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Le Sarment D'or       ル・サルマン・ドール

【 再び、京都・祇園】

実家が兵庫県宝塚市にある都合上、日本に行くと、必ず京都へ出向くということは、当サイトでも何度となく書いて
きました。今回、京都へ向かった日は、滞在中で最も気温が上がった日で、日中29度くらいまでになりました。
ゴールデンウイークも終わった5月下旬は、季節的にも大変好きな時期なのですが、京都に着くまで、
この時期が「修学旅行」のシーズンであることを、すっかり忘れておりました。

三十三間堂、智積院、高台寺と、のったり・ゆっくり周り、ディナーは祇園で。
「祇園で夕食」なんて、そういうのがしみじみとありがたい年齢になったというか、大人になったなあと
思うのであります。
学生時代は、お金もそんなにありませんでしたから、やれ「王将」の餃子だの、「ボルツ」のウルトラ辛いカレーだの、
安い居酒屋だの、友達がアルバイトしているお寿司屋さんの、すぐポロポロ崩れる握りだの、と、「京都」でなくてもいいのに
というものばかり口にしていたものです。その頃から、もう25年ほどがたってしまったわけです。

今回は、ヨセミテ絡みの友人「ヨセミテ国立公園大好き」サイトの管理人、西村さんご夫妻との会食でした。
西村さんは、現在、
同志社大学大学院総合政策科学研究科の准教授という職に就かれており、その研究室が京都・大原に
農園を持っています。そこでできた野菜類を、大原の朝市で販売しておられるのですが、その朝市でいつも挨拶を交して

おられるのが、今回訪れたお店「ル・サルマン・ドール」のシェフとのこと。

【 再び、京都のフレンチ】

「ル・サルマン・ドール」は、今年3月にオープンしたばかりのフレンチ・レストランです。
京都ホテル・オークラの「ビトレスク」で、長年にわたってシェフをしてこられた上島康二さんが独立、オープン
されたとのこと。

まず、そのロケーションと建物が素晴らしい。祇園・白川沿いは、名店・有名店がひしめくエリアですが、
新橋通りが縄手通りに向かって二股に分かれる手前、一番目につくところに、お店があります。
2階立て、風情ある民家まるごと「ル・サルマン・ドール」で、「京都のフレンチ」をその外観で見事にアピール
できています。

格子戸をガラガラと開けて中に入ると、シェフ上島氏が「ようこそ、いらっしゃいました」と、御登場。
靴を脱いで上がるダイニング・ルームは、オープン・キッチン前のカウンター席が6席ほど、白川を向いたカウンター
席が2〜4席のみ。
2階に、「桜の間」と名づけられた畳の個室があり、4〜8名収容可能。
これだけの座席数であれば、予約がなかなか取れないというのもうなずけますし、桜の季節など、
本当に席の取り合いになるだろうなあと思いました。

メニューは、日ごとに変わるコースのみ。私達が訪れた日は、18000円のコースでした。
オープン・キッチンを目の前にするカウンター席で頂きました。
シェフの調理の様子を拝見できるし、シェフとあれやこれやとお話できるし、フランスから取り寄せられた
キュートな赤いロースターが動く様子も見られるし、で、この席はとてもエンターテイニング。

ホタテ、エスカルゴの春巻き、クスクス、ペストソース添え

        コース内容が記されたメニューがないので、単にお皿に盛られたものを書き並べるだけという
    芸のなさをお許しください。
    エスカルゴを春巻き風にして包んで揚げる、というアイデアが素晴らしい。
    そして、それとホタテ、クスクスを合わせるという組み合わせの妙。
    暑い日だったので、「とりあえず生ビールを」と注文して、グビ〜っと頂いていたのですが、
    揚げ物にビールも良いなあ・・と、出だし快調。

きゅうりのスープ、手長エビとキャビアを添えて

    夏の日の冷たいスープは、大好きなもののひとつです。特に、グリーンは見た目も爽やかで、
    きゅうりのスープ、ズキーニのスープ、ブロッコリのスープなど、よく家でも作ります。
    が、家でできないのは、こういうプリップリ新鮮・手長エビやキャビアを加えるということ。
    やろうと思って、できないわけではないのですが、正味10分ほどでバクバク食べ終えてしまう
    家族の男ども相手に、上質の手長エビやらキャビアなんて、もったいなくて使えません。
    良いレストランで食事を頂いているのだなあ・・と、しみじみありがたく思う一品でした。

オマール海老、ホワイト・アスパラガス、ワイルド・アスパラガス

    伊勢エビ、オマール海老、ロブスター、このあたりはどれでも美味しく頂きますが、
    できれば、小さく切り刻んで、少しずつ味わうのではなく、ハグっとほおばって
    もぐもぐできるくらいの量を食したいと思います。
    ル・サルマン・ドールのオマール海老は、その願いをちゃんと叶えてくれています。
    「失礼」と言いながら、ガブリ!とかぶりつきました。ああ、美味しい。
    ホワイト・アスパラガスは、あくまで丁寧に茹でられて、フニャフニャにならない柔らかさ。
    ワイルド(野生)アスパラガスの、ほのかな土の風味も素敵でした。
    海老の卵を使ったソースが、また・・・・。

明石鯛のグリル、セロリのソースとリゾットと共に

    阪神間で育った私は、ご馳走のお刺身といえば「鯛」でした。
    あとは「アラ炊き」が食卓によく出てきたものですが、もっちりした身のグリルは、
    意外にあまり口にすることがありません。
    ですから、このひと皿が出てきた時は、久しぶりに見た「厚い」切り身に小躍りしそうになりました。
    皮がパリっと焼けていて香ばしく、噛み締めれば噛み締めるほど、柔らかい甘みが広がる身。
    これを、醤油ではなく、フレンチだと、どういうソースと絡めるのだろうと興味津々でした。
    セロリのソースというのはナイス・マッチングでした。なるほどなあ・・・と、うなずきながら頂きました。

鴨と賀茂ナスのトリュフ・ソースがけ

   京都に来たら京野菜を食べずして立ち去れず、です。
   現在、かなり収穫量・栽培量が減少しているという賀茂ナスは、赤いロースターで焼かれます。
   オードブルが出た段階で、既に切り身がロースターに入れられていましたから、
   かなりの時間をかけて、ゆっくりローストされていたことになります。
   鴨も、大きな塊肉が、早い段階で鉄板に置かれ、じっくり焼かれておりました。
   賀茂ナスには、田楽に見た目が似たソースがかけられ、緻密な肉質が素敵に美味。
   鴨も、とても新鮮なお肉なのだなと思える歯ごたえ。
   柔らかいお肉というのが、ベストなクオリティであるように見聞きしますが、私個人的には、
   ある程度、噛みごたえがある、しっかりしたお肉の方が好きです。
   もぐもぐと咀嚼して、その肉質を味わい、肉汁を味わい、そしてワインを頂く・・・これを極楽と言わずして
   何と言う・・です。

チーズ・プレート

   食後のチーズは5種類用意されておりました。そのうちの何種類かだけを選んでもよし、5種類全部
   少しずつ切っていただくのでもよし。
   当然私は、全部切っていただきました。上島シェフ自ら、切り盛りしてくださいます。
   シェフの手元から順に、エポワス、オッソイラティ、モンマリャック、カマンベール、ミモレット。
   京都の祇園で、目が潤んでくるような、こんな素敵なチーズ・プレートに出会えるとは
   思ってもみませんでした。ファンタスティックです。

デザート:いちごと、シャンペンのグラニテ、ピスタチオ・アイスクリーム

   実を言うと、このあたりの記憶があやふやでありまして、写真を見ながら書いているのですが、
   上のアイスクリームが、ピスタチオのアイスクリームだったのか、それとも別のものだったのか、
   メモも残されておらず、あまり自信がありません。ごめんなさい。(ミントだったかも)

  コースが以上で終了しましたら、「どうぞお二階へ」とのご案内。
  2階、新橋通に面したお部屋には、すわり心地満点のモダンな椅子と、お洒落なナイトテーブルが
  置かれていて、食後のひと時を過ごすのに最高のシチュエーション。
  まだ蚊が入ってくる季節ではなかったので、窓も大きく開けて、プチフールとコーヒーを。
  通りから見上げると、何だか良さそうなスペースだなと思えるようで、道行く人が「あそこ見て」
  「あそこはバーかな」、「いやあん、ちょっとええ感じや〜ん」と話しているのが、よく聞こえて
  きました。
  私達は4人でしたので、このお部屋にぴったり収まるサイズで、実に実に快適なディナーの
  締めを迎えることができました。

  ワインも、ガラス張りのセラーに素晴らしいボトルが並べられています。
  上島シェフのビジネス・パートナーが、京都にワイン・バーをお持ちの方とのことで、リストも立派。
  リストの最初が「DRC」ページになっていたのは、祇園という場所柄でしょうか。
  ソムリエーヌは若い方でしたが、一生懸命、食事に合うものを選んでくださいました。

  他の3人さんが、「ワインじゃなきゃダメ!」という方々ではなかったので、ブルゴーニュの赤を
  1本ボトルで注文した以外は、各自ビールを飲んでたりしておられました。
             で、私ひとり、「次はボルドーのをグラスで」とか、「チーズに合うデザート・ワインをグラスで」と
             ソムリエーヌさんを独占しておりました。

店のたたずまい、靴を脱いでの食事、シェフの声が届く程度の大きさ、カウンターでの語らい、ゆったりチェアでのディジェスティフ・・・と、「ル・サルマン・ドール」は、食事のひととき全体が「京都のフレンチならでは」に、コーディネートされています。
本当に、「ああ、京都で食事しているんだなあ」「こんなことができるようになったのだなあ」と心から思え、こうして楽しくおしゃべり
しながら過ごせることの幸せを、じっくり味わいました。

 

ル・サルマン・ドール
Le Sarment D'or

住所  京都市東山区新橋通辰己神社前
電話番号  (075) 531.3606
ウエブサイト   http://www.le-sarment-dor.com/top/
営業時間  
 ランチ:午前12時〜2時 (土日のみ)
 ディナー:午後6時〜9時
 定休日:水曜

 ★要予約です。


 

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