2004年12月15日

                        今週は、レアード・ファミリー・エステート・ワイナリーにお勤めのロバートによる
                        「ロバートからの絵葉書」パート9です。
                        もし予算が制限なくあったとしたら、クリスマスに、どういうワインを誰にプレゼントしたい？
                        という質問を投げかけてみました。

                        ロバートのプロフィールは、こちらから。

　　　　　Post Card from Napa Valley
Holiday Gifting　　　　　

                        私にとってのホリデー・シーズンは、ずっと「ファンタジー＆ドリーム」の季節でした。
                        １２月は、１ヶ月を通して、特別な音楽や祝い事、カラフルな飾りつけ、年に一度のメニュー、
                        家族の集い、そして愛する人達へのギフト選びに没頭します。
                        贈る相手にぴったりと合ったギフトを選ぶのは、かなりチャレンジングなことではありますが、
                        この時期の大きな楽しみのひとつです。

                        私の友達・親戚の多くはワインが好きで、既にかなりのコレクションを持っています。
                        それぞれの人にふさわしいボトルを選ぶのは、ちょっとした創造性が必要になってきます。
                        今年は、予算は関係なしという仮定のもと、ファンタジーの世界を描いてみました。

                        私個人は、ナパ・ヴァレーの伝統的な古いワイナリー　　　　　　　　　　　　画像をクリックしてご覧下さい。
                        の歴史に興味があります。
                        由緒ある「イングルヌック・エステート」は、１９３３
                        年（禁酒法時代）から６０年代初頭にかけて、カリフ
                        ォルニアの最高級･高品質ワインを造っていました。
                        実際のところ、イングルヌックのカベルネ、
                   １９４１年ヴィンテージは、過去出されてきたワイン
                        の中で最高のものと、多くの人に言われており、
                        ワイン・スペクテーター誌もこれに１００ポイント（満点）をつけています。
                        私の母が、１９４１年に「ナパ・ハイスクール」を卒業したので、彼女へのギフトは簡単！
                        これに決まりです。　彼女のことですから、家族が集まった時のディナーで、勢い良く
                        これを開けて、みんなに振舞うことでしょう。

                        私の弟は、学生の時、イングルヌックの収穫を手伝っていました。その頃は、この伝統的
                        エステートが既に売却されたあとで、ワインはより「大量生産」のものとなっていました。
                        でも私は、彼が働いていた当時、１９８２年か１９８３年ヴィンテージのものを贈ります。
                        彼がやったことと言えば、プレス後の葡萄の皮をシャベルですくうことくらいでしたが、
                        このギフトを開けるのは、彼にとっても愉快なことに違いありません。

                        これに加えて、私は彼に、フランシス・フォード・コッ
                   ポラの「ルビコン」、ヴァーティカル・コレクション
                   １０年分を贈りたいと思います。
                        コッポラ氏は、イングルヌック・エステート創立当初の
                        壮麗さ・威厳を復活させるべく、１９８０年代にこの
                        敷地を買い取りました。伝説的なラザフォードの葡萄
                        で造られる「ルビコン」は、このエステートの歴史と
                        これからの未来の味わいを感じさせてくれます。
                        ルビコン１９９４年ヴィンテージは、今、かなりの飲み頃となっていることでしょう。

                        私の妹は、長年ワイナリーのホスピタリティ部門で
                        働いているので、素晴らしいワイン・コレクションを
                        造り上げてきています。彼女へのギフトは、彼女が
                        働いてきたワイナリー全てのワインを揃えたものに
                        したいです。
                        フリーマーク・アビィのカベルネ・ソーヴィニョ
                   ン「Bosche’」１９７８年もの、
                        シルベラード・ヴィンヤードのカベルネ１９８７年
                   もの（度肝ぬかれる１本！）、
                        ラザフォード・ヒルのカベルネXVS１９８９年もの、
                        ファー・ニエンテの「ドルチェ」１９９４年もの、
                        ラグーシ・ワイナリー（Regusci)のカベルネ
                   １９９７年もの、
                        レアード・ファミリーのカベルネ、ダイアモンド･
                   マウンテン１９９９年もの。
                        これらが揃ったワイン・セラーで、彼女の履歴書が
                        一目瞭然です。
                        これらのワインはどれも、極上、みごとなもの。
                        ドルチェは、液体をした「金」。
                        今まで、これほど素晴らしいデザート・ワインに出遭
                        ったことがありません。
                        多分、彼女はこれをクリスマス・ディナーで開けて、
                        美味しさをみんなとわかち合うことでしょう。

                        私の父は１９１９年、禁酒法が実施された年に生まれました。
                        彼には、禁酒法制定以前のボーリュー・ヴィンヤードのワインをプレゼントします。
                        プラス、彼の子供たちの生まれ年のワインをまとめて贈ります。
                        その中には、旧クリスチャン・ブラザーズのカベルネや、イングルヌックのカベルネ、
                        ボーリュー、チャールズ・クルッグの、１９４４，１９４５，１９４８，１９５２年ものが入るわけ
                        ですから、きっと面白がってくれると思います。

                        人への贈り物は、お互いにささやかな物を交換しあ
                        ってこそ成り立ちます。私は自分自身にスプリング
                    ・マウンテンのカベルネ１９７８年マグナムを
                        贈りたい。スプリング・マウンテンは、テレビ番組
                        「ファルコン・クレスト」の舞台になった所で、私が
                        この業界で働き出した最初のワイナリーです。　
                        もちろん、私のマグナムには、そこで出会った俳優
                        ･女優たちのサイン入りにします。
                        Jane Wyman, Lorenzo Lamas, Caesar
                        Romero, そして、キム・ノヴァク！
                        １９８０年代には、クリスチャン・ブラザーズでも働いていたので、故ブラザー・ティモシーさん
                        サイン入りのエッチングされた「センテニアル・エディション・カベルネ」１９８５年もの
                    マグナムも欲しい。これは、この古いワイナリーが１００周年を迎えた１９８８年に出された
                        珠玉の１本です。（小林註：現在は、カルナリー・インスティチュート・オブ・アメリカになって
                        います）

                        私へのスペシャル・ギフトは、グレース・ファミリー
                   のカベルネ、ヴァーティカル・コレクションでしょう。
                        リチャード・グレースは、ナパにおける慈善家のリーダ
                        ー的存在であり、アルコールを摂取しないワイナリー・
                        オーナーです。ダライ・ラマへの信仰が、彼の時間と
                        情熱を慈善事業に捧げる「もと」となっています。
                        グレース・ファミリーのカベルネは、希少ワインで、
                        オークションでは毎回かなり高い額で競り落とされて
                        います。
                        私は、このスペシャル・ギフトをチャリティの一環に使
                        いたいと思います。
                        グレース氏は私に、人に惜しげなく与え、見返りを期待しないこと
                        によって私達は幸せを得るのだということを教えてくれました。

                        この精神において、みなさんが幸せあふれるホリデー・シーズンを送られることを
                        心から願います。

★原文をお読みになりたい方は、こちらへ。以上の翻訳は小林が行いました。★

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