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2004年6月30日
なんとなんと、もう6月が終わってしまいます。 1年の半分が終了です。
さて今週は、「あれこれ4月14日」でご紹介した中村倫久さんのエッセイです。
ホテル業界キャリアを捨て、ワインメーカーを目指してUCデイビス校に入学した彼。
大学を無事に卒業された今月から、月1回ペースで、彼の身辺のあれこれを
このサイトに書いて頂くことになりました。
題して、「今月のナカムラ・ノリヒサ」です。
2004年6月20日日曜日。
この日は自分にとって少し特別な日となりました。
約9年間勤めたホテルを辞め、UCデイビス校ワイン
醸造学科に入学したのが2年前。
思い返せばそれ以来、ずっと「この日」を指折り
数えていたような気がします。
「この日」、すなわち、UCデイビス校ワイン醸造学科
の卒業式です。
DAVISはナパから北東へ約1時間、カリフォルニア州都サクラメントへ15分、牛の匂いに
包まれた素朴な町。大学のキャンパスはその中心に位置しています。
ここDAVIS校ワイン醸造学科では、ワイン作りを“化学”として捉え、ブドウ栽培からワイン醸造、
ワインを構成する全ての要素を数字によって分析し、研究を重ねています。
その歴史はカリフォルニアワインの歴史と常に密接に関わり合い、この徹底的な化学的アプローチが、
カリフォルニアワインをわずか50年足らずで世界的に認知されるレベルにまで押上げた原動力と
なっていることは間違いないと思います。
しかし、日本での大学時代に全く勉学というものから
かけ離れた生活を過ごした僕の頭は、
複雑で面倒な講義内容を理解する準備ができて
おらず、慣れるまでにかなりの時間を必要としました。
さらに10歳年下人々に囲まれた生活は新鮮で
あったと同時にチャレンジでもあり、入学当初は
かなりのストレスに悩まされたことを記憶しています。
そんな経験も遂にこの日を最後に過去の良き
思い出となることを実感した卒業式前夜の酒は格別の味わいがあり、
案の定、当日の式には二日酔いでの出席となりました。
卒業式は、ゲストスピーカー、中国人シェフ兼料理番組ホストのマーティン・ヤン氏(DAVIS校卒)の
ユニークな体験談で予想以上に盛り上がりました。香港から単身アメリカに渡り、苦労しながらも
異国で成功を遂げた彼の話に感銘を受けなが、頭の中は自分の今後について思いを巡らせて
いました。
“自分の納得のいくワインを、ここカリフォルニアで生産する為にはどうすればよいのか?”
“DAVIS校にて学んだ化学と実際のワイン作りをどのように結び付けていくべきか?”などと
いった事を漠然と考えながら。
現実的には、カリフォルニアのワイン生産業界は、このワイン醸造学科を卒業した人たちが大半を
占めており、“卒業”など別に特別なことでないのが事実。
今の自分はやっとスタート地点にたどり着いた状態。
目標達成にはまだまだ先は長いかも知れません。
現在は、ナパワインカンパニーというワイナリーの実験室でワインの分析の仕事をしながら、
ここナパにてワイン作りに携わるこれからの毎日に、大きな期待と多少の不安を抱いています。
そして、定期的にその経験談を、このコーナーを通じてご報告できたらと思っています。
何卒宜しくお願いします。
中村倫久
上の方の写真を拡大してご覧ください。
NORIさん(中村さんのニックネーム)、草履を履いてますねえ。
二日酔いに草履とくれば、かなりオヤジですねえ。(笑)
ご卒業、心よりお祝い申し上げます!