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2005年02月16日
今週は、あれこれ4月14日でご紹介した未来のワインメーカー、NORIさんのエッセーです。
今月のナカムラ・ノリヒサ 2005年2月
1年を通じて、様々にその色彩を変えていくナパの
ワイン畑において、2月は間違いなく
僕のお気に入りの季節です。
冬の眠りについたワインの木々を守る
かのごとく、この時期に姿を現すマスタ
ード達。このマスタードの花が一斉に
開花し、ワイン畑一面を黄色く染める様を見ると、 (註:写真は小林撮影)
不思議と心が落ち着いてしまうのです。
そんなマスタードの花に囲まれたナパワインカンパニーでは、このところ
1日が経過する時間が長くなっているような気がしてなりません。
要は仕事がスローペースになりつつあるわけですが、それもそのはず、
2004年のワイン達は大半が既に“熟成”の段階に入り始めています。
この段階まで来ると、あとは時間をかけて個々のワインの成長を見守る他なく、
ワインメーカーの目は、2002年や2003年のヴィンテージのブレンドや
ボトル詰め、それに伴う最終調整に向き始めます。
最終調整にあるワインを分析していていつも驚かされるのが、
そのアルコール度の高さ。特に少量生産で高額なワインを生産する
Pahlmayer やRistow
に代表されるワイナリーでは、16%以上も当たり前。
ボルドー、ブルゴーニュのワインはそれぞれ12.5%、13.5%辺りですから、
比べるとその強さを想像していただけるかと思います。
ただ、カリフォルニアの法律では14.04%以上のワインは、ラベル表示の際
1.5%までの誤差が許されるように設定されている為、これらのワインが
市場に出ると、「アルコール度14.5%」になってしまうケースが多いわけです。
糖がアルコールに変わる事を考えると、この高いアルコール度数は、
それだけカリフォルニアの“太陽の恵み”の豊かさを象徴しているのですが、
味わいの点から見ると、各ワイナリーでは酸度やpHなどの調節によって<
バランスを保つ努力が繰り返されています。
逆に、14.04%以下のワインにはかかる税金が少なくなる為、Mondavi や
Coppolaに代表される、“大量生産の低価格帯のワインが一番の売り上げを
もたらす”大きな有名ワイナリーでは、特に余分な課税を避けるべく、
高くなりがちなアルコール度数を人工的に押さえる工夫が凝らされています。
さて、自身のロゼワインも相変わらず、予想以上に高いアルコール度を
保っていますが、若干の酸度の調整を経て、あとは春先のボトル詰めを
待つばかりとなりました。
次回もしくは次々回でその様子をご報告できるとよいのですが。