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2005年11月16日
雨季に入ったと思ったら、大変な陽気と、素晴らしい快晴の日が続いています。
今週に入ってから、毎日爽やかなお天気で、昨日、11月15日はこの時期の気温としては
最高の記録を出しました。(一番気温が高かったところで、摂氏約28度!)
今週は、 レアード・ファミリー・エステート・ワイナリーにお勤めのロバートによる
「ロバートからの絵葉書」
パート12です。
カスタム・クラッシュ(自ら施設を持たない造り手たちが、設備・スペースを借りて
ワイン造りを行う所)を提供しているレアードでの、ハーベストの様子を書いてくださいました。
ロバートのプロフィールは、こちらから。
Post Card from Napa Valley
Harvest 2005
最も信頼できる予想によると、ナパにおける
2005年のハーヴェストは、優良ヴィンテージ
である1994年、1997年と同レベルのクオリ
ティを持つ、記憶に残しておきたいものと
なっています。 2005年の生長時期は、
しかしながら、決して安易に予測できるもの
ではありませんでした。ワインメーカーやヴィン
ヤード・マネージャー達は、質の高いブドウの
豊作をもたらすために必要な、数々の判断、
決断を強いられたのです。
冬は寒く、雨量も多く、その気候が春まで
続きました。ブドウ木の間の風通しを
適度なものにするべく、葉っぱの詰まり具合
を薄くするよう、多くの葉っぱが切り取られ、腐敗を防ぐべく、防カビ剤(サルファー)が
木々に与えられました。
7月から9月にかけて2回ほど熱波が来て、
ほんの数日、かなり暑い日がありましたが、
それよりも、もっと低温の日々が続きました。
収穫時期が近づくにつれ、たわわに実って
きたブドウの房の多くを故意に落とし、
残りの房が理想的な状態で熟すように
します。
そして最終的にどうなったかというと、
昨年よりも収穫量が15%ほども増え、しかも
非常にクオリティの高いフルーツになったのです。
ここレアード・ファミリー・エステートでは、たくさんのワイン・ブランドが造られています。
およそ50人ほどのワインメーカー達が、この施設をシェアしていますので、彼らのやり方の
似ているところ、違っているところがひと目でわかり、見ている方としては大変エキサイティング
であり、勉強にもなります。
例えば、ほとんどの造り手は、1000
パウンド(約454キロ)容器に収穫した
ブドウを入れて運び入れてきたあと、
それらを、白ワイン用ならプレス機に
放り込み、赤ワイン用ブドウなら
除茎(de-stemmer)・破砕機に放り込み
ます。
一方、何人かの、とても潔癖主義な
ワインメーカーは、この方法は精選性が低く、
ワインに多くのタンニンが残ってしまうと
考えます。それを防ぐため、ハイ・エンドな
ワインの造り手は、小さな25パウンド
(約11キロ)入りプラスティック・タブに、
収穫したブドウを入れてきます。
そして、振動するボードの上に、やさしく
それらを空け、10人ほどの働き手たちが、
手作業で小枝、葉、充分に熟していないブドウ、
熟しすぎているブドウを取り除きます。
この様子を見ると、最高のワインを造るのに、どれだけ人の手がかけられるのかがわかり、
一種の感動を呼び起こします。
この方法は、時間もかかるし、費用(人件費など)もかかりますが、素晴らしいワインの誕生が
その見返りとなるのです。
今、この原稿を書いている2005年
11月11日の時点で、まだ、ワイナリーに
ブドウが運び込まれています。
ナパ・ヴァレーのあらゆる地域から収穫され
てくるからです。
ヒルサイドにあるヴィンヤードでは、ブドウが
ようやく最適の熟度になりつつあり、
翌週(=今週)の予想高温によって、まだまだしばらく、ブドウの運びいれが続くものと思われます。
ハーヴェストの時期がこれだけ長期間に渡り、
しかもまだ一部の木にブドウが残されている
状態ですと、施設内の動きがオーバーラップ
します。
赤ワインの一部は既に発酵を終え、熟成の
ために樽に移されている一方、通常ですと
この時期なら既に樽に入っているシャルドネ
の一部が、今まさに発酵が始まろうとして
いる・・・といった感じです。
造り手も施設内労働者も、全員、常に気を張ってピリピリしています。
今年のユニークな気候状況のために、通常のパターンやスケジュールは通用せず、
クリエイティブで柔軟性のあるワインメーカーやマネージャーによって、常時方向修正が
行われました。
2005年ヴィンテージのワインが市場に出る数年後、彼等に心から「乾杯」と言うべきでしょう。
経済的観点から今年のハーヴェストを見ますと、ワイナリーで働く人たちは例年より長時間の
労働となり、当然、その重労働に対して、例年より大目の給料をもらうことができました。
樽製造メーカーも、ワイン製造機器のメーカー、レンタル・リース会社も、需要が増えて
とても喜んでいる状態。
消費者だって、ナパ・ヴァレーだけでなくカリフォルニア州単位で、需要と供給の原理に
のっとり、この素晴らしいヴィンテージの恩恵を受けるべきでしょう。
今年の秋色は、このうえなく美しいものです。
黄色、淡いオレンジ、緑っぽい黄色、スカー
レット色などの暖かいトーンが、今、ワイン
カントリー全体を彩っています。
早朝、霧の合間から差し込む太陽の光で
輝く「Golden Glow」(オオハンゴンソウ)は、
最高にきれいです。
ブドウが発酵している香りが漂い、
ヴィンヤードで働く人たちのおしゃべりが、
鳥のさえずりnのように聞こえます。
母なる大自然と人間とが一緒になって、このヴィンヤードの美しさを、皆さんのグラスに
運び入れます。
★原文をお読みになりたい方は、こちらへ。以上の翻訳は 小林が行いました。★