Rubicon Estate
ルビコン・エステート
【ジェネラル・マネージャーにラリー・ストーン氏】
昨年12月21日に発信したニュースレターVol.95で書きましたように、映画監督フランシス・フォード・コッポラ氏
所有のワイナリーが、その名称を「ニーバウム・コッポラ」から「ルビコン・エステート」に変えました。
「ルビコン・エステート」のジェネラル・マネージャーに就任されたのが、サンフランシスコの「ルビコン」レストランで
ソムリエをされていた、ラリー・ストーン氏です。一回目の挑戦で「マスター・ソムリエ」の資格を取った数少ない
アメリカ人ソムリエのお一人で、その昔、パリで行われた「International
Best Sommelier in French
Wines and Spirits」で優勝した初のアメリカ人でした。
また、「The Union de la Sommelerie」から「Maitre
Sommelier」の称号を獲得している唯一のアメリカ人でもあります。
輝かしい、これらの肩書きがありながら、ストーン氏ご自身はとても柔和で腰の低いジェントルマンであられ、「ルビコン」レストランには、
彼と、彼のお薦めするワインに出会うことを楽しみにして来店されるお客様があとを引きませんでした。
「ルビコン・エステート」のジェネラル・マネージャーになられたことは素晴らしいことなのでしょうが、レストランで彼に会えなくなるのは、
一顧客としては、かなり残念なことでもあります。
【「グランド・ワイン・エステート」として】
さて、新生(?)「ルビコン・エステート」ですが、以前とどう変わったのでしょうか。
一言で表現するなら、「グランド・ワイン・エステート」として、よりラグジュアリーな雰囲気を出すようになった、
というところかと思います。
29号線からワイナリーへの道を入り、ゲートを抜けるとすぐに、係りの人が待機するテント前で車を停められます。
ゲートから奥のシャトーまで、約150メートルほどのプロムナードがまっすぐに延びているのですが、ここをゆっくり
ドライブする間に聞き終える長さの紹介テープが入ったカセット・レコーダーを渡されます。
テープで流れるのと、ほぼ同じ内容が書かれたカードも手渡されますが、その内容とは、
@新しいVIP経験があなたを待っている。
Aおひとり25ドルで、「ルビコン・パスポート」が渡される。
Bこのパスポートがあれば、シャトー、ミュージアム(コッポラ監督の映画関連展示物)、ワイナリーの見学及びテイスティングを楽しめる。
ここが大きく以前と異なるところです。
「ニーバウム・コッポラ・ワイナリー」の時は、誰もが自由に敷地内に入れて、テイスティングしたければお金を払い、
テイスティングに興味がなければ、映画関連の展示物を見学したり、ギフトショップでお買い物をするだけ、
というのも可能でした。が、「ルビコン・エステート」では、テイスティングをしてもしなくても、とにかく敷地内に入るには、
25ドルを払わなければいけないのです。
この「イントロダクション・テープ」を聞いて、25ドルを払うのなら止〜めたという人は、プロムナード終点で係りの人に
その旨を告げれば、そのまま出口に案内されます。
趣旨に納得、25ドル支払いOKの人は、その旨を告げ、車を停める場所に案内されます。
車はすべて「Valet Parking」。鍵を残して、係りの人に駐車・出庫をしてもらいます。
車を降りると別の係りの人が現れ、パスポートの説明、どこに何があるかの説明、テイスティングの説明がひととおり行われます。
このパスポートは、3日間有効。つまり、ワインカントリーにいる間、3日間連続して当ワイナリーを訪れたければ25ドルでOK,ということ
なのですが、そういう人はかなり少ないと思われます。
シャトーを入って右は、ギフトショップとテイスティング・バー。以前は、ここで4種類18ドルのテイスティング・フィー
でした。もちろん18ドルだけ支払い、2〜3人でシェアすることも可能でしたが、新システムでは「ひとり」25ドル
ですので、シェアの意味はなし。
ただし、以前の4種類と違って、5種類用意されている上に、ここでの最高級ワイン「ルビコン」が出される
ようになりましたので、25ドルの価値はあるかと思われます。グラスは、リーデル。
少々疑問なのは、アルコールを受け付けない人でも25ドル払う必要があり、こういう方たちのために、入って左奥にコーヒー・スタンドが
あるのですが、これが別払いだということ。カフェ・モカ、ラテ、エスプレッソ各種揃っていますが、ちゃんと値段がついています。
同じ25ドルを支払うのですから、アルコールがダメな人、でもおつきあいでここに来られた人用に、パスポートにそれとわかるスタンプか
何かを押して、ひとり1杯(1本)、ノン・アルコール飲料を無料で提供するようにしたら良いのに・・・、と思いました。
【ラザフォードでは優雅にゆったりと・・・】
「ルビコン・エステート」として、新しいラベルをつけたワインも登場しています。それと交代するように、
以前から馴染みの深い「Coppola」の文字が大きく刻印されたボトルは、ショップから姿を消しています。
娘さんの結婚祝いに作られ始めたソフィア・スパークリング・ワインも、あの缶入りセットは姿を消しました。
つまり、ラザフォードにある「ルビコン・エステート」は、より高級な、より豊かなラインアップと雰囲気を味わう場所
となったということです。
そして「カジュアル」な雰囲気は、ソノマ・カウンティの元「シャトー・スーヴェライン」で楽しむことができるはず。
3月あたまから、コンバート作業に入るとのことで、4月にはニーバウム・コッポラ・ワイナリーとしてリニューアル・オープンする予定です。
ここにはレストラン施設があるので、どういうダイニング・シーンが登場するのか、とても楽しみです。
私のように、平日の午前中、ちょっと一息つきたくてフラっと「ニーバウム・コッポラ」ワイナリーに寄って、
ベンチで休憩していた者にとっては、その安らぎの場所がひとつ減ったことになるわけで残念ではありますが、
ここのワインを本当に好きで、是非訪れてみたいと思う方には、ベター・チェンジだと思います。
以前のように、たくさんの人でわんさか、まるでテーマパークのような騒がしさ、テイスティングするにも
人の列・・というようなことは恐らくあまりもうないと思われますので、じっくり、ゆっくりワインを味わい、
敷地を愛でることができます。
テイスティングもショッピングも終えて、ひととおり敷地内を見て回ったら、駐車場横に設置されたキオスクに行き、
ここで支払いを済ませます。そして、係りの人が車を回してくれますので、それに乗り込んでさようなら。 |