セコイア・キングスキャニオン

　セコイア　＆　キングス・キャニオン国立公園

今年は、冬の間の雨が春先になっても続いたため、雪解けも遅くなり、毎年訪れるヨセミテ
国立公園のハイ・カントリー地区が、６月中旬になってもオープンしませんでした。

                    で、行き先を急遽変更し、ヨセミテの南方面に位置する「セコイア＆キングス・キャニオン
                    国立公園」へと向かいました。
                    サンフランシスコからヨセミテまでは、片道約４時間弱で行くことができますが、
                    セコイア＆キングス・キャニオンは、約５時間半ほどかかります。
                    ロサンゼルスからの方が、ほんの少し距離が短いかな、という感じです。

【２つの国立公園】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　画像をクリックして、ご覧下さい。

                    ここは、北側の「キングス・キャニオン
　　　             国立公園」と南側の「セコイア国立公園」の
                    ２つが隣接しています。
                    この２つの公園の間は、「ジェネラルズ・ハイ
                    ウエイ」という道で繋がっているのですが、
                    両国立公園の間に、「ナショナル・フォレス
                    ト」（国有林）がはさまっており、「ジェネラル・ハイウエイ」を走っている間に、
                    国立公園とナショナル・フォレストの境界線を行き来していることになります。

                    ややこしいのは、「セコイア国立公園」にしか
                    巨木セコイヤ・ツリーがないのかというと、
                    そうではなく、
                    「キングス・キャニオン国立公園」にしか
                    キャニオン（渓谷）がないのかというと、
                    そうでもない、という点です。

                    が、それぞれの出入り口で、別々の入園料
                    を取られるわけではありませんので、
                    名前を気にすることなく、大きな括りで「セコイア＆キングス・キャニオン国立公園」と、
                    全域をひとつのものとしてとらえれば、どうってことありません。

【観光スポット】

★巨木セコイアの木★

                    両国立公園の最大の見所は、やはり、
                    このジャイアント・セコイアです。
                    ヨセミテの中にも、「マリポサ・グローヴ」と
                    いう巨木の森がありますが、トラムに乗って
                    上の方まで行かないと、本当にデカい木々
                    の集団を目にすることができません。

セコイア＆キングス・キャニオン国立公園には、歩いて散策できる範囲内に、
これらの巨木集団が固まって存在します。

                    セコイア側には、「シャーマン将軍の木」
                （General Sherman Tree）、
                    キングス・キャニオン側には、
                「グラント将軍の木」（General Grant
                    Tree）があり、それぞれ世界で一番大きな
                    木、世界で３番目に大きな木として知られて
                    います。

                    木全体の体積を基準に、「世界で最も大きな
                    生き物」とされており、これらより背丈が高いのは
                    世界に３種ほどありますし、これらより長生きしているのも１品種ありますが、
                    このジャイアント・セコイヤより「大きい」のは他にありません。
                    因みに、世界で２番目に大きな木は、同じくセコイア国立公園内、ジャイアント・フォレストにある
                    「ワシントン・ツリー」です。

                    まあ、実にデカいです。威風堂々、これこそ「オーラ」を感じるというものです。
                    ジャイアント・セコイアの素晴らしさ、目を引く魅力のひとつは、その幹の色だと思います。
                    明るい茶色、レンガ色に近い茶色、といえば良いのでしょうか、暗く黒っぽい松の木とは
                    まったく趣きの違う、冴え冴えとした色合いです。

上記の木々の周りにも巨木がニョキニョキ立ち、軽い散策ができるループがあります。
清々しい木々、葉っぱの香り、巨木が作る心地よい日陰、これらをじっくり楽しみます。

★モロ・ロック（セコイア国立公園側）★

                    セコイヤ国立公園のもうひとつの特徴は、
                    東側に広がるシエラ・ネバダ山脈の雄大
                    な連なり、眺めを比較的簡単に目にすること
                    ができることです。

                    「モロ・ロック」（Moro Rock）は、その眺望
                    が楽しめる場所。
                    ４００数段の石・岩階段は、約９０メートルの
                    高みへと人を導き、そこからは、
                    セコイア国立公園の西半分が見渡せ、
                    グレート・ウエスタン分水嶺をハッキリと
                    確認することができます。

                    石段のふもとに小さな駐車場がありますので、
                    そこまで車で行くこともできますが、
                    頂上からの眺望と、ジャイアント・セコイアの
                    神聖な森を両方楽しむために、ジャイアント・
                    フォレスト・ミュージアム前から、のんびり
                    ハイキングして行って頂きたい。
                    片道約３．２キロほど、往復で約１時間半～２時間ほどです。

★クリスタル・ケイヴ★

                    鍾乳洞です。冬期は、そこまでの道が雪で
                    埋もれますので、夏の間だけ見学できます。
                    ジャイアント・フォレストから、細いクネクネ道
                    を車で約４５分、そして駐車場から更に徒歩
                    で約１５分かけて、やっとこさケーヴの入り口
                    に達します。

                    中は常時１０度前後でひんやり。
                    その昔、この山奥まで釣りに来た人が
                    見つけたというこの鍾乳洞を、レンジャーの
                    人が約４０分ほどかけてツアーして
                    くれます。
                    （人数に制限があるので、事前にチケット
                    購入要）

                    ツアー後半では、ちょっと広いドームに参加者が集まり、「total darkness」〔真の闇）を
                    経験します。真の闇、です。
                    目の前に自分の手を持ってきても、その片鱗さえ見えない、本物の漆黒の闇です。
                    これは滅多に経験できないので、これだけでも参加の価値あり。

★パノラミック・ポイント★

                    これも積雪のない、夏季だけアクセス可能
                    な場所。
                    ジェネラルズ・ハイウエイその他の幹線道路
                    に面しておらず、行き先サインも出ていない
                    ので、下調べなしで行くと訪れることなしに
                    終わってしまう場所です。

                    グラント・グローブ・ビレッジの駐車場を通り抜け、６年ほど前にできた「ジョン・ミュアー・ロッジ」横を
                    すり抜けて、くねくね道を約４キロほどドライブしていきます。
                    駐車場から、約３００ヤード坂道を上がると、ハイ・シエラの美しい山々の連なりが織りなす
                    素晴らしい眺望が広がります。

ここから、南方向に伸びる丘陵線を行き、今も現役で存在する「ルックアウト」（見張り所）を経由して
一周するハイキング・ループが出ており、全長約８．５キロ。おすすめです。

【ハイキング】

                    セコイア＆キングス・キャニオン国立公園は、その面積が非常に大きく、
                    車で気軽にアクセスできるのは、その中でも西側のほんの一部だけです。
                    ここの凄さを知るには、バックパッキングをして東へ東へ（奥へ）入っていかなければ
                    なりません。

そこまでシリアスなハイキングをせずとも、デイ・ハイクでも充分に、この公園の良さを
実感できます。

★アルタ・ピーク★　全長約２０．８キロ。「Difficult」

                    セコイア国立公園側の最東には、アラスカを除くアメリカ合衆国（lower 48 states)の中で
                    最高峰のマウント・ホイットニーがあります。
                    が、車でアクセスできるところからは残念ながら、上記マウント・ホイットニーを見ることが
                    できません。
                    その前に連なる山々も、いづれも標高３６５０メートル以上ばかりと高いためです。

                    マイント・ホイットニーを見ることのできる最寄の山は、「アルタ・ピーク(Alta Peak)」。
                    モロ・ロックからも、この山アルタ・ピークを目にすることができます。
                    標高約３７００メートルの頂上部分は、今年はまだまだ雪に覆われていました。

ハイキングに慣れていて、健脚な方向き。

★ウオッチタワー・トレイル★　全長約１０．５キロ。「Moderate」

                    足に自信のある人は、美しい湖を行く「レイク・
                    トレイル」に進むこともできます。
                    一枚岩のWatchtowerの上に奇妙な形の
                    岩が重なり合い、それらを眺めるのも一興
                    ですが、ここの凄さは、足元数百メートルに
                    広がるTokopah Falls（トコパ滝）と渓谷の
                    眺めです。

                    高所恐怖症気味の私は、立って歩くことが
                    できず、はいつくばって、そのあたりの風景
                    を眺めていました。
                    森の中をひたすら歩き、スイッチバックを
                    上がったあと、突然、まさに突然、この渓谷が出てきますので、
                    その時の感動たるや絶句以外にありません。

登山は嫌だけど、ちょっとだけしんどい思いのする、ハイキングらしいハイキングをしてみたい
という方にお薦め。

★トコパ滝★ 　全長約６キロ。「Easy」

                    最も人気のあるロッジポール・キャンプ
                    グラウンドから一番近く、簡単に往復できる、
                    ということから、年間を通して、公園内で
                    おそらく最も人の往来が多いトレイルです。

                    Kaweah Riverの支流が勢い良く流れる
                    のを右手に見ながら、ほとんどアップダウンの
                    ない道をルンルンと歩いていくと、
                    やがて右手に前記の「ウオッチタワー」が
                    見えてきます。
                    こちら側から見るウオッチタワーは、上記
                    トレイルから眺めるソレとはまったく形が違い、
                    より「一枚岩」のデカさを感じることができます。

                    以前、１０月にこのトレイルを歩いた時は、
                    トコパ滝の水がほとんど干上がっていて、
                    チョロチョロ落ちてくる少量の水だけが、
                    唯一、このあたりが「滝」であることを示して
                    いました。

                    が、今回は６月で、しかも雪解けが遅かっ
                    た年ですから、そこが同じ場所だとは思え
                    ないほどの凄まじい水量。
                    ゴーゴーという音で、普通の会話も大声を
                    張り上げないといけないくらいですし、
                    はねてくる水でひんやり、とても気持ちが
                    良い。

                    犬を連れて軽くやってきた男性二人組の片割れが、
                    ヨガをやる方で、平らな岩の上でポーズを取る
                    姿は「マウンテン・ヨガ」と名付けてしまいたいほど、
                    美しいものでした。
                    私達のあとからやってきた高校生の子達が、
                    口をポッカリ開けて、それを観ていたのが
                    可笑しかったです。

                    山の緑と透き通った水、滝の豪快さ、
                    野生動物（鹿、マーモット）との出会い、
                    それらがすべて堪能できるハイキング・トレイル
                    として、ここが人気が高いのもうなづけます。
                    普段ハイキングなんてしないという人でも、
                    ここなら大丈夫。

朝一番か、夕方日暮れ前が、人も少なくてお薦めです。

　back