KAPCSÁNDY
FAMILY WINERY キャプサンディ・ファミリー・ワイナリー
【移住、そしてワイナリー】
キャプサンディ・ファミリー・ワイナリーは、Lou &
Roberta(Bobbie) 夫妻、そして息子さん Louis Jrによって運営
されていますが、もともとルーさんはハンガリーの生まれで、1956年のハンガリー動乱時にアメリカに亡命して
こられ、アメリカにて建設会社を設立、かなりの成功を収められてきました。
建設会社経営中は、それこそ世界中に出張されていて(日本にも何度も行ったことがあるそう)、当時からワイン
愛好家であった彼は、フランスを始めとする伝統ワイナリーのトップ・レベル・ワインを数多く飲んでこられていた
ようです。
その建設会社で築き上げた財産を、ナパでのワイナリー造りに投資、キャプサンディ・ファミリー・ワイナリーが
興されたのであります。
まず、2000年5月、Yountville の一画にある「State
Lane Vineyard」を購入。当ヴィンヤードは、1972年からベリンジャーが
所有していた畑で、80年代は、ここのフルーツから、ベリンジャーの単一畑カベルネ・ソーヴィニョン、そして、リザーヴ・カベルネが
造られておりました。
ベリンジャーを代表するリザーヴ・カベルネの出所の一つであったヴィンヤードを、何故ベリンジャーが手放したのか、その理由の
大きなものは、ルーさんが購入してから判明。ここの葡萄木の大半が、フィロキセラにやられていたのでした。
「そんなこと、誰も言ってくれなかったのだよ。まあ、良い値で土地を売ろうという側にしたら、そんなこと言うわけないのだがね。」と、
ルー氏はニヒルに笑いながら、おっしゃってました。
で、購入一年後に、大規模な再開墾を始めました。大変有名なワインメーカー、Helen
Turleyさんと、彼女のご主人でこれまた
有名な葡萄栽培家、John Wetlaufer氏とチームを組み、土壌の性質、物理的特性、土壌化学、地質学的構成、水はけ等を
徹底的に調査。そして、20エーカーの土地を15ブロックにわけ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・
ヴェルドーを植樹。2003年に、初の収穫。
当時は、ワイナリーがまだできていませんでしたので、収穫されたフルーツはマーカッサン・ワイナリーに運ばれ、そこで一連の
プロセスが行なわれていました。
2005年9月に、ヴィンヤード敷地内にワイナリーが完成、05年の収穫時から、ワイン造りの全工程がここで
行なわれるに至っています。現在、ヴィンヤードは、その仕事に高い定評を持つ「Pina Vineyard
Management Company」によって手入れされています。
コンサルティング・ワインメーカーは、シャトー・ラトゥールのDenis Malbec氏と、ナパ・ワイン・カンパニーの
Rob Lawson氏。強烈なチームです。
03・04年ヴィンテージは、State lane Vineyard Red
Table Wine のみのリリース、05年ヴィンテージから、
カベルネ・ソーヴィニョン、エステート・キュヴェ、ロバータ・リザーヴの3本立てになっています。
それでも、06年ヴィンテージで見ると、この3本立て合計の生産量が、1665ケースのみ。
前記の有名コンサルタント、ワインメーカーを雇って、最新設備のワイナリーまで建てて、それで1700ケース弱ですから、
「黒字になるのは、まだまだ先だろうねえ」と、ルーさん。
先の事業で成功を収め、充分な資金がないと、ここまでのワイナリー設立は無理なわけです。
【充実ツアー】
キャプサンディのような少量生産で、しかも、ロバート・パーカーJR氏から毎回高得点をもらっているワインを出して
いるワイナリーというのは、一般公開されていない所がほとんどで、それはビジター受入れの認可を取っていない
からであり、認可を取らない・取れない理由は、ビジターを受け入れるだけの要員がいない、雇えない、或いは、
メイリング・リスト・メンバーへの販売で手一杯、それ以上販売するだけの生産量になっていないから、ということ
になります。
ですから、最少・最大人数制限、日にちの限定、少々お高いツアー&テイスティング代という条件があろうとも、
一般ビジターを受け入れているキャプサンディは、貴重かつ希少な存在であると言えます。
アポイントメントが取れれば、大抵の場合、オーナーのルー・キャプサンディ氏自らがビジターを迎え、
敷地内のツアーをしてくださいます。
ステート・レーン・ヴィンヤードの歴史(上に書いたような内容)、土壌の説明、醸造施設の説明を受けます。
そして、長い大きなテーブルに着席してのテイスティング。
訪れた日のラインアップは以下でした。
2007 Rosé
カベルネ・ソーヴィニョン49%、メルロー41%、カベルネ・フラン7%、プティ・ヴェルドー3%
生産量300ケース
セニエ方式、ステンレス・スティール・タンクでの発酵、熟成。
ロゼというより、薄い赤。フル・ボディで、ドライで、ミーティで、とにかく、大変パワフルなロゼ。
これからの季節、キリっと冷やして頂けば、バーベキューしたガッツリお肉にも素晴らしく
合うことでしょう。
2003
State Lane Vineyard Red Table Wine
カベルネ・ソーヴィニョン90%、メルロー10% 生産量145ケース
2005 Estate Cuvée
カベルネ・ソーヴィニョン56%、メルロー40%、カベルネ・フラン4% 生産量740ケース
これら2本は、キャプサンディ・ワインの歴史を知ってもらいたいとのルーさんのご意向で試飲に出されました。
「レッド・テーブル・ワイン」と名付けられていたものが、05年ヴィンテージから「エステート・キュヴェ」という
名前に変わったわけです。
2006 Estate Cuvee
カベルネ・ソーヴィニョン48%、メルロー48%、カベルネ・フラン4%
生産量750ケース
03,05,06と飲み比べることができて、大変ラッキーでした。
私個人の感想は、05年のものが、豊穣なダーク・フルーツの香り、華やかなバラの香り、
そして上等な万年筆のインクの香りが豊かで、素敵だなと思いました。
2006
Cabernet Sauvignon
カベルネ・ソーヴィニョン91%、メルロー8%、カベルネ・フラン1% 生産量650ケース
非常にスムースでエレガント。香りを感じてから、口に含み、喉を通っていくまで、何の躊躇もなく、す〜っと
流れていく感じでした。バランスも素晴らしい。
2006
Roberta's Reserve
メルロー94%、カベルネ・フラン6% 生産量265ケース
キャプサンディ・ファミリー・ワイナリーの代表的・最高級ワイン。
05年ヴィンテージからの登場で、カベルネ・ソーヴィニョンなしのメルロー主体ブレンド。
どっしり重厚なメルロー、香り豊か、酸も美しく立ち、バランス良し。すべてにおいて、素晴らしい。
カリフォルニアでも、こんな大人っぽいメルロー主体のワインができるのだ!と感激。
生産量が生産量だけに、ワイン・ショップでもなかなか見つからない、このワインに出会えたことが
最大の収穫でした。
1本$150という値段は、それだけ見れば、かなり高いものですが、近隣ワイナリーで、それらの
代表的ブレンド・ワインが200ドル以上していることを考えると、「頑張ってるなあ」と思ってしまいます。
ルーさんいわく、2007年ヴィンテージのロバータ・リザーヴは、何とたったの100ケースしか生産されて
いないそう。メーリング・リスト・メンバー以外は、入手不可能に近いです。
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