Failla
フェイラ 【Ehren
Jordan アレン・ジョーダン】
ワインメーカーとして、アレン・ジョーダンの名前は、カリフォルニア・ワイン愛好家の方々には既によく
知られていると思います。
ジンファンデルの造り手として大変有名な、「Turley Wine
Cellars」のワインメーカーだ、と言えば
「ああ!」と思い当たられるのではないでしょうか。
(彼については、以前、別のウエブサイトからの依頼で、インタビュー記事を執筆しています。
少々時代が遡りますが、よろしければご覧ください。)
ターリーでチーフ・ワインメーカーとして働きながら、1998年、ソノマ・コーストに購入した自分のヴィンヤードに植樹。
同年、他ヴィンヤードから購入したフルーツを使って、98 Alban
Vineyard Viognier、‘98 Que Syrah Syrah.を、「Failla
Jordan」
ラベル名でリリースしました。
「フェイラ・ジョーダン」のファイラは、アレンの奥様のファースト・ネームです。
98年の初リリースから、しばらくの間、「フェイラ・ジョーダン」名でワインを出していたのですが、これに「待った〜!」をかけたのが、
ソノマ郡にある「Jordan Vineyards & Winery」。同じ「ジョーダン」が使われるとややこしい、とのクレームが出たわけです。
で、2002年リリース分から、ラベル・デザインも一新、「フェイラ」名でワインが出されました。
【ピノ・ノワール、シラー、ヴィオニエ、シャルドネ】
アレン・ジョーダン氏が、ワイン造りそのものを「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」で学んだのが、フランス・
ローヌ地方のブティック・ワイナリーだったということもあり、ローヌ系品種への思いはずっと強いようで、
ヴィオニエ、シラーが、フェイラのラインアップに残っています。
加えて、冷涼な気候のもと、畑ごとにフルーツのキャラクターが際立つピノ・ノワールが、フェイラの「代表的」
ワインになっています。
ターリーでも、単一畑のジンファンデルを手がけていますので、アレンの「ヴィンヤード・サーチ」は、
常にフル回転で行われています。
サンフランシスコから車で南へ4時間ほど下った、パソ・ロブレス地区にも、ターリーのワイナリーや所有畑があるため、
アレンはしょっちゅう、軽飛行機を運転して、行ったり来たりをしています。
その行ったり来たりのついでに、あちこちのヴィンヤードを見て回るわけです。
【フェイラのワイナリー施設】
アレンさんは、NeyersやTurleyのワイナリー建設時に、デザインを含め関わってこられたのですが、フェイラの
ワインは、ずっと、カリストガ近くにあるターリーの施設で造られていました。
機が熟し、2004年に、やっとご自分のワイナリー建設のための土地を購入。
アップル・サイダー工場だった土地に残っていた古い建物をオフィスとテイスティング・ルームに、大改造、
そして奥にある丘を利用して、ケーヴを造る・・・、これらの工事が始まったのが2005年。
2006年からは、ここでワインをクラッシュして・・という計画は、母なる大自然により遅延を余儀なくされ、
延び延びに。
2007年の夏から秋にかけて、ワイナリー&ヴィンヤード研修生への通訳の仕事で、シルヴェラード・トレイルをほぼ毎日通勤して
いたのですが、毎日毎日、工事が急ピッチで行われている様子を見ることができました。トラックが何台も、頻繁に出入りして、
時には、途方に暮れたように入り口の石に座り込んで、どこかに携帯で電話しているアレンさんの姿も拝見しました。
2007年になって、ようやくオフィスとテイスティング・ルームを稼動させることができたのですが、ケーブは、今もってまだ工事中です。
でも、テイスティング・ルームで、フェイラのワインを試飲することができるようになっただけでも、ワイン愛好家にとっては朗報です。
【テイスティング】
テイスティング・ルームは、アップル・サイダー工場時から残るファーム・ハウスを改造した建物の中、
真ん中に居心地良いリビングスペースを設けて、入って左がオフィス、右奥にテイスティング・スペース。
カウンターは、アレンさんのご自宅に生えているウオルナッツの木から作られたもの。まっすぐに削るので
なく、微妙にくねっている形をそのまま残して、素敵なバーカウンターに変身させています。
訪れた日は、5種類のテイスティングが提供されました。
★シャルドネ、Keefer
Ranch, Russian River Valley 2005
(生産量325ケース) $40
既に完売状態だったのですが、倉庫に2ケースだけ残っていたのを見つけ、テイスティングに再登場。
その2ケース分が残っていた時期に間に合ってラッキー。
柑橘系のみずみずしさが溢れ出る、大変エレガントなシャルドネ。
マロラクティック発酵100%とは思えないほど、クリスプでシャープ。
お肉に合わせてみたくなる白ワイン。素晴らしい。
★ヴィオニエ、Alban
Vineyard, Edna Valley 2006
(生産量155ケース) $35
ヴィオニエは大好きな品種のひとつですが、時々、トロピカル・フルーツ風味が強すぎて、
酸味に欠けるものに当たります。
が、フェイラのヴィオニエは、トロピカルというよりは、エキゾティックな感じ。
セージっぽいハーヴの味わいもナイス。
酸味もしっかりしているのですが、私には少〜し、アルコール度が高いような、「ヒート」を少し
感じてしまいました。
★ピノ・ノワール、Sonoma
Coast 2006 (生産量250ケース) $34
ファイラのピノ・ノワールは、その大半が単一畑ものなのですが、これが唯一、畑ブレンドのピノ・ノワール。
2006年は、Hirsch Vineyard, Keefer
Ranch, Pearlessence Vineyardのブレンド。
いかにもブレンドらしい、ユニークなワインで、Russian
River Valleyのチェリー・コーク風味と、
ソノマ・コーストの力強さ、earthyさが、口に含むたびに交代で出てくる感じ。フード・フレンドリー。
★ピノ・ノワール、Keefer
Ranch, Russian River Valley 2006
(生産量510ケース) $45
より森林のイメージ。ダーク・ベリーの味わいもたっぷり。大変、エレガント。
後味のキレが良く、酸味も程よくキリっとしているので、ほんの少し強いかなと感じるアルコール度がこなれて、
ナイスなバランスになっています。
★シラー、Phoenix
Ranch, Napa Valley 2005
(生産量475ケース) $42
ハウエル・マウンテンにあるヴィンヤードのフルーツ。ハウエル・マウンテンでシラー、というのがまず興味深かったです。
カベルネ・ソーヴィニョンは多く出回っていますが、シラー?しかも単一畑?
個人的には、ペッパー風味びしばしのシラーが好みではありますが、このシラーは、黒胡椒の風味が控えめ。
その代わり、ベーコンとか、スモークされたお肉、でっかいハムの風味が強く、そして時々、ダーク・チョコレートの
風味が出てきます。味わうたびに、表情が変わるようで、その複雑な感じが、とても面白いと思いました。
かなり気に入ってしまいました。
2本購入したので、これから1年ごとに1本開けて、変化を楽しみたいと思います。
上記のワインは、現在リリース中のものですが、この他に、自社畑のシャルドネ、ピノ・ノワール、シラー、Hirsch
Vineyardの
ピノ・ノワール、Pearlessence Vineyardのピノ・ノワール、Occidental
Ridgeのピノ・ノワールがあります。
ピノ・ノワールは、どれも間違いないワインとして、その評判も一定していると思いますが、ここしばらくは、シラーに注目!
ではないかと思います。
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