HARTFORD FAMILY WINERY
ハートフォード・ファミリー・ワイナリー 【ロシアン・リヴァー・ヴァレー】
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ロシアン・リヴァー・ヴァレー地区は、地名通り、ロシアン・リヴァーがゆったり、くねくね曲がって
太平洋に流れ込む、その沿岸をとりまく地域です。
太平洋に出るまでに丘というか山があるのですが、それらの丘を切断するようにロシアン・リヴァーが流れて
いるため、寒流による冷たい風が、川を伝ってヒュ〜っとヴァレーに流れ込んできます。
地元の人達は、「ロシアン・リヴァー・コリドー(回廊・廊下)」と呼んでいます。
ひとつの生産地としては、比較的面積が大きいので、ひとくちにロシアン・リヴァー・ヴァレー地区といっても、
そのキャラクターは位置によって様々で、深い森に覆われている所や、川のすぐ近くや、
一面広がる平地があるかと思ったら、急斜面の丘があったりします。
つまり、それだけ土壌の質にもバラエティがあるということで、それぞれの品種に合う特定の一画を
ピンポイントすることができるのです。
古い樹齢のジンファンデル、そして対照的とも思える品種のピノ・ノワール、
この2つが突出して有名な地域である理由は、このあたりにあると思われます。
【ここはどこ、私は誰・・】
1993年に設立された「ハートフォード・ファミリー・ワイナリー」は、ロシアン・リヴァーが深い森の中に入りかけるあたりで
川沿いをスイと外れ、細く、通る車もまばらな Martinelli
Rdの途中にあります。
「ファミリー」とついている名前から想像するよりも、遥かに立派な施設が現れます。
豊かな家庭の大邸宅にお邪魔する感じ。
手入れの行き届いた、季節の花々が咲き乱れるお庭。
風にゆらゆら揺れる可憐な草花の向こうに広がるぶどうの木々。
くねくね曲がる細い道を走ってきて「辿り着いた」からでしょうか、ここだけポッカリ別世界というか、
ロシアン・リヴァー・ヴァレー地区独特の「コミューン」的雰囲気が感ぜられます。
【ジンファンデルに惚れる】
ツアー&テイスティングは、まず個室でのテイスティングから始まりました。
ここのワインは、「HARTFORD」と「HARTFORD
COURT」の2ラベルに分かれています。
わかりやすく分類すると、「ハートフォード・コート」は、単一畑のシャルドネとピノ・ノワール、
「ハートフォード」は、複数畑ブレンドのシャルドネ及びピノ・ノワール、そして、ジンファンデル、ポート。
テイスティングは、ヴァラエタルごとに2ラベルの飲み比べのように進められました。
シャルドネ: @ハートフォード、 ソノマ・コースト 2004
$23.00
Aハートフォード・コート、 Stone Cote Vineyard
2004 $45.00
ピノ・ノワール:@ハートフォード、 ソノマ・コースト 2004
$30.00
Aハートフォード・コート、 Seascape Vineyard
2003 $55.00
ジンファンデル:@ハートフォード、 ロシアン・リヴァー・ヴァレー2004 $30.00
Aハートフォード、 Highwire Vineyard
2004 $45.00
シャルドネもピノ・ノワールも素敵でしたが、それよりもジンファンデルの素晴らしさに圧倒されました。
ロシアン・リヴァー・ヴァレー地区のジンファンデルは、近隣のドライ・クリーク・ヴァレーのそれと比較すると、
ドシ〜ンとくる力強さに欠けると言われていますが、それは言い換えれば、繊細でエレガントなジンファンデルである
と言うこともできます。
ロシアン・リヴァー回廊を伝って入ってくる冷気のおかげでしょうか、このあたりのジンファンデルは、
中身をもっと探りたくなるような、ずっと長く一緒にいていたく感じるような、
でも「ポ〜ン」と肩をたたいて「よろしくね!」と声かけるのを憚れるような、
そんな一筋縄でいかないデリケートさを感じさせてくれます。
いづれも80年〜100年の樹齢であるオールド・ヴァインを使ってのジンファンデルなのに、
くたびれた感じがない、魅惑的なスパイス、フルーツの香り、フレッシュな酸味は、嬉しい驚きでした。
テイスティングのあと、ワイナリー施設内のツアーが行われました。
とてもユニークだったのは、天井まで伸びるセラー。普通のワイナリーですと、枠組を使って、ただ樽を積み重ねて
いっているだけなのですが、ハートフォードの場合は、2層ごとに渡り廊下のようなものを入れていること。
こうすると、樽試飲、樽内チェックをする時、ハシゴか何かで上の方まで登って、手を目一杯伸ばして・・・ということを
しなくてすむわけです。安全でもあります。
この日はまた丁度、一部ワインのボトリングが行われていました。
生産量もさほど多くなく、年間のうちで、ボトリング作業に要する日数が両手の指で数えられる程度の場合、
ボトリング・マシーン及び周辺機材を「買う」のは、お金の無駄遣いになります。
そこで多くの中小規模ワイナリーが行っているのが、このボトリング・トラックのレンタルです。
一時間単位でレンタルをすると、ボトリングに必要な機材一式が設置されたトレーラーがやってくるのです。
レンタル社側は、毎年、改善された機械を取り入れて性能をアップデートしているので、
ボトリング作業もスムーズに迅速に行われます。
ということで、ハートフォード・ファミリー・ワイナリー。
ロシアン・リヴァー・ヴァレーの森の中、ひととき深遠なジンファンデルを味わってみるのに、最適かと思います。
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