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COCO500 ココ・500
その昔、サンフランシスコの中心を斜めに
走る「マーケット・ストリート」より南、いわゆる
「SOMA」(South
of Market)は
「危ない」エリアだから、近づかないようにと
言われていました。
20ウン年前あたりに、この街を訪れたことの
ある人は、未だにそのルールが頭に残っていて、
これからサンフランシスコへ行くという人に、「あそこは歩いてはいけないよ」と
忠告していたりします。
街は変わります。特に都会は、地域ごとの再開発がノン・ストップで行われていますので、
例えば、ニューヨークなどでも久しぶりに訪れると、特定の地区の変わりようには驚かされます。
サンフランシスコも、このSOMA地区に「サンフランシスコ近代美術館」(SFMOMA)が
移転してきて、Yerba Buena Gardensが登場してきたあたりから、人の流れが
がらっと変わり、洒落たカフェやレストランがぽつぽつと出始めました。
そして、2000年あたりだったでしょうか、サンフランシスコ・ジャイアンツ(プロ野球)の
ホームスタンドが完成したのが、このあたりを活気付けた決定的要素となりました。
今回ご紹介するレストランは、そのSOMA
地区に、1993年から居続け、地域の変化
を見続けてきた店です。
地域の変化は、客層の変化にも繋がります。
93年の旧店舗オープン時は、倉庫関連会社、
昔からの中小商社で囲まれていたこのエリアが、
インターネット・ブーム到来と同時に、アグレッシブなベンチャー企業が
集中する地区となりました。
が、これらベンチャー企業は、最初の勢いだけは凄まじいものの、1〜2年もしないうちの
合併・統合・買収が頻繁に起こり、挙句の果ては、ドットコム・バブル崩壊。
しかし、その後、前記ボールパーク(野球場)が完成して以来、ロフトっぽい物件が
地域全体に建ち始め、子供を持たないカップル、子供から手が離れたカップル、
裕福なシングルがどっと移り住んできました。
「It's just bursting, and this time around
it's turning into something you can tell
is for real」
〜(新しいハウジング・ブームは)今まさに
炸裂しているところですが、
今回の上昇傾向は本物だ、と見ることが
できます。〜
この地域の変化を見極めたオーナー・シェフ
のLoretta Kellerさんは、そう判断、
93年オープン以来、変わらぬ人気を保ち
続けてきた「Bizou」というレストランを、
約3ヶ月閉め、大改装を施しました。
そして、今年6月末に、名称も新たに「COCO500」というレストランを開けたのでした。
白いテーブル・クロスにカーペットが敷かれた
フロアーという、ちょっとかしこまった感じの
レストランだった「Bizou」は、ふらっと入って
みようかなと思わせる、程よいカジュアルな
店に変わりました。
「COCO500」の「500」は番地。
「COCO」は、彼女ロレッタさんの好きなチョコレート。
フロアー、テーブル、壁にしつらえられた
ソファの色は、すべてチョコレート色。
それらチョコレート色に、椅子の背もたれ、
そして店内の壁の一部の「ブルー」が
素敵な「差し色」となって、心地よくブレンド
されています。
窓も大きく取られ、道沿いにロレッタさんが
植えたオリーヴの木が目に優しく映ります。
ウオーク・インの客に充分に対応すべく、バー・カウンターも店内奥に作られ、
カウンターの前には、ハイチェアー&ハイテーブルの2人用席も。
ウエイター&ウエイトレスさんは、全員、
黒のTシャツ、黒のパンツ、そしてダーク・
チョコレート色のカフェ・エプロン(・・という
のは私の造語です。腰から足首近くまで
垂れる巻きエプロン)で、格好いい。
各テーブルには、小さな花瓶に花が二つ。
店が開く午前11時半直後に訪れた時、
オーナー・シェフのロレッタさんが、
この花を丁寧に整えておられました。
かなり頭のきれそうな、シャープな感じの
女性です。これまた格好いい。
★ ダック・リヴァーのテリーヌ ★ 6.00ドル
スモール・プレートが、当店の「売り」と
なっていますが、本当に、ちょっとつまんで、
一杯ひっかけて、というのに丁度良い
ポーション、値段。
この鴨の肝のテリーヌなど、とっても
思いやりのある(?)サイズだと思います。
3人で分けても充分。
添えてあるパンも、噛むほどに味が豊かに
なり、粒マスタードも美味。
ピクルスも存在感あり、で、私は赤オニオンのものを
これだけ一皿お代わり注文したいと願ったほど。
★ チーズ・ディッシュ ★ 6.00ドル
この日は、マンチェゴ・チーズと
Saint Augurチーズでした。
チーズのスライスが、結構大きめなので、
私としては、もう少し、アーモンドと梨スライス
の数をたっぷりにして頂きたかった。
バルサミコ酢が垂らしてありましたが、
これは何年もののバルサミコだったので
しょうか。
ペコリーノ・チーズにハチミツという組み
合わせもイタリア・トスカーナで感激しました
が、ブルー・チーズにバルサミコ酢という
のも、かなりイケることに感動しました。
生地の薄いピッツアより、更に薄い生地の
フラット・ブレッド。
その日のフラットブレッドは、カラメライズされた
カリフラワー、クレーム・フレッシュ、パーメザン・
チーズが乗せられていて、フラットブレッド
そのものには、トリュフがチラっと使われて
おりました。
パンというか薄ピッツアなのに、口に入れると
溶けていくかのようで、ワインと一緒に
なって、私まで溶けていきそうでした。
ランチ・メニューは、
●スモール・スタート ●パスタ+スープ ●サラダ ●サンドイッチ ●ウッド・オーヴン、
ディナー・メニューは、
●スモール・スタート ●リーフ ●パスタ+スープ ●a la plancha ●ウッド・オーヴン
●カリフォルニア・ダート(dirt)
に分類されています。
ディナー・メニューの一番高いものでも19ドルですから、最近ちょっとした店に行って、
メイン・ディッシュ一皿30ドル以上というものを見ても、「ふ〜ん」と思うだけで
さして驚かなくなってしまった者にとっては、新鮮に嬉しい。
【ちょっと高めだけど、魅力的なワイン・リスト】
地中海料理という分類に入るレストランですので、ワインもアメリカ産とヨーロッパ産とが
半々くらいのワイン・リストです。
長い紙、表裏印刷1枚のリストですが、充分だと思います。
食べ物がリーズナブルな値段の割りに、ワイン及びカクテル類がちょっと高いかなと
思いますが、どこかで帳尻あわせなきゃいけないので、まあ仕方ないでしょう。
一人35〜40ドルくらいで済む食事ができる店に、3桁プライスのワインが必要なのかどうか、
少々疑問ではありますが、ボトル全約100種の中に、100ドル以上のものは9種類。
あとは、一番安いもので25ドル、大半が40〜60ドルの範囲です。
ある日訪れた時は、ランチでしたし、
体が甘みを求めていたので、
Sineann,
ゲヴェルツトラミナー、
Celilo Vineyard, Columbia Garge,
Oregon 2004 を注文しました。
Sineannは、オレゴンの素敵なピノ・
ノワールも生産している注目のワイナリー。
こういうワイナリーのゲヴェルツトラミナーを
置いているなんて、これまた憎い。
ベイブリッジへと繋がるフリーウエイに近い
ですし、野球観戦する人に対応すべく、
ランチとディナーの間にブレイクを入れず、開け続けてくれていますので、
しょっちゅう、ふらっと立ち寄りたいと思わせるレストランです。
女性ひとりで、バー・カウンターに座って食べてても、全然OK。
ココ・500 |
|
住所 | 500 Brannan Street, San Francisco |
電話番号 | (415) 543.2222 |
ウエブサイト | www.coco500.com |
営業時間 | 月〜木: 午前11時半〜午後10時 金: 午前11時半〜午後11時 土: 午後5時半〜午後11時 日曜定休 |
(2005年12月現在)
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