ホーム    日本語ガイド    フード&スポット    ワイナリー紹介    人&ビジネス    あれこれ  登場ワイン&ワイナリー検索   コンタクト

               

2010年09月30日

前回のUPから、丸々4ヶ月半がたってしまいました。ここに書きたいこと、書かなければいけないことが、相当あるの
ですが、いかんせん、パソコンの前に座ってじっくり書くという時間がない。
明日から10月になることですし、このあたりで、「書く作業」の方法そのものを変えてみようかと思っています。

それはさておき、今回の「あれこれ」は、9月28日(火)の午後に行なわれた「Coombsville Vintners & Growers
主催のトレード&メディア・テイスティングについて、ご報告。

年間を通して、テイスティング・イベントは各種行なわれていますが、今やメジャー・イベントとなった「FWOC
(ファミリー・ワインメーカーズ・オブ・カリフォルニア)」にせよ、「Pinot Days」にせよ、とにかく規模が大きくなりすぎて、
とてもじゃないけど、全ワインを試飲することは不可能。
ワインカントリー近くに住んでいる特典は、そうしたメジャーなものだけでなく、比較的こじんまりしたサイズのテイスティング・イベントに
気軽に参加できることです。
特に、AVAごとのテイスティング・イベントだと、その地域の特徴を学ぶことができるし、初めて出会う新進ワイナリーが必ずあるという点に
おいて、大変有意義なものとなります。

Coombsville (クームスヴィル)は、現在AVAを取得するべく活動中でありますが、ナパ市の東に位置します。
丘陵部分と、鉢のような小さな盆地が一帯を覆っています。
ナパ・ヴァレーの南端にあたりますので、湾からの影響を受け、海洋性の霧が比較的早い時間に流れ込んできて、
ヴァレーの他地区より、その霧が長く停滞。一方、冬の間や霜の時期には、気温がさほど低くならない。
ということで、大雑把に言えば、
budbreakが他地区より早く起こり、
収穫が他地区より遅い=成長期が他地区より長い、という図式になります。

現在、「Coombsville Vintners & Growers」には38のワイナリー&ヴィンヤーズが所属していますが、
今回のこのイベントが当組織が主催する初めてのもの。当日は、20軒のワイナリーが参加していました。
このくらいのサイズで、私には精一杯です。全部のワインを試飲するのに、午後2時から始まって、終了の午後5時まで、
丸々3時間かかりました。
以下、簡単なノートです。 (アルファベット順。印象深かったものには★をつけました)

           

Ackerman


 2003 Cabernet Sauvignon 

  いちじくの香り。シルキー。
 2004 Cabernet Sauvignon
  少々、私好みでない香り。
 2005 Cabernet Sauvignon ★
  ダーク・ベリーの豊かな香り。
 2006 Cabernet Sauvignon
  ナパらしい杉の香り。
 2007 Alavigna Tosca
   チョコレート、レーズン、スパイス風味。
 
生産量約500ケース。1995年からワインを生産しているものの、
商業ベースにのせたのは、2007年10月リリースの2003年ヴィンテージから。2009年秋には、ヴィンヤードがオーガニック認証を受けました。
9.5エーカーの自社畑から、100%カベルネ・ソーヴィニョンのみを生産。2007年ヴィンテージには、自社畑カベルネ60%、
ルナ・ヴィンヤードからの購入サンジョヴェーゼ40%の「スーパータスカン」スタイル「Alavigna Tosca」を出していますが、このシリーズの次のリリースは、2010年ヴィンテージだそうです。

Ancien Wines

 2007 Chardonnay, Haynes Vineyard
  MLは半分ほど。優れたバランス。
 2007 Pinot Noir, Haynes Vineyard
    かなり薄い色なのに、味わいはearthy
  Old Vine の風格たっぷり。
 2008 Pinot Noir, Mink Vineyard
    微かなブルーチーズの香り。earthy。
 2008 Pinot Noir, Carneros
   

当ワイナリーについては、2003年に紹介記事を書いてあります。(もう7年も前!)カーネロスAVAと位置が近く、ナパ・ヴァレーの中でも最も冷涼な地域とされているCoombsville ですが、それでも、ピノ・ノワールを栽培している畑は、かなり少ないです。
今回のテイスティング・イベントでも、ピノ・ノワールを出していたのは、参加20軒中、アンシアンだけでした。
フルーツ風味ふるふるの明るいピノ・ノワールもナイスなのですが、どちらかというと陰気なピノ・ノワールが好きな私には、
アンシアンのCoombsville ピノ・ノワールにホっとします。
オーナーのテレサさんもお変わりなく。
 

Black Cat

 2007 Syrah, Estate
    骨太さが少し欠けているかのよう。
 2006 Cuvee, Cabernet Blend, Estate
    カベルネとシラーのブレンド。肥料の匂い。
 2006 Cabernet Sauvignon, Estate
    2%カベルネ・フラン。杉、プラム。

ここのワインについては、2007年のFWOCレポートで紹介してあります。オーナー&ワインメーカーのトレーシーさんは、相変わらずお美しく、しかも「威厳」が出てこられました。
もともと生産量少なく(約600ケース弱)、幸いなことにメーリング・リスト・メンバー宛てに即売り切れ状態なので、FWOCには
ここ最近出ていないとのことでした。
2007年ものから、ラベルのデザインを変えています。
私が記憶していたシラーと、ちょっと違っていたのが少し残念。
 

Blue Oak

 2007 Estate Merlot
  100%メルロー。とても飲みやすいだけに
  印象に残りにくい感あり。

まだウエブサイトも完成していない造り手です。
ワインメーカーは、G Wine CellarsGrant Long Jr氏。
現在、200ケース生産のメルローしか出していませんが、
2010年ヴィンテージからは450ケースになるとのこと。
のちほど出てくるFrazier のワインでも感じたのですが、Coombsvilleの代表品種はカベルネ・ソーヴィニョンとなっているものの、個人的にはメルローとカベルネ・フランに面白さを感じます。
エレガントでありながら骨太なメルローを期待。
 

Burly
 

 2006 Cabernet Sauvignon
     100%カベルネ・ソーヴィニョン
  梅干、梅干、プラム、プラム。

確か、ここが4軒目くらいだったと思うのですが、Coombsville のカベルネは、ナパ・ヴァレーの他AVAのカベルネとは明らかに「異質」のものであるということを認識しました。ナパ・ヴァレーのカベルネの特徴とされる芳しい杉の香りがほとんどなく、どちらかというとスパイシーな香り。そして、例外なく出てくるのが梅干の風味。
梅干といっても、酸っぱさに顔がシューっとなるあの梅干ではなく、紹興酒に入れたりする干した梅。レーズンに近いプラムの風味と言っても良いかもしれない。
ナパ・ヴァレーにおいては、AVAごとの特徴・違いというのが、ありそうでいてなさそうで微妙なのですが、Coombsville には「そこらしさ」が確実にあるように感じました。
 

Caldwell

 
 
2007 Rocket Science, Proprietary Red
  
ボトル形状がまずユニーク。
     67% シラー、20% カベルネ・ソーヴィニョン、
   8% メルロー、3% Tannat 1% C.フラン
   1% カーメニエ というエステート・フルーツ
   全員集合的ブレンド。
   アルコール度の低いポートかジンファン
   デルのイメージ。
  

コールドウエル名のワインは一般流通されていないのですが、この「ロケット・サイエンス」名のブレンドのみ、ワインショップで買うことができます。テーブルいっぱいに、たくさんのコールドウエル・ワインを並べているのに、試飲できるのはロケット・サイエンスのみ。オーナーのジョンさんも困った感じで立っておられ、「ワイフが午前中に来て、これだけ並べまくって帰っていってねえ。」
ブレンドの中にカーメニエが入っているのを見て、「O'Shaughnessyでカーメニエを見て以来、久しぶりです」と申し上げると、「なに?キャピオーがあそこでカーメニエを栽培してると?ナパでは俺だけかと思ってたのに。よし、明日にでも電話してみよう」と。


 

COHO

 2006 Merlot, Michael black Vineyard
 2007 Merlot, Michael Black Vineyard
 2008 Headwaters

Coho
のワインについては、ピノ・ノワールを何度か試飲したことがありますが、Coombsville フルーツほものは初めてでした。
100%メルローのものと、ボルドー・ブレンドのもの2種を出しておられますが、今ひとつ、印象に残らないのが残念でした。
メルロー100%への期待度が高すぎたのかもしれません。
 

Daviana

 2007 Cabernache ★
    これが30ドルくらいなら買います。
  いくらで出されるのか聞けなかったのが
  心残り。
 2007 Red (58% CS, 42% CF)  ★
    カベルネ・フランの野菜っぽさが、カベルネ・
  ソーヴィニョンのプラムっぽさと良い感じに
  混ざり合っていてナイス。
 2007 Cabernet Sauvignon (100% CS)
    干しプラムの感じが出てきている。
過去10数年、ナパ・ヴァレーのワイナリーにフルーツを卸していたTim & Debbie Darrin夫妻が、初めて自分達のラベルでワインを造られました。この日試飲に出されていた2007年ヴィンテージのものがデビュー作で、10月27日にリリースされます。
一足お先のプレビューであったわけです。
カベルネ・ソーヴィニョンとグルナーシュのブレンド「カバナーシュ」(笑)は、極めてフレッシュで、きれいな酸がたっていてナイス。
 

Dickhous Valley

 2006 Coombsville Hillside
         Bordeaux Blend
 2007 Coombsville Hillside
         Bordeaux Blend
 2006 Hesperian, CS, Coombsville ★
 
バラの香り、きれいな酸。ナイス。

Dickhaus Valley Vineyards
は、収穫されるフルーツの大半を
他ワイナリーに売っています。ほんの少しだけ、チャリティー・イベント等に出すために、ディックハウス名のワインを造っています。
ボルドー・ブレンドながら、昔ながらの「フィールド・ブレンド」です。
ワインメーカーが、Heperianというブランドのワインを出している
Philippe Langner氏で、私の古い友人が、彼と大学で一緒だったことがあるとのことで、春に彼女と会った時、ヘスペリアンのワインを頂いていたのでした。お互い、「Sさんから話を聞いてます」と、
初対面ながら話がすぐに通じて、良かったです。
 

Farella

 
 2006 Coombsville Divide Merlot ★

    骨太メルローの素質充分。
 2007 Road Block Syrah
 2006 West Face, Cabernet Sauvignon
    干し梅、プラムにウッドチップの香り
 2005 Farella "Alta" Proprietary Blend
    70% CS, 30% Merlot  甘さ加減がナイス。
 
ワインメーカーのTom Farella氏は、ウエブサイト上の写真とは
かなり違った印象の方です。
現在、2種類のラベルが出ており、Farella-Park はバラエタル、
Farella はブレンド、と棲み分けをさせています。
ここのメルローを頂くと、Coombsville のメルローというものの将来性を感じます。2005年のメルローを飲んでみたかったです。

Frazier

 2007 Cabernet Sauvignon 
 2007 Cabernet Franc ★
 
甘ったるさ、野菜臭さがまったくない。
  シリアスなカベルネ・フラン。きれいな酸。

 2007 Merlot     ★
 
干し梅感が少しあるが、それがかえって
 個性的なメルローにしている。

 2007 Memento Cabernet Sauvignon
 
上記カベルネのアップグレード版。?

かれこれ8年ほど前にFrazierを訪れたことがあったきり、しばらくご無沙汰していたのですが、久しぶりに試飲して、「メルローが素敵」という当時の印象が変わっていないことに嬉しく思いました。
そして、カベルネ・フラン!
「ナパと言えばカベルネ・ソーヴィニョン」という一般の固定観念が
強いため、ワイナリー側も「売りやすい」カベルネ・ソーヴィニョンを、より多く造りがちです。Bill Frazier氏も「このカベルネは、ロバート・パーカーでXX点だし、ワインスペクテーターでXX点もらったのだよ」とおっしゃってましたが、「彼らが何と言おうとI don't care。どうぞ、この素敵なメルローとカベルネ・フランを造り続けて下さい」とお願いさせていただきました。
 

Inherit The Sheep

 2006 Cabernet Sauvignon
  如実に干し梅。

2エーカーの自社畑から収穫されるフルーツで、カベルネ・ソーヴィニョン(200ケース)とシラー(60ケース)のみを生産。
ワイナリー名の由来については、(おおよそ想像できますが)ウエブサイトをご覧ください。
 
Le Chanceux  2006 Cabernet Sauvignon
    微かに、シャトー・ヌフ・ド・パープの香り。
 2007 Cabernet Sauvignon
    「これ!」という香りが立ち上がってこない。

ウエブサイトもないくらいの小規模ワイナリー。
「ラ・シャンスー」というのは、フランス語で「the lucky one」という
意味だそうです。
 
MARITA'S  2005 Cabernet Sauvignon
 
100%カベルネ・ソーヴィニョン。ナパっぽい。
 2005 SOMA Cabernet Sauvignon
 
如実に干し梅、プラム
 
2.6エーカーの自社畑から、100%カベルネ・ソーヴィニョンのみ、400ケース生産。
Marita'sで150ドル、SOMAで86ドルというのは、本日のテイスティング・イベント中、最高額。
 
Palmaz  2006 Cabernet Sauvignon
    100% カベルネ・ソーヴィニョン。プラム。
 2006 Cedar Knoll Cabernet Sauvignon
    78% CS, 16% Merlot, 3% CF PV

ワイナリーは、Hagen Road沿いにあるのだが、この通り名になっているHagen氏が、その昔所有していた畑がCedar Knoll Vineyard。歴史を偲んで、Cedar Knollラベルを出したとのこと。
「ナパ・アッパー・ヴァレーの方の味わいがありますね」と言うと、
Stagecoach Vineyardのフルーツを少し使っているからかも」。
 
Porter  2006 Cabernet Sauvignon
 2007 Syrah
 2007 Sandpiper Red
 2009 Sandpiper Rose (syrah)
ブレンドでも、メルローの比率が比較的高いのを見て、少々
期待しすぎたのでしょう。Coombsville独特の干しプラム風味が
強すぎて残念でした。
Prime
 2007 District 4 Cabernet Sauvignon
 2007 Midoriya Hills Vineyard, CS ★
 
梅干感少なく、酸がきれい。骨太。

若いLisa & Ted Henry 夫妻が2005年に興したワイナリー。
Tedさんは現在、Jarvisのワインメーカーもしておられます。
リサさんは大変控えめな方で、「ワインのこととか畑のこととかは、
私よく答えられないから、主人に聞いてね」と恥ずかしそうに
しておられました。
Midoriya」という畑の名前は、畑のオーナーが日本に住んでいた
ことがあり、住所の「Green Hill」を日本語風にアレンジしたものだそうです。
 
Sciandri Family  2006 Cabernet Sauvignon
    シャトー・ヌフ・ド・パープを彷彿させる風味。
  干しプラムをローストしたら、こんな感じに
  なるのではないかと想像。

自社畑のフルーツで、カベルネ・ソーヴィノンのみ600ケース生産。ヴィンヤード・マネージャーは、Javier Renteria氏、ワインメーカーは、Dan Baker氏。
このダンさんが、会場内のあちこちのワイナリーを試飲して回っておられ、肝心のSciandri Familyのブースにいない(笑)
 
Silverado
 2006 Mount George Merlot
 
ほんの少し、甘さが強い。酸がもう少し
  だけ欲しい。

 2007 Mount George Merlot ★
  
 11%カベルネ含む。こちらは酸がきれい。
  
earthyさも心地よく、ナイス。

スタッグス・リープ地区に堂々とそびえるシルベラード・ヴィンヤードが、Coombsville にも自社畑を持っていたとは存じ上げませんでした。しかも、この日出されていたのは、Coombsville のメルロー。
私がブースを訪れた時は、ワインメーカーのJonathan Emmerich氏と、アシスタント・ワインメーカーのElena Franceschiさんが
サーヴしておられましたが、アッパー・ソサエティーなシルベラード・ヴィンヤードのイメージとはまったく違う、野趣的な雰囲気のお二方。シルベラード・ヴィンヤーズを訪問するのなら、彼らに
ツアー&テイスティングをして頂きたいものです。
 
Sodaro Estate
 
 
2006 "Felicity" Cabernet Sauvignon ★

  77% CS  8% Merlot  7% Malbec, PV
    苦みばしった紳士のイメージ。
  これで40ドルは素晴らしい。
 2006 Estate Blend
  50% CS, 25% CF, 20% PV, 5% Malbec
    限りなくダークなCurrant とカカオ。
 

100%自社畑フルーツ。ワインメーカーは、かのDawnine Dyer
さん。彼女のダイアモンド・マウンテンのカベルネと、ほんの少し
感じが似ているように思いました。
いずれも大変大人っぽい、数年かけて味わい比べをしたくなる、
素敵なワインでした。
 
Tournesol  2006 Cabernet Sauvignon
  梅干感はさほどない。スパイス・ラックの
  前に立っているよう。
 2006 Proprietor's Blend
  またもや、シャトー・ヌフ・ド・パープが
  よぎる。

ラスト・ミニッツでの参加だったようで、テイスティング冊子に
載っていなかったワイナリー。
オーガニック認証を受けている自社畑のフルーツ100%による、
カベルネ・ソーヴィニョンとブレンドの2本立て。
セールス&マーケティング担当のDouglas Warner氏とは、以前、ナパのワイン・ショップでお目にかかっている。奥様が、ハイジ・バレットさんのお弟子さん的存在の、Helen Keplingerさんで、
前に彼とお会いした時、お二人のワイン「Keplinger」がデビューしたところだった。
Tournesolのワインメーカーは、前記「Ancien」のKen Bernards氏。
 

      back