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2006年10月04日

すか〜っと晴れ上がった毎日が続いた9月が終わり、10月に入りました。あと2ヶ月で今年も終わりなんて、ああ早い。

今週は、 レアード・ファミリー・エステート・ワイナリーにお勤めのロバートによる「ロバートからの絵葉書」 パート15です。
久しぶりのご登場。時期にちなんで、今年のハーベストの状況を書いていただきました。
                   
ロバートのプロフィールは、こちらから。

                                                 Post Card from Napa Valley
                                                                   Harvest 2006

ナパ・ワインカントリーにおける、1年のうちで最もエキサイティングで、最も疲れる、でも最もやり甲斐の
ある時期がやってきました。2006年ハーヴェストが始まっています。
「クラッシュ」という呼ばれ方をされるこの時期は、ワイン生産時期のクライマックスであり、
ナパ・ヴァレーのどこに行っても、ハーヴェストの風景、香り、音を楽しむことができます。

レアード・ファミリー・エステート・ワイナリーに勤めていると、他のワイナリーでは見られない
機会が与えられます。
ここは多くの顧客相手に、カスタム・クラッシュ施設を提供しているおかげで、多種多様なワイン造りの
哲学、その方法を観察することができるのです。
例えば、大半のワインメーカーらは、単純に、赤ワインの葡萄ならホッパーにぶちこんで、
発酵前の除茎を行います。白ワインの葡萄なら、「
bladder press」に入れて、ジュースを抽出します。
特定のワインメーカーは、しかしながら、この段階でエキストラの作業を施し、最高の葡萄だけでワイン
造りをするようにしています。

レアードのカスタム・クラッシュ顧客の中でも、非常にハイエンドでVIP的存在のワイナリー
K.T.Winery」は、ベスト中のベストな葡萄だけを使うべく、費用も時間も普通異常にかかる方法を
取り入れています。(小林註:当ワイナリーは、最終的に何というワイナリー名になるのか、
現時点では不明であり、名前を出すことによって当ワイナリーにご迷惑をおかけするといけませんので、
あえてイニシャルだけにしました。)
収穫した葡萄を運び込むのに、
K.T は、1,000パウンド容量の容器ではなく、換気孔のついた25パウンド
容器(非常に小さい)を使っています。小さい容器を使うことによって、その容器の中で葡萄が粉砕して
しまうことを避け、また酸化してしまうことを最小限に抑えます。
機械ではなく、人の手で、容器の中のものが小さな除茎機に入れられ、茎が取られたフルーツがコンベヤー・
ベルトに落とされます。 8人の作業員によって、葡萄が選り分けされ、余計なものが取り除かれます。

選別された葡萄は、ドライ・アイスを使って低温で保管されます。K.T が使う発酵タンクは、小さいオープン・
トップのものなので、パンチダウンも、優しくムラなく施すことができます。
こうして、非常に柔らかで、タンニンの少ないワインができあがるわけです。
これら一連の手間のかかる作業を見ていると、完璧に近いワインがどうやってできあがっていくのかが、
とてもよくわかります。今日、彼らは2006年のメルローを扱っていました。
彼らのワインメーカーは、かの
Heidi Barrettさん。そしてヴィンヤード・マネージャーは、
David Abreu氏です。

レアードの大半の顧客にとっては、トラディショナルなクラッシュ方で充分です。
普通、葡萄は早朝に摘まれ、1000パウンド容器に入れられ、底の平らなトラックに載せられて
ワイナリーにやってきます。
重量を測定したあと、白ワインの葡萄はブラダー・プレスに入れられ、赤ワインの葡萄は、
除茎・クラッシャー機に入れられます。

発酵そのものは、白ワインで約ひと月、赤ワインで2週間ほど、かかります。
発酵後は、大半のものがフランス産オーク樽に移されます。
(一部はステンレス・スティール・タンクへ)
昨年の収穫量が記録的に大量だったため、樽不足の危険性がありました。
ここ数日の間に、実にたくさんの新樽が、レアードに運び込まれています。
早い時期に収穫された葡萄の発酵が終わりつつあり、スタッフ達は、それら新しく運び込まれた樽に
ワインを入れて、ワイナリーの地下ケーヴへ、それらを移します。

昨年の記録的収穫量は、消費者にとっては朗報です。質は上昇しつつ、価格が下がるだろうからです。
いくつかのワイナリーでは、素晴らしいクオリティの葡萄が取れすぎたために、扱いきれないものを
バルク・ワインとして、他に売らなければならない羽目に陥っています。
他にも、今年、そしてこれから先に起こるだろう問題があります。
イリーガル・ワーカーに関する問題が、国レベルで取り沙汰されている中、マンパワーが減少するのでは
ないかと危惧されています。私が思うに、このあたりの政治家らは抜け目ないので、
ハーヴェストの時期にこの問題をわざわざ持ち出してくることはないはず。
しかしながら、遅かれ早かれ、労働賃金は上昇するだろうと思われます。

レアードの顧客の中で、最も才能あるワインメーカーの一人、Mia Kleinさんに、今年のハーヴェストは
どんな具合かを聞いてみました。彼女いわく、「今のところ、とっても良いわよ!」とのこと。
ミアによると、葡萄のクオリティは申し分なく、収穫量は昨年よりも「通常レベル」に近くなっているそうです。

今年の天候を振り返ってみると、春は雨が多く、寒くもありました。7月に、ものすごい熱波がやって
きましたが、そのあとはイーブンな熟し方をしてきています。ヴィンヤードに従事する人たちは、
夏中、畑に出て、自然との適合作業に明け暮れていました。
ハーヴェスト近くの時期、一部のヴィンヤードでは、いくつかの房が地面に落とされ、密集度を落とし、
陽光が入り込むよう、茎や葉が切り落とされていました。

これを書いている最中、翌週に雨の予報が出ています。例年通りのものであれば、
少量の雨は収穫にそれほどのダメージは与えません。 
ここまで、ヴィンヤード・マネージャー達は最大限の仕事をやってきたわけですし、
まったく心配することはありません。

ハーヴェストを経験すればするほど、グラスに注がれたワインが、より大切なものとして、
より尊敬するべきものとして、私の中でどんどん大きくなっていきます。

       

★原文をお読みになりたい方は、こちらへ。以上の翻訳は 小林が行いました。★

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