2006年03月01日
もうそろそろ雨季も終了してほしいなと思っているのですが、2月末からまたストームが来ています。
先週末から今週あたまにかけては、もんのすごい風が吹き荒れ、ベイエリアの一部では数千世帯で停電になりました。
このストーム、明日からもまたやってくるようです。
今週は、「20ドル以下のカリフォルニア・ワイン」Vol.20をお届けします。
Hook & Ladder
The Tillerman 2003
Russian River Valley, Estate Grown
$12.89
ソノマ・カウンティのサンタ・ローザ Santa Rosaに、「Bottle
Barn」というリカー・ショップがあります。
場所柄、ソノマ・カウンティ産のワインが多く取り揃えられているのですが、この店のチャーム・ポイントは、
その値段です。
ベイエリア中にワイン・ショップは数あれど、恐らく「安さ」で言えばココが一番なのではないか、と思います。
倉庫のような店内には、ありとあらゆるアルコール類が置かれていますが、ワイン・コーナーで
「何か面白そうなワインはないかな」と、うろうろするのが、とても楽しい。
このワインも、ボトル・バーンで見つけました。ワイナリーの「希望販売価格」が16ドルで、それが$12.89(+Tax)に
なっているのですから、リーズナブルな上に更に安くなっていて嬉しいです。
「Hook & Ladder」は、Russian
River Valley地区で過去30年、ぶどう栽培を手がけてこられた、Cecil
De Loach氏が
オーナー兼ワインメーカーのワイナリーです。
De Loach? そう、あの「De Loach」ワイナリーの創始者です。
サンフランシスコの消防士であられたセシル氏が、Russian River
Valley地区に目をつけ、ヴィンヤードを購入したのが70年。
75年には、「De Loach」のラベルをつけた初のワイン(Old
vine Zinfandel)を市場に出しました。
今ほど注目を浴びていなかった時期のロシアン・リヴァー・ヴァレー地区で、ジンファンデルを中心に生産規模を拡大していったセシル氏。
この地区の知名度を上げた功労者のおひとりと言って、間違いはないと思います。
ほんの数百ケースの生産で始まったDe Loachワインも、世紀が変わる頃には、持ち畑600エーカー、総生産量25万ケース、
30種類を超えるワインを出す、巨大ワイナリーになっていました。
90年代のバブル時期における多額の資金投入が災いとなり、2003年には約30億円を超える負債を抱え、チャプター11行きと
なってしまいました。
現在の「De Loach」は、2003年11月に、ブルゴーニュはニュイ=サン=ジョルジュを本拠地とするBoissetファミリーがここを買収、
生産規模をぐんと縮小し、ワインメーカーにGreg La Follette氏を迎え、上質のピノ・ノワール造りに取り組んでいます。
で、「De Loach」を手離したあと、セシル氏が興したのが、この「Hook
& Ladder」というわけです。
元、消防士さんというバックグラウンドを考えると、このワイナリー名はさもありなんです。
「The Tillerman」2003は、カベルネ・ソーヴィニョン57%、カベルネ・フラン27%、サンジョヴェーゼ16%のブレンド。
これらのフルーツが育つLos Amigos
ヴィンヤードは、ロシアン・リヴァー・ヴァレー地区の北西部に位置しており、
「北へ行くほど暖かくなる」という、このあたりのヴァレーの特徴そのままで、地区内でも暖かいエリアです。
暖かいところで存分に育ったカベルネ・ソーヴィニョンとカベルネ・フランは、ワインをどっしりしたワイルドなものにしています。
そして、少しだけブレンドされたサンジョヴェーゼが、ハーヴの香りとスパイス風味を加え、
「バランス」を与えているように感じました。
このお値段で、これだけしっかりしたワインが頂けるなんて素晴らしい。
サンジョヴェーゼ独特のスパイシーさが、とても効果的に出てきています。
こういうワインには、やっぱり真っ向正面勝負、ステーキなんてどうだろうと思いましたが、サンジョヴェーゼが
入っていることを考えて、イタリアン⇒パスタという発想になりました。単純すぎますかね。
我が家の定番ラザーニャは、ピリっと辛いソーセージ肉を炒めてつぶして、3種のチーズ(リコッタ、モッツエレッラ、
パーミジャーノ・レジアーノ)を使い、ワイルド・マッシュルームもチラっと入れて作ります。
ソーセージの辛さが、このワインのスパイス風味とバッチリ合って、とても美味しく頂けました。
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