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Terzo           テルツォ

Cow Hollow地区】 

サンフランシスコ市内の高級住宅地「パシフィック・ハイツ」と、海側の「マリーナ地区」に挟まれた平地の一角は、
Cow Hollow(カウ・ハロウ):牛がたむろする盆地」と呼ばれています。
ユニオン・ストリート沿いのこの地区は、1860年代まで、乳牛が放牧されていた地域だったことから、
そういう名前がつけられています。
今では、そんな酪農時代の面影などまるでなく、高価なブティック、ギャラリー、アンティーク・ショップが
点在する地域となっています。

大通り「ロンバード・ストリート」を挟んで海側には、チェストナット・ストリートがあり、ここ数年のことを言えば、
このチェストナット・ストリートの方が人の流れが多く、レストランにしろ、ブティックにしろ、人気の高い店は
そちらに集中しているようです。

ただ、ほんの2〜3ブロックの距離ながら、カウ・ハロウ地区の方が高級住宅地「パシフィック・ハイツ」から近いので、
このあたりに住む富裕層に気に入ってもらえると長続きする、という点では、カウ・ハロウの方が強いかもしれません。

三つ目のヒット

今年春あたりに、このカウ・ハロウ地区にオープンした「Terzo」は、ノースビーチの人気店「ローズ・ピストラ」、
地元住民の根強いサポートを得ているお向かいの「
Rose's Cafe」を所有している、Laurie Thomasさん
率いる「
Nice Ventures」グループが開いた三番目のお店です。(「Terzo」は、イタリア語の「Third」3番目)

オープン以来、地元住民、近隣食べ歩き好きの人たちに高い評価を受け、連日盛況の様子。

まず、お店のたたずまいが何とも言えず、素敵です。
ユニオン・ストリート沿いではなく、スタイナー・ストリートを折れて少しだけ下ったところにある、というのがミソ。
表に椅子とテーブルが出ていなければ、見過ごしてしまいそうなくらい地味な外見です。
地味ではあるけれどハイセンスと申しますか、「むむ、ここは何だか良さそう・・」と、つい中を覗いてみたくなる類のものなのです。

フレンドリー&プロフェッショナル

お店に入ると、笑顔の可愛い女性が出迎えてくれます。待ち合わせの時間よりも随分早くに着いてしまったので、
バーで一杯やりながら待つことにしたのですが、バー・カウンターの向こう側も若い女性。
さっと、バー・メニュー、ドリンク・メニュー、ダイニング・メニューを出してくれ、柔らかい笑顔と口調で、
注文を聞いてくれます。

同行者が到着し、ダイニング・テーブルにつくと、時を置かずしてウエイトレスさんがやってきて、「この店には
初めてですか?」と質問。初めての人には、この店のディッシュの説明(タパス・スタイル=小皿料理なので、
二人だと5ディッシュくらい注文するのが適当)がされ、メニューの一通りの説明と「お薦め」がポイント・アウト
されます。

サービスは流れるように淀みがなく、5皿くらい一度に注文しても、その内容によって時間差でサーヴされます。
すなわち、サラダや前菜の類は先にサーヴされ、肉類はそのあと。
これは当たり前なようでいて、人がたくさん来る人気の小皿料理店では、なかなかお目にかかれない
サーヴのされ方です。
テーブルの大きさがさほどではないので、例えば5皿頼んで、3皿一挙に来ると、もうテーブルは満杯状態で、
取り分けるのにも苦労するほどです。
そういう状況を見越して、まずひと皿、そして次にふた皿、最後にふた皿・・と、こちらの食べるスピードを見ながら
「流れるように」サーヴするというのは、この仕事に長けている人にしかできないことだと思います。
キッチンとのコミュニケーション、連携もバッチリなのでしょう。

ピュアに美味

メニューは、24X22センチの用紙片面、20種類の小皿料理しかありません。
いわゆる地中海料理というジャンルになるのかとは思いますが、オーナーやシェフがイタリア、スペイン、ポルトガルの各地を
回って「ひらめいた」小皿料理が出されています。

メニューの半分くらいは、頻繁に変わります。季節によって、素材の出荷状況によって、或いはシェフの「ひらめき」によって
コロコロ変わるので、地元の顧客にとっては、しょっちゅう訪れても飽きが来ないわけで、これも人気のひとつの原因かと
思われます。

Seafood & Fregola 12ドル

ウエイトレスさんお薦めのディッシュ。
カラマリ(イカ)、クラム(あさり)、トマトと、「フレゴーラ」というパスタの煮込みです。
フレゴーラというのは、サルディーニャ版クスクスとして、最近あちこちのレストランで使われ始めています。
クスクスよりも、味わいが深いというのが人気の理由だそうです。
このフレゴーラと、あさり&トマトを合わせるのは、サルディーニャ地方の伝統的料理法だそうですが、
ピリっと、チリが効いていて、シーフード類も新鮮な味わいと香り、とても美味しかったです。

Steamed Mussels ★ 11ドル

Olorosoシェリー」で蒸されたムール貝は、キュートなサイズ。
牡蠣でもムール貝でも、あまりデカいのは好きでないので、このくらいの小さなサイズは嬉しいです。
蒸す時に、ベイ・リーフ(ローリエ)を放り込んであり、この香りがほのかに漂って、大変ナイス。
旨みたっぷりの汁は、添えられたグリルド・ブレッドで。

Niman Ranch Pork Loin ★ 13ドル

何の変哲もないディッシュですが、ゆっくり噛むと、豊かな味わいを楽しむことができます。
量がこれだけですから、飲んで、しゃべってをしながらつまむと、あっという間になくなってしまい、
このポークの軽やかな旨みがポ〜ンとどこかに飛んでいってしまいます。

濃すぎない味わいのポレンタ、ローストされたイチジク、そして年代もののバルサミコは、
ポークの付け合せとしては「ありふれたもの」なのでしょうが、この組み合わせは、
王道を行っていると思います。

高めだけど、面白いワイン・リスト

小皿料理なので、ワインもグラス・ワインのメニューが豊富です。
バブル6種、白11種、ロゼ1種、赤13種、デザート5種。
1杯7.50ドルから、一番高いもので1杯16ドル。 平均が10ドル程度でしょうか。

全体的に若干(かなり?)高めではありますが、フランス、スペイン、イタリア、ポルトガル、スイス、
カリフォルニア産のワインがバラエティ豊かに揃えられています。
ポルトガルの白、
Vinho Verdeなんて、目にしたのが初めての品種なので、どんなものか大変興味が
あったのですが、既に、
Cavaを1杯やってしまっていたので次回のお楽しみ。

ボトルでは、赤のラインアップが白の倍以上。
赤26種のうち、カリフォルニア産は4種しかなかったのですが、その中に
Byron Kosuge, Syrah, Hudson Vineyard 2004がありましたので、「お!」と思い注文。
Kosuge氏は、Saintsburyワイナリーで15年、そのあと「Miura」のワインメーカーをされてこられている方で、
カーネロス地区のフルーツのオーソリティーとも言えます。

ポーク・ロインが柔らかな味だったので、このシラーが食べ物を圧倒してしまうのではないかと危惧しましたが、余計な心配でした。
非常に滑らかな、スムースなシラーで、それでいて森林を思わせる香り、ちょっぴり黒胡椒の香り、柔らかなハーブティーの香り・・・。
とても、ハンサムなシラーでした。

毎晩盛況なので予約はしておかないとダメなのですが、近隣に行った際、ちょっとお腹に何か入れて1杯ほどひっかけるのに
最適の店です。入り口入ってすぐの奥に、「ウオーク・イン」客用のハイ・テーブル&チェアーが4卓ほどありますので、
早い時間のソコを狙うのもテ。

            

テルツォ
Terzo

住所  3011 Steiner St @ Union, San Francisco
電話番号  (415) 441-3200
ウエブサイト  http://www.terzosf.com/
営業時間  毎日午後5時半〜午後11時。(金・土は、午前零時まで)
 ディナーのみ。

                                                                                                                                                          (2006年10月現在)
          
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