりなすりつけたボット・ローストなんぞを合わせてみたいと思いました。
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