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シェイファー  Shafer

【有名ワイナリーの紹介】                                                               画像をクリックしてご覧下さい。

これまで、比較的新しいワイナリー、これからのワイナリー、小規模ワイナリーをご紹介してきましたが、
このあたりで、知名度の高い、皆様よく御存じのワイナリーを取り上げてみたいと思います。
丁度、このワイナリーを再訪したいというお客様がおられましたので、渡りに船でした。

ナパ・ヴァレーの幹線道路29号線、そしてそれに平行して走るシルヴェラード・トレイルには、
何軒ものワイナリーが連なっていますが、いづれも道路から明確に判別できるサインが出ています。
(もちろん、一般公開していないワイナリーは、そのようなサインはありませんが)

ところが、このシェイファーは沿道にまったく標識が出ていません。シルベラード・トレイルから、
細い農道へと入っていくのですが、その農道の名前さえも出ていないので、初めて訪れる人は見落とす
可能性大。

農道さえ間違わずに取れば、あとはそのつき当たりがシェイファーです。

【ジョン・シェイファー氏の努力】

シェイファーの歴史は、1880年代、開拓者ジャコブ・オールと、C.H.リンダーマン氏が最初に、
この土地にぶどうの木を植えたことに始まります。禁酒法時代、イタリアからの移民、バティスタ・
スキャンシ氏が畑を再耕、自宅でワインを造る人達に葡萄を売っていました。

現在シェイファーのチェアマン、ジョン・シェイファー氏がこの土地を買ったのが1972年、
翌年にはヒルサイドの小さなブロックにカベルネ・ソーヴィニョンを植えました。

当初、人を雇って収穫を一気に行うなってことに考えが行かなかったジョン・シェイファー氏は、
彼一人でシコシコと葡萄を摘んでいたそうで、しかもブリックスだ、pHだなんていうラボ数値も関係なく
やっておられましたから、彼が収穫した葡萄は結果的に、かなり高い糖度の、充分に熟したものでした。
そしてできあがったワインが、周辺の人達を感嘆させる素晴らしい出来となったのです。

それが、「ヒルサイト・セレクト・カベルネ・ソーヴィニョン1978」の誕生でした。(当時は、まだ「ヒルサイド・
セレクト」という名称は使っていませんでした。ヒルサイド・セレクト名が使われたのは、1983ヴィンテージ
からです。)
このカベルネ・フルーツを収穫したブロックは、ジョン・シェイファー氏の一途な没頭さ加減を皮肉って、
John's Folly」(ジョンの狂気の沙汰)と名付けられています。

【ヒルサイドのヴィンヤード見学】

ツアーはまず、その「John's Folly」を含むヒルサイドのヴィンヤードを見学することから始まります。
シェイファーの畑は、1988年あたりから既にサステイナブル農法を取り入れており、この時期、
丁度冬の間に生やしていたカバー・クロップを掘り返して土に戻す段階を見ることができます。
カバー・クロップの掘り起こしで、土壌が柔らかくなると何が出てくるかというと、ジリス、ホリネズミ
といった「gopher」です。若い葡萄の木の根っこを食べてしまうゴーファー類の数を退治してもらうべく、
鷹・ふくろうに住みついてもらうための止まり木や箱が、ヴィンヤードのあちこちに設置されています。

シェイファーの特色はまた、その電力元にもあります。
2004年12月、シェイファーはナパ&ソノマ・カウンティにおいて、100%ソーラー・パワーによる
電力システムを導入した最初のワイナリーとなりました。
減価償却するのに8年はかかるとされていますが、その代わり完成後30年間はソーラー・パワーで
自給自足していけるのですから、長い目で見れば、かなりのコスト・セービングになります。

当日、案内してくださったのは、Director of Wine EducationというタイトルのついたJeff Prather氏。
彼の説明がとてもわかりやすく、ユーモアもたっぷりで、難しくなりがちな話も楽しく拝聴できました。

【ポートが鎮座ましますケーヴ】

次は、ワイナリー見学です。
シェイファーのある地域が、「スタッグス・リープ・ディストリクトAVA」として認可されたの1989年。
1991年には、ここにケーヴを造りました。
私が最初にシェイファーを訪れたのは、確か1996年あたりだったかと思います。

前に訪れた時に見ていたかどうか記憶にないのですが、シェイファーの隠れた名品「ポート」専用の
セラー・スペースがありました。たった8樽しかありません。
鉄柱のゲートで閉ざされた一角、ものものしいなあと思っていたら、ジェフさんが「ここは、セキュリ
ティーがすごいんだ」と言って、ひょいとそのゲートを押したら、すっと開きました。
本当に、確かに、すごいセキュリティー(笑)

【ローテク&ハイテク】

この古色蒼然としたケーヴを通り抜け、ひとつの大きなドアの前に立ちますと、
ジェフさんが「ここまでがローテクなセラーです。そして、このドアの向こうがハイテク・セラー。」と
おっしゃいました。そしてドアを開けると、おおおおお、まさにこれこそハイテク。

高い高い天井は、何の木でしょうか、ヒノキのような美しい木材でおおわれていて、スティールの
棚がピカピカに光りながら堂々と佇んでいます。
2003年に完成した新セラーには、最近ヴィンテージのヒルサイド・セレクトやシャルドネが
寝かされています。

【テイスティング】

さて、いよいよテイスティングです。

2002 Red Shoulder Ranch Chardonnay
2002 Firebreak
2002 Cabernet Sauvignon
2002 Relentless
2000 Hillside Select

今、マイ・シャルドネを作っているせいもあり、有名ワイナリーのシャルドネは注意してテイスト
するようにしているのですが、マロラクティック発酵をさせていないシェイファーのこのシャルドネ、
何故にこれほどまでにクリーミーさが残るのか、非常に興味のあるところでした。
素敵なシャルドネです。

サンジョヴェーゼが好きな私には、Firebreakが最も印象的でした。
カベルネとのブレンドである、いわゆる「スーパー・タスカン」スタイルですが、立ち上るアロマといい、
ピリっと感じるスパイス風味といい、「スタッグス・リープ地区のスーパー・タスカン」という個性が
バリバリ出ていました。

そして「ヒルサイド・セレクト」。
2つ上のカベルネ・ソーヴィニョンが、メルロー、カベルネ・フランを少量ブレンドさせているのに対し、
ヒルサイド・セレクトは100%カベルネ・ソーヴィニョンです。
それなのに、何と言えば良いのでしょうか、とても上品でソフトで滑らかで、一緒に添い寝して欲しい(笑)
感じの素敵なワインでした。
マット・クレイマー氏が、近著「New California Wine」で、スタッグス・リープ地区のカベルネを表現する
のに、「a corseted voluptuousness」(コルセットを身につけた、なまめかしさ)という言葉を使って
おられますが、まさにまさに、そんな感じでした。素晴らしい。

シェイファーといえばメルローという評判がたっており、今でもシェイファーのメルローは大人気で、
リリース直後に売り切れるそうです。
ですが、やはり、シェイファーはカベルネ・ソーヴィニョンにその威力があると思います。
スタッグス・リープという地区の土壌をビシバシ表すカベルネとして、いつまでも記憶に残しておきたいワインです。

        

シェイファー
Shafer

住所  6154 Silverado Trail, Napa
電話番号  (707) 944.2877
ウエブサイト  www.shafervineyards.com
訪問  
  ツアー&テイスティング: 

 月曜〜金曜、午前10時と午後2時の2回。 ひとり25ドル。
 ★一日に20名までに限定されているので、早めの予約が必要。
 ★予約時に、クレジットカード要。
   24時間前を越しての取消しは、カードにチャージがかかります。
 ★21歳以下の小人、乳児は訪問不可。ペットも不可。

 ワインの購入:

 ツアー&テイスティングなしで、ワイン購入のみすることは可能。 月曜〜金曜、午前9時〜午後4時。
 
購入時のテイスティングはできません。
 

                                                                                                                                     (2005年4月現在)

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