Opus One Winery
オーパス・ワン・ワイナリー 【今さらではありますが・・・】
カリフォルニア・ワインに興味を持ち始めたら、或いは、あまりカリフォルニア・ワインを口にしたことがなくても、ワイン好きなら
必ず目にする耳にするワイン「オーパス・ワン」。カリフォルニア産の高級ワインとして、知名度は群を抜いていると思われます。
「ワインカントリー日本語ガイド」のご案内でも、オーパス・ワン・ワイナリー訪問を希望される方は全体の約8割強。
あまりに有名なので、当サイトでご紹介するまでもないものと、今まで取り上げていませんでした。
が、2007年が始まり、オーパス・ワン・ワイナリーもビジターへのポリシーが少々変化したため、今更ではありますが、
ご紹介しておくことにしました。
【新しい訪問ポリシー】
一般消費者が参加できるワイナリー内ツアーは、これまでは「無料」でした。主要祝祭日を除く毎日、
午前10時半に行われ、申し込みが多いため、昨年のある時期から、午後2時にもツアーを出しておりました。
約1時間ほどのツアーのあと、参加者は「Partners' Room」に行き、希望者のみ1杯25ドルの
テイスティングをしていました。
新しいポリシーになって、この無料ツアーが有料となり、おひとり30ドル。この30ドルの中に、現リリースのオーパス・ワン
1杯が含まれます。テイスティングそのものは、ツアーの最後、地下のセラー内で行われます。
つまり、以前は、無料ツアーに参加して、1杯25ドルのテイスティングを、2〜3名で割り勘して試飲することができたのが、
今は、ツアーに参加するのなら、シェアしようがしなかろうが、ひとり30ドルかかるということです。
ツアーはせずに、テイスティングだけ楽しみたいということなら、以前は自由に「Partners'
Room」に行って、1杯25ドルを買い、
その部屋でテイスティングしても良し、景色の良いテラスに上がって、のんびりテイスティングするも良しでした。
が、新ポリシーになってからは、この「テイスティングのみ」にも、事前予約が必要となりました。
「Partners' Room」自体、さほど広いスペースではありませんので、カウンターに人が群がって、金曜日の夜のクラブ並み混雑の中、
ざわざわと落ち着かない雰囲気になることが、シーズン中にあったのですが、そういう状況をなくすため、ある一定以上の人数は
入れないように調整するようになったのです。
冬のオフ・シーズンは訪れる人の数が少ないため、この新システムを知らずにワイナリーを訪れても、受付で申し込めば問題なく
テイスティングすることができるとは思いますが、4月以降のシーズンに入ると、事前予約なしでは門前払いを受ける、或いは、
別の時間を予約して再び戻ってこなければならなくなる可能性大です。
この「テイスティングのみ」の場合は、1杯25ドルをシェアすることは従来通り、可能です。
時々、昔のヴィンテージのものがメニューに出てくることがあり、1杯30ドル〜40ドル。
ここにご案内する時は、テイスティングの1杯をお買い頂き、そのグラスを持ってテラスに上がっていただいておりました。
ヴィンヤードが広がり、斜め向かいにロバート・モンダヴィ・ワイナリーが見え、遠く北端にはセント・ヘレナ山を眺望できる
ここからの風景は、なかなか素敵なものなのです。
が、ここも、プライベート・テイスティングその他で使用され始めますので、いつでも上がっていける状態ではなくなるようです。
【ツアー&テイスティング】
さて、1杯のテイスティング付きツアーですが、大まかな流れをご紹介しておきます。
「The Salon」と呼ばれるお部屋に集まり、モダンなソファに着席し、ワイナリーの歴史背景について説明を
受けます。当ワイナリー全体の大きなコンセプト「旧世界と新世界の融合」が、この「サロン」にも応用されており、18世紀のイタリアン・オペラ・チェアー(椅子)が置かれてある一方(これは、ロープが張られていて座る・触る
ことはご法度)、モダンなソファ、テーブル、椅子が素敵にセットされています。
壁には、ムートン・ロッチルド(ロートシルト、ロスチャイルド・・・)のアーティスト・シリーズで過去使われたミロの原画。
このあと、ワイナリーの中庭部分に出て、アーキテクチャー関連の説明。
ラボラトリーに移動し、天上からの採光を取り入れた真っ白の室内の様子を拝見し、ブレンディングのプロセスに
ついて説明を受けます。
ラボラトリーを通り抜けると、発酵タンクの上蓋が並ぶエリアに出ます。
1800年代後半にはごく当たり前だったものの、今では「お金をかけて」設備を整えなければならない
「グラヴィティ・フロー」(重力流動)システムが、オーパス・ワン・ワイナリーでは取り入れられています。
ヴィンヤードで収穫されたフルーツが、どのようにここに運び込まれてくるか、それらの葡萄がどのように処理されて
発酵タンクの中に入っていくか、を、ここで聞きます。
収穫時期(10月頃)のツアーでは、それらの様子が目の前で行われているのを見学することができます。
また、ツアーをしてくださる人によっては、裏のヴィンヤードまで足を運び、フルーツを摘んで、収穫日の判断に
ついて説明をしてもらえます。(あくまで、その時の「人」によります)
階段を降りて、発酵タンクのボディ部フロアーへ。
ここで、発酵後のプレス処理、プレス時に使用する器具などを見学。
そして、シングル・トラックのセラー(樽がずら〜っと並んでいる所)へと移動します。
大抵のワイナリーでは、樽が何層かに積み上げられていますが、オーパス・ワン・ワイナリーでは、
発酵後の最初の1年ほどは、シングル・トラック(一層)で寝かされます。
緩やかなカーブを描いて、一面に樽がずら〜〜〜っと並んでいる光景は、何度見ても印象的で、
ツアー参加者も、ここで一様に「おおおおおお」と感嘆の声を上げます。
ツアーそのものは、ここで終わり、以前はここから上に戻って「Partners'
Room」で各自テイスティングして
いましたが、新システムでは、シングル・トラックのセラーが見えるスペースでのテイスティングとなります。
実は、このスペースの奥、扉ひとつ向こうに「個室」があり、VIPプライベート・テイスティング(数名程度)は、
その個室で「着席」にて行われます。
VIPプライベート・テイスティングになると、現リリースのものに加えて、過去ヴィンテージのものが出されます。
(プライベート・ツアー&テイスティングは、申し込み者に「それなり」の肩書き・職種・理由が必要です。)
充分な知名度、名声がありながら、気軽に訪問できるワイナリーとして、オーパス・ワンは貴重な存在では
あったのですが、その「気軽さ」が災いして、冷やかし半分とでも言うのでしょうか、そういう訪問者が少なく
なかったのも事実。
新しいビジター・ポリシーが適用されて、純粋に「オーパス・ワンの現リリースをテイスティングしたい」、
「オーパス・ワンがどのような環境で造られているのかを見てみたい」と思う人だけが、ゆったりと時間を
過ごすことができる、「高級ワインの製造所らしい」場所となるのではないでしょうか。
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