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Restaurant Budo ワイン・カントリーにアジアン・アクセント
註)2006年1月1日付け。ページの最後をご覧ください。
近年、アメリカではちょっとした「フュージョン料理」流行と
いうものがあり、フレンチ、カリフォルニア料理に、日本
料理、エスニック料理の味付け、素材をミックスさせ、
新しいモノ好きの人達の注目を浴びておりました。
その影響で、ポン酢とか、マツタケとか、柚子だとか、
たまり醤油などの日本語がそのまま英語の単語として
認識されてきています。
ただ、こういう見慣れない素材が目新しいうちはそれでも良いのですが、これに慣れてくると、
「じゃあ、美味しいのか」という、単純かつ基本的な方向に目が行くようになります。
トレンドだからとりあえず「フュージョン」と名乗っているだけで、何ら個性的でもないし、ごくごく
普通のレベルしかないレストランが出てくるにいたり、最近では、「フュージョン」とつくと
「要注意」という考え方になってきているようです。 日本で言うところの、「創作料理」に近い、
何だかよくわからないけど、微妙〜〜に怪しい、そういった雰囲気になっています。
ここまで来ると、本当に納得のいくディッシュを出す店が、かえって際立って評判を高くします。
そして、それらの店は、敢てというか決して「フュージョン」という言葉を使いません。
今回ご紹介するのは、そういう「フュージョン」という言葉を使わずにおきたい店、
昨年10月にオープンした「BUDO」です。ナパに登場した、「Asian
Accented Cuisine」で、
日本語の「葡萄」を店名にしています。
日本人を母上に、白人を父上に持つ、James
McDevit氏がオーナー・シェフの「BUDO」は、
ほぼ同時期に新しくオープンした、「ナパ・リヴァー・
イン」というホテルの敷地内にあります。
彼は、日本、韓国、フィリピン、そしてアメリカ各地で生活
したことがある背景を活かし、スコッツデールで、
「Hapa」というレストランを繁盛させていました。
その店で、1999年には「フード&ワイン」誌の「rising star
chef」(新人・有望シェフ)に
選ばれています。
その店を売却して、カリフォルニアに移住、そしてワイン・カントリーの中心ナパに「BUDO」を
オープン。 スペイン風タパス、メキシコ料理とのミックス、フレンチ・カリフォルニアといった
カテゴリーのレストランは、ナパに既にありましたが、アジアン・アクセントを特徴とした店
というのは、ナパ・ヴァレーには意外に今までなかったのです。
ナパ・リヴァー・インと、その駐車場を隔てて、堂々の
一軒家。とことこと階段を上がりますと、素敵な中庭が
あり、その庭の周りを、ダイニング・ルーム、ラウンジ、
キッチン、個室が「ロ」の字型に囲んでいます。
中庭にも、テーブルがセットされていて、40〜50名ほどが収容可能。
天気が良い日は、この中庭での食事も素晴らしいことでしょう。
キッチンが、ガラス張りになっていますので、シェフやスタッフ達が
せっせと料理に取り掛かっている姿を、外から眺めることが
できて、ゆったりしたスペースがあるからこそできるセッティ
ングが素敵です。
メイン・ダイニング・ルームは、約40名ほどが座れる、
比較的こじんまりした空間。
ここでは、ランチ及びディナーがサーヴされますが、
ここ以外に入り口入ってすぐの所にラウンジとバー・
カウンターがしつらえてあり、正午から夜まで通しで
専用ラウンジ・メニューを頂くことができます。
今回は、このラウンジ・メニューをご紹介します。
ラウンジ・メニューとは言え、実に良いお値段(笑)。
ですが、素材の質を考えると納得せざるをえません。
フルークというのは、ひらめの一種。
この刺身に、タンジェリン・オレンジの果肉が乗せられ、
オリーヴ・オイルと白醤油がソースになっています。
まず、お刺身に甘いオレンジという組み合わせが、
一般的な和食に対する発想をくつがえします。
オレンジの味はもちろんありますが、これが決して強く
なく、白醤油のほんのりした甘さと、オリーヴ・オイルの
まったり感で、実に美しくミックスされています。
白醤油を上手に使っている店というのは、そうそう
ないので、これは感動しました。
Warm Scallion @ Sesame
Naan $5.00
インドのナンです。これに、さっと炒めたスカリオン
(ネギ)と、胡麻がまぶされています。
つけあわせのソースは、しょうが味のクリーム・
フレーシュと、チリしょうゆの2種。
ピリっと辛い、チリ醤油が抜群で、ナンも歯ごたえ充分
にベイクされていて、お代わりできるものなら、あと10
枚は食べられました。(笑)
チリしょうゆだけでも、持って帰りたかった。
何故、頼まなかったのでしょう。
アーティチョークというのは、南ヨーロッパや、アメリカ
では、とても一般的で良く見かける野菜ですが、
日本語では「チョウセンアザミ」という名前らしく、
日本の方には馴染みが薄いかと思われます。
外の厚皮むきが面倒くさく(本当は、そんなに面倒くさ
くない)、その面倒くささのわりに、食べられる部分が
少ないので、怠慢な私は自分ではなかなか料理しま
せん。しかも、天ぷらにするなんて、気が遠くなるような
手間と技術が必要に感じます。
だから、レストランで食べます。
フリッターのような揚げ方をされたアーティチョークに、添えられたソースが、これまた美味。
レモンと黒胡椒が混ぜられた、醤油ベースのソースで、スキッ!ピリッ!のバランスが素晴らしい。
幕の内弁当のようなプレゼンテーションだから、こういう
メニュー名なのですが、季節に合ったデザートが4種類、
小さなサイズで出てきます。 まず、可愛い。
同行の友人と二人でシェアして食べましたが、
真っ青な空と、まぶしい太陽の光が気持ちの良い日の
昼間、ゆったりとしたラウンジでつつくデザートは、本当に
心なごみます。
4種類、どれも美味しかったです。
一緒に頼んだコーヒーも、底にまったり残るくらい濃厚な
もので、クールな入れ物に入って出されます。
ベリー・ナイス。
サンフランシスコ・クロニクル紙のレストラン批評でも、辛口のバウアー氏が3つ★をつけ、
快調な滑り出しといったところです。
和食の懐石のように、量が少なめで、そのわりに値段が安くありませんので
頻繁に訪れることのできる、デイリー・レストランにはなりにくいとは思いますが、
「この店での食事をするためにナパへ行こう!」と思わせるだけの実力はあるかと
思います。
素敵なレストランです。
レストラン・ブドウ |
|
住所 | 1650 Soscol Ave, Napa |
電話番号 | (707) 224.2330 |
ウエブサイト | www.restaurantbudo.com |
営業時間 | ランチ:月〜土 正午〜午後3時 ディナー:月〜土 午後6時〜午後10時 ラウンジ:月〜土 正午〜深夜0時 |
メモ | ★ワイン・リストが、ユニークです。 ワイン愛好家なら、これを読んでるだけで、 前菜2皿分くらいは時間が過ぎるかもしれ ません。 上記ウエブサイトの「ワイン・リスト」を 是非、ご覧下さい。 ★ディナーはアラカルトもありますが、値段と内容を拝見すると、 季節のテイスティング・メニューがよろしいかと思います。 テーブル全員で注文する必要があります。
★ラウンジとダイニングの間に個室があり、12名収容できます。 |
(2005年4月現在)
註) 大変残念なことに、「BUDO」は2006年年明けと同時に、閉店しました。
3月まで店舗をクローズ、春には同じオーナーではありますが、まったく内容を異にするレストランとして再オープンします。
ビッグでフルボディな赤ワインが人気のナパでは、BUDOのようなシーフードに特徴のある、繊細な料理は
難しかったようです。 再オープン時には、きっとステーキを主体とした、典型的アメリカン・フード・レストランになるのでは
ないかと予想されます。
シェフのJames McDevit氏の料理を、もう味わうことができないのかと思うと残念です。
05年年末のストームで、ちょっと「引いて」しまった感のあるジェイムスさんは、現在ニューヨークやフロリダあたりで
職を探しているようです。
註)
年明けに閉店した当レストラン、2006年5月1日を目処に、新しい店「Cuvée
Napa」として再オープンします。
オーナーは、BUDO時代と同じ、Roger
Roessler氏(「Roessler」ワインの方です)。
料理は上に予想として書きましたように、「モダン・アメリカン・コンフォート・フード」になる様子。
BUDO時代の注目シェフ、James McDevit氏は、ニューヨークの老舗高級レストラン「Le
Cirque」のエグゼクティヴ・シェフの
職に就かれました。東海岸でのご活躍をお祈りします。 (2006年4月現在)