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2010年03月24日

3月前半までは、薄ら寒く、雨も結構降っていて、「いつになったらパ〜っと晴れるのだろう」と思っていましたが、
3月14日の夏時間開始とほぼ時期を同じくして、快晴&穏やかな気温の毎日がやってきました。
3月19日(金)などは、最高気温がナパ・ヴァレーで摂氏30度くらいにまで上昇し、もう今や紛れもなく「春」です。

今回の「あれこれ」は、約2年ぶりの「ロバートからの絵葉書」Vol.19を、お届けします。
私の怠慢と時間調整やりくりのまずさのため、今頃のアップになってしまいましたが、本来は3月あたまにお読みいただくべき内容です。

ロバートのプロフィールは、こちらから。

Post Card from Napa Valley

Grapevine Pruning (葡萄の木の剪定)

  ナパ・ヴァレーの冬は静かです。ツーリストの数も少なくなり、テイスティング・ルームやレストランも混雑せず、そして、葡萄の木は休眠状態。収穫後数週間たつと、葡萄の木は休眠状態になりますが、新しい発育が発生する前に、プルーニング(剪定)を施さなければなりません。 一旦、太陽が空高く登り、成長を促すのに充分な太陽エネルギーを出すようになると、新しい発育が始まります。従って、それまでの間に剪定を行なわなければならないのですが、通年の例でいくと、ナパでは、12月中旬から3月中旬までの間に、その剪定が行なわれます。

   プルーニングの技術は、フルーツの最高レベルの品質、そしてヘルシーさを促すよう開発されてきました。
プルーニングが施されない木というのは、成長そのものはしますが、苗条部分が地面に着いてしまうほどになりますし、葉っぱも葡萄を覆うほど育ち放題となり、太陽光線をブロックしてしまいます。そして、そういう木は、害虫にやられやすくなります。
前シーズンまでの古い成長部分を大胆にプルーニングし、枝を頑強なトレリスにくっつけることにより、葡萄の木そものが持つエネルギーが大切な葉っぱや房に均等に導かれます。トレリスは、夏を通して、葡萄の木を管理する役目も果たしています。夏の間、もっと太陽光線を葡萄に与えるべく、葉っぱが摘み取られる場合もありますし、より高品質の
フルーツにするべく、一部の房を落とす場合もあります。

   葡萄というのは、新しいCane(茎・木幹)〜またの呼び名「wood」〜からしか育ちません。従って、プルーニング時には、昨年のwood部分を取り除かなくてはなりません。大抵の場合、2番目か3番目の「nodule」(根こぶ:新しいCanewoodが出てくる所)の上を剪定します。ナパの「レッド・ヘン・ランチ」では、1月に、約60センチの長さにまで、
古い
caneを刈り込みます。これが霜対策にもなります。

今年は、2月下旬に、60センチ残っていた
caneを数センチにまで刈り込んで、一連のプルーニング作業を終了
させました。あとに残った「
spurs」(距の部分)が、春になると新しい生育の場となります。
プルーニングの時期には、同時に、トレリスの修理や、灌漑用ホースの点検なども行なわれます。

   プルーニングが終了してから数日後、今度はガーデニング用テープを使って、枝をトレリスに結びつける作業が行なわれます。今年、私がレッド・ヘン・ランチでその作業を眺めていた時は、女性のチームが、この作業を
やっていました。その日は晴れてはいたものの、結構寒かったのですが、みなさん、スペイン語でおしゃべりし、
笑い声をあげながらの作業で、ヴィンヤードでの作業をエンジョイしているように見受けられました。
作業自体は大変なものなのですが、カメラを向けると、どの人もニッコリ微笑んでくれます。

   プルーニングで残された「nodule」から新しい葉っぱやshootsが出てきた状態のことを、「bud break」と言います。添付の写真は、昨年の「bud break」です。例年では、大体3月下旬から4月上旬にかけて、この状態を見ることができます。

   冬の間は、葡萄の木々の間を埋める様々なカヴァー・クロップを見ることができます。
きれいな黄色いマスタード(からし菜)が、最もよく見られるものですが、ナパ・ソノマ全域において、90センチほどの背丈になったマスタードを眺めることができます。ヴィンヤードによっては、このマスタードを刈り取って、別の作物を栽培している所もあります。えんどう豆、ライ麦、そして様々なワイルド・フラワーを見かけます。
カヴァー・クロップは、そこの土壌に特定の栄養素を与えること、そして地崩れを防止するために行なわれています。

   2月・3月は、ツーリストにとっても大変良い時期だと言えます。今年のように、かなりの豪雨・強風の日に当たってしまう可能性はありますが、もちろん晴れた日だってありますし、レストランの予約も断然取りやすく、テイスティング・ルームもシーズン中ほど混んでいません。働き手をヴィンヤードの中に見かけるようになったら、もう春もすぐそこ、です。

★原文をお読みになりたい方は、こちらへ。以上の翻訳は 小林が行いました。★

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