フロッグス・リ-プ FROG'S
LEAP
【カエルがピョンと】 画像をクリックして、ご覧下さい。
一度目にしたら、その愛らしさ・ユニークさに魅せられて忘れられないラベルというものがあります。
「フロッグス・リープ」のラベルがまさにそれで、キュートであると同時に、デザインから溢れ出る
「ユーモア」精神に思わずニヤリとしてしまいます。
西にマヤカマス山脈、東にヴァカ山脈を見る、ラザフォード(Rutherford)の真ん中にある、フロッグス・リープ。
今回はこのワイナリーをご紹介します。
フロッグス・リープの背景、そしてオーナー&ワイン・メーカーであられるジョン・ウイリアム氏については、
以前(2002年夏)、別のサイトでインタビュー記事として執筆・掲載をしておりますので、よろしければ
そちらをご覧下さい。
【TFWYHF】
昔、1ダース33セントで売られていた食用カエルの養殖所だったという話は有名ですが、これは
現在のワイナリー位置とは別の、セント・ヘレナ地区のことを言っています。
そして、この「カエル」と、ウイリアム氏がナパで初めて勤務したワイナリー「Stag's Leap Wine
Cellars」のワイナリー名をドッキングさせたのが、「フロッグス・リープ」という名前です。
このワイナリー名の由来からして、ユーモア精神旺盛です。
人生楽しんでこそ!というモットーは、各ワイン・ボトルの裏面に印刷されている、TFWYHF」という
頭文字からも伺えます。
"Time's fun when you're having
flies."
ハエを追っかけている時こそ、楽しい時、という意味になるかと思いますが、
普通は「Time flies when you're
having fun」が正当な文章。英語では楽しくて時間がたつのが早いことを、「Time flies」(時間が飛んでいく)
と表現します。また、カエルは飛んでいるハエを、長い舌でパシっとつかまえて食べます。
飛んでいく=fly
と、ハエ=fly
をかけているという、つまりは駄洒落なのですが、笑ってさしあげるのに
苦労する類のおやじギャグに近いところがあるものの、「なるほどね」と納得してしまう類のユーモアです。
ジョン・ウイリアム氏にインタビューしてから3年がたち、今年のゴールデン・ウイークに、サイト経由で
申し込まれてきたお客様をご案内しましたので、「今」のフロッグス・リープを記しておきたいと思います。
【心地良いツアー】
ツアーはまず、そよそよと心地よい風が吹くアウトドア・テーブルに座って始まります。
ナパで一番おいしいソーヴィニョン・ブランのひとつだと思っている、フロッグス・リープのソーヴィニョン・ブラン
2004年(リリースされたばかり)、そして、シャルドネの2003年を頂きながら、ワイナリーの生い立ち、
ジョン・ウイリアム氏についての説明が、これまたユーモアたっぷりに行われました。
テイスティングするワインをバスケットで運びつつ、我々はグラスを持ちながら、敷地内の野菜・果物ガーデン
を散策します。専任ガーデナー、栽培者が丹精こめて手入れするガーデンには、季節季節で元気いっぱいの
作物が育っています。
ハーブ類も豊富で、レモン・セージ、パイナップル・セージなどは、本当にその果物の香りがして、
家に帰ってサラダをこしらえている時など、「ああ、これにあのセージを入れたら、どれだけ美味しいだろう」
と思い出してしまいます。
ガーデンの中を散歩しているのは我々人間だけでなく、時折、少し離れた小屋から出てきた
にわとり達も。まさにフリーレンジ・チキン。
【フロッグス・リープの赤】
ツアーはこのあとセラーに場所を移し、ワイン造りの説明、セラーになっている納屋の背景、などを聞きます。
その合間をぬって出されたのが、ジンファンデル2003年。
多くのジンファンデルは、かなり高い糖度で収穫され、フルボディでビッグな爆発型ワインになりがちです。
それらは、100%ジンファンデルであることをセールス・ポイントにしていることも多いです。
が、フロッグス・リープでは、1940年代・50年代の元祖ジンファンデルに習って、プティ・シラー、
キャリニャン、ナパ・ガメーをフィールド・ブレンドし、色、アロマ、土っぽさを加えることにより、逆に
ジンファンデルが持つ本来のフレーバーを際立たせるというやり方をしています。
ああ、美味しい。
セラーの2階、マヤカマス山脈を前方に見る素敵な景色を楽しみながら、次のテイスティングは、
メルロー2002年でした。
このメルローは、大半がフロッグス・リープ・ワイナリーの周囲にあるヴィンヤードからの葡萄で造られています。
粘土質の土壌は、ぶどう木の根っこ
部分に充分な水分を蓄え、ひんやりさせる効果を与え、地上は西日がさんさんとふりそそぎ、
長い日照時間が与えられます。
フロッグス・リープが、メルローに最適と考える「cool feet,
warm body」の環境がここにあるわけです。
ああ、これも本当に美味しい。
フロッグス・リープの赤ワインに共通して感じられるのが、す〜っとした清涼感です。
高く香りかぐわしいヒマラヤ杉が繁る森の中のイメージ。
これに土っぽさが加わって、絶妙なバランスなのです。
私には、フロッグス・リープのワインは薬膳ワインとも言うべき、ヒーリング効果をもたらせてくれます。
【進行中のプロジェクト】
ツアーにどういう人が参加しているかによって違ってきますが、リクエストすれば、ヴィンヤードに入っていって、
葡萄の栽培法なども教えてくれます。
現在、セラーのすぐ南側のヴィンヤードで、台木を植えて1年目、2年目、3年目の様子が見て取れ、
最初の台木がどんなものか、それに繋がる接木がどうなるのかを目で確かめることができます。
また、ヴィンヤードの一部にはソーラー・パネルが登場しています。
現在、ワイナリー内全ての電力を、このソーラー・パワーでまかなっており、一部は地元電力会社に
売っているとのこと。
前回シェイファーでもご紹介しましたが、現在、北カリフォルニアのワイナリー、特にサステイナブル農法を
取り入れている所で、ソーラー・パワーを採用するワイナリーが増えています。
カリフォルニアの気候を充分に活用するひとつの方法として、ソーラー・パワーは遅かれ早かれ
この地に登場したものと思われます。
設備を取り付けるのに、かなりの資金がかかりますので、足踏みしているワイナリーもまだ多数ありますが、
長いスパンで見ますと、これほど環境にやさしい、活用し甲斐のあるものはありません。
オーナー&ワインメーカーのジョン・ウイリアム氏は自らリーダー・シップを取り、
春には近隣ワイナリー約40軒を招いての「ソーラー・セミナー」を開いたとのこと。
きっと、あと10年もしたら、「2005年頃だったよねえ、ソーラー・パワーが採用され始めたのは」という会話が
あちこちでされることになるのではないかと思われます。
ウイリアムス氏は、現在、ソノマ・コースト地区の土地を入手し、牛を放牧、チーズ造りを目指しておられます。
酪農一家出身で、アイビー・リーグのひとつコーネル大学で酪農学を専攻した彼ですから、然るべき
新プロジェクトと言えるでしょう。既に、ハチミツも自ら作っておられますし、食に関するほぼ全てのものが、
自給自足となり得ています。素晴らしい。
ツアーは、最後にもうひとつ、やる事があるのですが、これは実際にツアーに参加されてのお楽しみということで、
ここでは敢てお知らせしないことにします。
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