ホーム    日本語ガイド    フード&スポット    ワイナリー紹介    人&ビジネス    あれこれ    コンタクト

2007年02月14日

今週の「あれこれ」は、2月8日(木)に、地元アラメダにあるワイナリー「Rosenblum」で開催された
P.S.I Love You」イベントについて書きます。
P.S.I Love You」の「P.S」は、プティ・シラー(Petite Sirah)を指し、この品種をメインに使ったワインを
出しているワイナリーが集まり、それぞれレストランや、チョコレート店、ケータリング会社とコンビを組み、
フード&ワインのテイスティングを提供するイベントです。

品種別のテイスティング・イベントは、ここ数年のうちにどんどん増えてきており、ジンファンデルなら
ZAP」(Zinfandel Advocates & Producers)、ローヌ系品種なら「Rhone Rangers」(Lone Ranger
ひっかけている)などが、組織の規模としてもメジャーなものになってきております。ピノ・ノワールにいたっては、
「Pinot Days」「PinotParadice」「Pinot Noir Summit」「World of Pinot Noir」
など、多種多様のテイスティング・イベントが行われており、この品種の人気ぶりがわかります。

P.S. I Love You」という組織自体は、2002年8月に発足、現在65ワイナリーがメンバーとなっています。
プティ・シラーという品種そのものは未だマイナーな存在で、というのも、大抵の場合、ジンファンデルとの
ブレンド用品種として使われており、濃い色調とタンニンを加える働きをすることから、「やたら強い・きつい」
品種としてのイメージが先行しているためと思われます。

この品種については、1997〜98年に、当時UCデイビス校の遺伝学者であられたDr.キャロル・メリディスさん
(彼女が造っている「Lagier-Meredith」のシラーは、私も大ファン)が、そのルーツを発表されています。
DNA鑑定の結果、カリフォルニアにおけるプティ・シラーは、フランスにおける「Durif」種と同じであることが
わかりました。南フランスにあるDr.Durifさんの畑で、1880年頃、品種の実験が行われ、シラーとPelousin
いう品種の間で起こった相互受粉によって、プティ・シラー(=Durif)ができてきたとされています。
つまり、プティ・シラーは、その半分のDNAをシラーとシェアしているわけで、シラーとプティ・シラーは親子関係に
あるということになります。

難しい話はこれくらいにして、当日集まった29のワイナリーのうち、印象に残ったものにつき記しておきます。
(アルファベット順)

          

David Fulton Winery
 
 こういうイベントの醍醐味は、少量生産であるために「知る人ぞ知る」ワインに出会う
 ことができる点です。「デイヴィッド・ファルトン」は、その名前の方が1860年に、
 セント・ヘレナにヴィンヤードを開墾したという、古い歴史を持つワイナリーです。
 1930,40,50,60年代に植え替えが行われ、現在に至っており、カリフォルニアで
 最も長く継続して所有・経営されてきているワイナリーのひとつであります。
 ドライ・ファームで栽培されている畑から、少量のプティ・シラーが造られており、
 今回テイストした、03プティ・シラーで生産量たったの350ケース。
 深い深い色、エッジの美しい深い紫色、タンニンどっしりでありながら、ダーク・フルーツ
 の味わい豊かで、想像以上にスムース。
 2年後には、カベルネ・ソーヴィニョンが出されるそうですが、それまではプティ・シラー
 のみの生産。
 近いうちに是非、アポイントを取ってワイナリーを訪れたいと思っています。
 
Field Stone Winery
 
 どちらかというと、お手頃価格のカベルネ・ソーヴィニョンを出すワイナリーとして知ら
 れていますが、何の何の、プティ・シラー、Staten Family Reserve, Alexander Valley
 の方が印象的というか、飲み応えあり。2002ヴィンテージのものが出されていました
 が、適度な酸味とタンニンの強さがうまい具合にミックスされていて、バランス良く
 飲みやすかったです。マーケティング担当の方が不在なのかどうか、ウエブサイトも
 1年以上更新されていないようで、商売っ気があまりなさそうなところもご愛嬌。
 ワイナリーのある128号線は、よく通るのですが、一度もワイナリーに立ち寄ったこと
 がありませんでしたので、次回近くに行ったら寄ってみることにします。
 イベント当日には出されていなかった、プティ・シラーのポートに興味あり。
 
Gelfand Vineyards
 パソ・ロブレスにあるワイナリーですが、「パソ・ロブレス・ワインカントリー」リストにも
 載っていない小さな小さな、新進ワイナリーです。(2000年スタート)
 カベルネ、シラー、プティ・シラー、ジンファンデルを出していますが、すべて自分たちの
 畑のフルーツで造られており、年間総生産量1300ケースのみ。うち、プティ・シラー
 は227ケース。04年ヴィンテージのエステート・プティ・シラーは、バランスが大変
 良い、素晴らしいワインでした。オーナー兼ワインメーカーのLeonard Gelfandさん自ら
 サーヴされており、それも微笑ましく。
Maloy O'Neill Vineyards
 
 イベント参加ワイナリー・リストには載っていませんでしたが、前記Gelfandとブースを
 シェアしておられました。ここもパソ・ロブレスにあるワイナリーで、カベルネやらメル
 ローやら、シラーやら色々造られていますが、プティ・シラーについては従来からある
 パソ・ロブレスAVAのものに加え、05年ヴィンテージから、前記Gelfand Vineyard
 単一畑プティ・シラーを出しています。
 グラスに注いだ瞬間のそのダークな色調、ぶわ〜と立ち上るダーク・チェリーの
 アロマ、爆弾的強烈風味。デザート・ワインにしても良いかと思うくらいの、プティ・
 シラーらしいプティ・シラーでした。前記のGelfandと、このMaloy O'neillのプティ・
 シラーが、この日のMy most favoriteワインとなりました。
 
Marr Cellars
 
  そのシンプルにしてわかりやすいラベルが目に付きました。
 そしてもうひとつ、ここのワインをテイストしてみようと思ったきっかけが、
 レイク・カウンティのフルーツを使ったプティ・シラーがあったからです。
 9月にレイク・カウンティを訪れて、数軒のワイナリーを回った結果、この地区の
 プティ・シラーにいたく感銘を受け、力強い将来性を感じました。
 で、当ワイナリーのレイクカウンティ、シャノン・ランチのプティ・シラー04をテイスト
 したのです。スパイス風味たっぷりで、喉越し柔らかく、大変飲み心地の良い
 ワインでした。1本25ドルという価格も素敵。
 ロバート・パーカーJR氏は、ここの03プティ・シラー(別の畑)を「タニックすぎて
 お薦めできないが・・」と書いておられますが、是非このレイク・カウンティのものを
 テイストして頂きたい。
 オーナー兼ワインメーカーのBob Marr氏は、もともとシャイな方のようにお見受け
 しました。「え?写真、いいですよ。でもスマイルできるかなあ・・・」
 で、この写真になりました。笑顔、ひきつってるし。
 
Mettler Family Vineyards
 
  Lodi
は、ジンファンデル、プティ・シラーの生産地として古くから存在し、最近に
 なって再び注目を浴びてきています。メトラーは、そのローダイの地に1800年代から
 代々引き継がれてきているワイナリー。
 田舎〜な感じ(失礼)のローダイにあって、ここのワインのラベルはとても洒落て
 います。(失礼)ラベルに負けないくらい、04年プティ・シラーはアロマ、風味ともに
 洗練されており、スモーキーさと華やかな感じのアロマが上品にミングルしていて、
 素晴らしい。これで22ドルだから、尚のこと素晴らしい。
 家に帰って調べたら、ロバート・パーカーJR氏が、このプティ・シラー03年ものに
 91ポイントをつけておられました。
 ローダイからは、他に「Michael-David」「Ripken」ワイナリーが当日参加されていて、
 いづれも非常にリーズナブルな値段のワインを出されておりました。いつの日か、
 ローダイまで足を伸ばして行ってみようと思います。
 

                    back