PATZ & HALL
パッツ&ホール 【四人の共同作業】
「パッツ&ホール」が設立されたのは1998年。つい、この間かと思っていましたが、もう10年近くに
なっていました。当時は、カリフォルニアのピノ・ノワールが俄然注目を浴び始めていた頃で、
日本でも「ソムリエ」という漫画(劇画?)で、「カレラ」が紹介された直後でもあります。
パッツ&ホールは、その名が示すように、四人の男女によって興されたワイナリーです。
すなわち、
James Hall & Anne Moses: Flora
Springs, Honig Cellars, Far Niente, Spring Mountain, Marimar Torres
Cain Vineyard.という、有名どころでワイン造りに携わってこられたコンビ。
Donald Patz & Heather Patz:
Flora Springs や Girard Wineryで、セールス&マーケティングに携わってこられた
ドナルドさんと奥様。
この方達によって、ハイ・クオリティのピノ・ノワールとシャルドネだけに焦点を絞った「パッツ&ホール」のワインが生み出されました。
【単一畑ものと、リージョナルもの】
パッツ&ホールを興すにあたり、彼らは広範囲に渡り、シングル・ヴィンヤード(単一畑)ワインにふさわしい
フルーツを探しまわりました。栽培の段階から、ヴィンヤード所有者・ヴィニャード管理者とコミュニケーションを
密にし、長期契約によってお互いの信頼度を高め維持する方法を取っています。
つまり、パッツ&ホール自体は、彼ら自身の畑を持っていないということです。
現在、シャルドネ、ピノ・ノワール共に、五つのヴィンヤード指定ものを出しています。
これら単一畑ラインにおいては、製造過程はすべて同じ。
ヴィンヤード毎に違った造り方をしているわけではありません。
造り方は同じでも、各ヴィンヤードの個性がフルーツに充分現れていますので、出来上がりはそれぞれの
キャラクターが明確に出ています。
ヴィンヤード指定ラインのほかに、シャルドネ、ピノ・ノワール共に1本ずつ、リージョナル・ラインを出しています。
シャルドネはナパ・ヴァレー、ピノ・ノワールはソノマ・コーストです。
【テイスティング・サロン】
現在、パッツ&ホールのワインは、ワインメーカーの古巣「Honig
Cellars」のカスタム・クラッシュ施設を
使って造られています。
遠くない将来、ソノマ・カウンティのどこかに彼らだけのワイナリーを設ける予定ですが、いつになるのか
ハッキリしたことはまだわかりません。
一部の熱狂的ファンだけでなく、もっと広い範囲のワイン愛好家に、パッツ&ホールのワインを知ってもらいたい
という願いをこめて、今年2006年春、ナパ市内に「テイスティング・サロン」をオープンさせました。
ナパ市の入り口、ビジネス・パークと呼称される倉庫型平屋ビルが集中して立ち並ぶ一角に、そのサロンがあります。
まわりを色鮮やかなヴィンヤードに囲まれて、陽光燦燦とふりそそぐ中でのセッティングという、典型的なテイスティング・
ルームとはかけ離れていますが、無粋な建物群の中で、当サロンの入り口は、そのサインからしてお洒落であります。
中に入ると、そこはエレガント&クールなアート・ギャラリーのよう。
美しくセッティングされた長方形のテーブルには、10名まで座れます。
つまり、テイスティングは1回にあたり、10名までに限定されるということです。
ですから、大変親密な、リラックスした雰囲気でテイスティングを楽しむことができるのです。
【テイスティング】
その日、私達を迎えてくださったのは、合気道の先生をやっておられるという男性。
ちょっと日本語も話されます。
合気道を習っているワイン業界関係者も少なくなく、XXXも私の生徒、と、ちょっとびっくりするような
名前が出てきました。
テーブルには、3種のシャルドネと3種のピノ・ノワールが並べられ、その真ん中にそれらとペアリング
されたアペタイザーが置かれています。
グラスは、リーデル。
その日のアペタイザーは、チーズ2種、ナッツ、クラッカー、そしてフルーツ・コンポート。
朝ごはん抜きでやってきた私には、とてもありがたいフードでした。
その日のワインのラインアップは以下。
シャルドネ
@ 05
Durell Vineyard (Sonoma Valley)
A 04 Hyde Vineyard (Carneros)
B 05 Zio Tony Ranch (Russian River)
ピノ・ノワール
@ 04 Chenoweth
Ranch (Russian River Valley)
A 03 Alder Springs Vineyard
(Mendocino)
B 04 Pisoni Vineyard (Santa Lucia
Highlands)
ヴィンヤード名を注意してご覧になっているワイン愛好家なら、さすが、なるほどと思われるであろうライン・アップです。
パッツ&ホールの中では、シャルドネならHyde Vineyard、ピノ・ノワールならAlder
Springs Vineyardのものが、
個人的には大好きだったのですが、今回並べて平行してテイスティングしてみて嬉しい驚きだったのが、
Zio Tony Ranchのシャルドネと、Chenoweth
Ranchのピノ・ノワールでした。
ジオ・トーニ・ランチのものは、マーティネリでも造られていて、そちらのものもナイスではありますが、
パッツ&ホールのジオ・トーニ・シャルドネは、しっかりフルボディでありながら、ベトつかない、気持ちの良いクリスプさが
あって、「おいし〜い」とニコニコしてしまうものでした。
ピノ・ノワールは、ピゾーニも大変おいしかったのですが、いかんせん高い。(80ドル)
チェノウエス・ランチのピノは、最初の香りがとてもスモーキーでEarthyで、それと対照的に口の中では酸味がぶわっと
広がります。が、時間がたつにつれ、香りに「甘さ」が出てきて、ついつい何度もこれに戻ってしまいました。
テイスティングに一人35ドルもかかるからだけとは思いませんが、その日同席した方々は南カリフォルニアからのご夫婦と
東海岸からのカップルで、いづれも豊かな生活をされておられそうな、いわゆる「富裕層」でございました。
どこどこのワイナリーに行った、行く予定、あそこのレストランは良かった、ここはどうだ?という話で
テイスティング後半は大層盛り上がりました。
ナパ・ヴァレー南端にありますので、一日の始まりか最後をここで、というのがよろしいかと思います。
ピノ・ノワールとシャルドネのファンなら、是非、ルートに入れてみるべき。 |