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2004年8月04日
8月に入りました。日本では、お盆休みがもうすぐで、交代でお休みを取る方たちが
ちらほらといった感じでしょうか。
7月末がデッドラインだった、メジャーリーグ・ベースボールのトレード合戦も終わり、
さあ、いよいよ終盤戦だぞ、というこの時期、するするする〜っとリーグ内打率トップに
躍り出てきたのが、イチロー選手です。
4月のシーズン開始直後が64位あたりだったのが、ここにきて断トツの首位打者です。
シーズン中、いつかは必ずベスト10にまでは入ってくるとは思っておりましたが、
今年のマリナーズの悲惨な状態を考えますと、あの中にあってよくぞココまで、と
心底、感嘆してしまいます。
7月末のある日、サンフランシスコ・クロニクルという 画像をクリックして、ご覧下さい。
地元の新聞のスポーツ欄で、専属ライターが、地元
オークランド・アスレチックスのエリック・バーンズ
選手と共に、イチロー選手のことを取り上げていま
した。地元チーム以外の選手について、試合以外の
別記事が書かれるのはあまりないことです。
タイトルは、「イチロー、バーンズ、今のメジャーに オークランド・コロシアム
こんな選手は他にいない」
(Ichiro, Byrnes like no one else in game
today)(以下、小林訳)
「何人かの選手は、その場所にすんなりブレンドしてしまえるものだ。だが、エリック・バーンズと
イチロー・スズキは、そういう類の選手ではない。彼らは、8月に起こる雪嵐と同じくらい、
稀有な存在だ。」 記事は、こういう出だしで始まっています。
特にイチロー選手については、
「今も、そして未だかって、どちらのリーグにも、
イチローのような選手はいない。
彼は、確固として、彼独自の世界で存在しており、
誰にとっても100%未知の戦い方をしている。」
と、書いています。
試合前の打撃練習を観ていても、時々飛び出す サンフランシスコSBCパーク
ホームランを見ても、連続強打の可能性充分のパワーを
持っているのに、試合になると、イチロー選手は内野守備の間を狙い済ます、
ピンポイントのヒットを出します。
「天性の能力を、スラップ・ヒットのためにここまで犠牲にする選手は、今までいなかった」と、
専属ライター、ブルース・ジェンキンス氏に言わせています。
「シアトルの人達の多くは、イチローの新契約を、かなりの無駄遣いだと感じているのも事実で、
契約を最後まで履行するのは、球団のオーナーが日本人だからだろうと思っているようだ。
こういう輩は、素晴らしくユニークな選手の、本当の天才度に気づいていないだけだ。
彼の可能性が解き放たれる時が来たら、どれほど凄いことだろう。」
記事はこのあと、それに比べてエリック・バーンズは・・・と、この元気一杯の若い選手について
書かれています。
実際に球場に行って、イチロー選手を見たことが
ある方なら知っておられると思いますが、ベンチの
中はともかく、グラウンドに出ると、彼は一秒たりとも
じっとしていません。
守備についている時も、い〜〜〜っつも柔軟運動か
ストレッチか屈伸運動をしています。
こんな選手は、確かに他にいません。
打撃にしても、肩と腕が構えの段階できれいに ニューヨークSHEAスタジアム
後ろ方向に収まっていて、振り出す時に、ものすごく滑らかに
美しく腰とヒップが回転します。あんなフォームの人も、他にいません。
バットにボールを当てた時点で、既に一塁側に向かって足が踏み出しているなんて、
最初はメジャー・リーグの解説者がビックリしてました。
バッターボックスに入る入り方、腕を回してバットをピッチャー方向に向ける一連の動き、
ヒットを出して一塁に達した時のアーム・プロテクターの外し方、フライの獲り方、走者を刺す時の
投げ方、などなど、イチロー選手の場合は、全ての動きに独特の「スタイル」があります。
あごが外れるようなデカいハンバーガーを片手に、きんきん冷えたビールをがあああっと飲む、
体の凄まじく大きなお兄さん(典型的な、昔ながらのベースボール・ファン)には、
ちょっとわかりにくいスタイルかもしれませんが、イチロー選手は、日本人という枠を越えた、
独特の存在になっていると思います。
特に今シーズン、シアトル・マリナーズの最悪な状態にあるだけに、余計に、イチロー選手の
異質な存在感が浮き上がってきているように思えます。
一体、どこまでいってしまうのでしょうか、イチロー選手。