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Black Ridge Vineyards    ブラック・リッジ・ヴィンヤーズ


一般公開されていないワイナリーには、いくつかのパターンがあって、
@生産量が少なく、メーリング・リスト・メンバー及びレストランへの販売だけでハケてしまうから、一般売りするものがない。
A自分達の醸造施設を持っておらず、カスタム・クラッシュ或いは近隣ワイナリーで醸造をしているため、一般公開するものがない。
B訪問者に対応するスタッフがいない。専任スタッフを雇う余裕がない。
Cビジター受け入れの許可を取っていない。(取らない)
大まかに言えば、これら4つのいづれかにあてはまります。

行き着くところは結局Cになるわけで、@もAもBも、ビジター受入れの許可を取らない・取れない「理由」になって
います。今回、「メディア&トレード限定イベント」の招待状をくださった「Black Ridge Vineyards」も、
@AB全てにあてはまります。

現状は、@生産量 計1400ケース 
      A近所のテスタロッサで醸造作業を行なっている。
      Bパートナー(共同所有者・経営者)と、アシスタント・ワインメーカー兼オペレーション・ディレクターの3人しかいない。
で、一般公開するだけの材料が揃っていないということになります。

が、現在敷地内に醸造施設を建設中であり、テイスティング・ルームも完成させ、生産量も6000ケースまでOKの
許可も取ってあるとのこと。人手の問題さえ解決できれば、近い将来、アポイントメント制で訪問者を受け入れることが
できるようになるかもしれません。

まあしかし、初めて訪れてみてびっくりしました。一般公開されていないのが信じられないくらい立派な所だった
からです。門構えも立派ですし、全部で20ヘクタールはあるだろうと思われる敷地内にど〜んとあるパートナーの
お一人の邸宅も立派です。
建築中の建物は、当初は住居とする予定で建てられ始めたものの、途中から、その半分を醸造施設・セラーに
することになり・・・。

ここからの眺めがまた素晴らしい。北東方面には、山並みの向こうにシリコン・ヴァレー、サンノゼのダウンタウンを
見渡すことができます。
その昔、19世紀半ばにはワイン用ブドウが栽培されていたこの土地は、禁酒法時代にはプルーン畑に変わり、
その後クリスマス・ツリー用、樅の木畑になっていました。
そんな土地を、1999年にJim Landes 氏と Fred Faltersack氏がパートナーとなって購入、土地の歴史を
遡り、再び、ヴィンヤードとして開墾したのでした。

現在、ヴィンヤードは全部で約23エーカー。見上げてしまうほどの急斜面にある「Upper」部分と、
鉢(ボウル)のように下に広がる「
Lower」部分とに分かれています。
ここで、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、メルロー、マルベック、プティ・ヴェルドー、ヴィオニエ、
シラー、シャルドネ、ピノ・グリが育てられています。

自分達の畑からのフルーツだけで造るブラック・リッジ・ヴィンヤーズ・ラベルでは、ヴィオニエ、ピノ・ノワール、
カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、ブレンドが出されており、シラー、シャルドネ、ピノ・グリは、
他ワイナリーに売っています。

この日のテイスティングは、最近完成したというテイスティング・ルームで行なわれました。
4種類のワインに、それぞれにマッチさせたチーズが振舞われています。
ワインを注ぐのは、アシスタント・ワインメーカー兼オペレーション・ディレクターの
Ashley DuBois さん。
チーズの説明をする別の男性スタッフも。(名前聞き忘れました)

以下、ラインアップと感想です。

2007 ヴィオニエ 生産量120ケース $25   チーズ: Fromager d'Affinois 

     シャルドネではなく、ヴィオニエをブラック・リッジ・ヴィンヤーズのラベルで出しておられることが、個人的に嬉しい。
  パートナーのフレッドさん(右上写真の左の方)いわく、05年ヴィンテージは収穫を遅らせたために、のったりした
  フルボディすぎるヴィオニエになり、06年ヴィンテージは逆に、早く収穫しすぎて、leanすぎるヴィオニエとなり、
  この07年ヴィンテージで、やっと自分達が理想とするヴィオニエになったと思う、とのこと。
  とにかく、ナイスな酸がポーンと弾けて、マンゴの「のったり感」がそのあとに入ってきて、口内に長く余韻が
    残ります。
  かすかにウオルナッツの風味、ブリー・チーズの風味も感じられ、非常に爽やかな素敵なヴィオニエだと思いました。

  ダブル・クリーム・ソフト・チーズであるところのフロマーゼイ・ダフィノワは、その製法がブリーと良く似ているとのことで、
  ワインだけで頂いても上記のようにブリーの風味が感ぜられたので、このチーズと合わないわけがない。ナイス・マッチ。

2006 ピノ・ノワール 生産量187ケース $39     チーズ:Humboldt Fog

    サンタ・クルーズ・マウンテン地区は、独特のピノ・ノワール生産地として、その名を挙げてきています。
  2005年に、テスタロッサ・ワイナリーで開催された「サンタ・クルーズ・マウンテン・ピノ・パラダイス」イベントに
  行った時は、バランスの悪いピノ・ノワールが結構な数あって、どうなのかなあと思ったりしましたが、
  それから3年たって、クオリティがぐんぐん上がってきているようです。

  ブラック・リッジ・ヴィンヤーズの06ピノ・ノワールは、イチゴの風味満載、押し付けがましくないけれど充分主張された
  きれいな酸とのバランスがよろしく、食事に合わせるのにピッタリのワインだと思いました。
  私には、ほんの少し「森林っぽさ」が足りない気がしました。これは私の嗜好によるものです。
  11月1日号の「Wine Enthusiast」誌で、当ワインが91ポイントをつけて載っておりましたが、いかんせん
  生産量たったの187ケースですから、3月にリリースして2ヵ月後には完売してしまっております。

2005 カベルネ・ソーヴィニョン  生産量102ケース $35   チーズ: Piave 

     ブラック・リッジのワインメーカーは、テスタロッサと同じ Bill Brosseau氏ですが、どういうわけか、この
  カベルネだけ、
Mount Eden VineyardsJeffrey Patterson氏です。
  最初の1杯目では、よく言えばまったくクセのない、悪く言えば個性に乏しい、とらえどころのないカベルネだな、と、
  思ったのですが、全ワインを一巡して、二巡目でテイストした時、まったく印象が異なることに驚きました。
  杉の香り、セージのようなハーヴの香り、ゆるやかな酸。
  新人選手が、自信を秘めながらも控えめに登場、翌年開花して、みんなが認める実力の選手になったという感じ。
  ボストン・レッドソックスの、ジャスティン・ペドロイヤ選手みたいな。

  サンタ・クルーズ・マウンテン地区は、ピノ・ノワールに最適の地とされつつあるので、カベルネ・ソーヴィニョンは
  どうだろうと疑問視されがちなのですが、(実際、フレッドさんも周りからそのように言われ、カベルネを育てるのを
  一瞬躊躇したそうです)、ここの「
Lower」部分は、南東に向いて鉢型に窪んでおり、冷気が入ってこないで
  陽光熱が貯まる独特のヒート・スポットを形成しています。
  そこで育てられているカベルネは、まだ若い木ではありますが、これからもっともっと、良いフルーツができてくる
  ことでしょう。
  
Ridgeのかの有名な「Monte Belloモンテベッロ」ヴィンヤードだって、サンタ・クルーズ・マウンテン地区
  なのですから、将来性充分なはず。

  お値段も35ドルというのは、昨今の相場で言えば、かなりリーズナブル。
  この値段であるうちに、ちゃんと飲んでおきたいワインです。

2006 San Andreas Red   生産量488ケース  $49     チーズ: Selles Su Cher 

     69% Cabernet Sauvignon, 15% Merlot, 15% Cabernet Franc, and 1% Petit Verdot.のブレンド
 
これも最初の1杯目は、香りが立ち上がって来ず、それでもラズベリー、シナモンの風味がキュートだなと思った
  のですが、2杯目でガツ〜ンと来ました。
  ブラックベリー、黒胡椒の風味がビシバシ出てきて、その分、ヒートも少々強めに感じられ、上記のカベルネに
  比べて、バランスに欠けているようにも感じられました。

  しかしながら、このワインは、ワイン・スペクテーター誌で最近92ポイントを取っており、
  
James Laube氏による、「トップ・新カリフォルニア・カベルネ・ソーヴィニョン」11本の中に、一番手で登場しました。
  この記事は、同誌のウエブサイト上だけでの掲載ですが、雑誌の方で11月15日号に予定されている
  「カリフォルニア・カベルネ」特集記事にも、このワインが紹介されたら、途端に販売もぐ〜〜〜んと伸びることでしょう。

                        

ブラック・リッジ・ヴィンヤーズ 
Black Ridge Vineyards

住所  18550 Black Road, Los Gatos,
電話番号  (408) 399.6396
ウエブサイト  www.blackridgevineyards.com
訪問  一般公開されておりません。
 スタッフのスケジュールが合えば、事前アポイントメントで訪問可能。

                                                                    (2008年10月現在)

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