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2007年03月07日

3月に入って、とても穏やかな快晴の日が続いています。
今日水曜日は、少し雲が出ていますが、明日から再び晴れとなり、週末には気温がぐ〜んと上がるとの予報が
出ています。比較的スローなワインカントリーの冬もそろそろ終わり、これから訪問客が増えるシーズン突入です。

今週の「あれこれ」は、3月第一・第二週の金・土・日に行われている「第29回ロシアン・リヴァー・ワイン・ロード・
バレル・テイスティング・ウイークエンズ」について、書きます。
毎年この時期、「ロシアン・リヴァー・ワイン・ロード」という組織に登録しているロシアン・リヴァー・ヴァレー地区、
アレキサンダー・ヴァレー地区、ドライ・クリーク・ヴァレー地区、ヒールズバーグのワイナリーが、樽試飲(バレル・テイスティング)を
させてくれます。
普段、アポイントメントを取らないとテイスティングできないようなワイナリーも、このイベント開催期間は、その門戸を開放するとあって、
年を追うごとに、かなりの人気イベントになってきています。

土・日に行くと、とんでもない人の数になるだろうことが予想されたので、私は第一週の金曜日、つまりイベント最初の日に行きました。
平日だからとタカをくくって行くと、やはりとんでもないわけで、金曜日というのは最早「平日」ではなく「週末」と考えた方が良いようだと
改めて思いました。

バスをチャーターしてやってくるグループもいて、参加ワイナリー一覧表には、ちゃんと「バスまたはリムジン
乗りつけ不可」の印が半分くらいのワイナリーについていました。

今年の当イベントに参加しているワイナリーは、約100軒ほど。
現地に行くと、リストに載っていない小規模ワイナリーもちらほらあり、この時期を狙って泊りがけで丸々三日間
楽しむのも「あり」だなと思います。
バレル・テイスティング(今年の場合、2005年ものか06年もの)したあと、同じワインの現リリースをテイストし、
このイベントのために各ワイナリーで用意されているフィンガー・フードを頂き・・と、これを素晴らしいお天気の中で、
の〜んびりやるのは最高のリラクゼーションになります。

しかも、このイベントの素晴らしいところは、チケットを予約・前払いする必要がなく、訪れた最初のワイナリーで10ドル払えば良い
だけだということ。10ドル払えば、リストバンドをつけてくれて、専用ワイングラスがもらえ、それだけで100軒ものワイナリーを
どんどん回ることができるのです。たったの10ドルで、です。素晴らしい。

以下、その金曜日に訪れたワイナリーについて、ご報告します。(訪れた順)

 

Dutton Estate

 
 「ダットン」という名前は、ソノマ・カウンティのワインを見ていると必ず、
 しかも頻繁に目にすることと思います。まず、ヴィンヤードとしての「ダットン・
 ランチ」は、1880年代に故Warren Dutton Sr氏が開墾し始めました。
 当初は、リンゴやプルーンを栽培していて、「ダットン」と言えば「果物」と
 して認知されていました。ウァーレンSrの兄弟リード・ダットンの曾孫にあたる
 ウァーレンJrの時代に、ワイン用葡萄の栽培が始められ、現在に至ります。
 そのウァーレンJr(01年に他界)の息子、スティーヴさんが「Dutton
  -Goldfield Winery
」を、ジョーさんが「Sebastopol Vineyards」を興しています。
 このうち「セバストポール・ヴィンヤーズ」が、02年ヴィンテージものから、「ダットン・エステート」名で
 ワインを出すようになり、ワイナリーもこちらの名前に変わっています。
 当日は、セバストポール・ヴィンヤーズのシャルドネ、ロゼ、ダットン・エステートのシャルドネ、ピノ・
 ノワールの「
soon-to-be-released」をテイスティングに出されていました。
 ダットン・エステートのピノ・ノワール、単一畑もの3種(
Jewel Block, Manzana, Thomas Road
 05年は、いづれも甲乙つけがたく素敵なワイン。
 最初からこんなに飛ばして大丈夫かと思いつつ、やめられない止まらない。
 
Marimar Estate

 
 ちょっと前まで「Marimar Torres」というブランド名でした。スペインは
 バルセローナ生まれのオーナー、マリマー・トレスさん(女性)の洗練された
 センスが散りばめられたワイナリーは、澄み切った青空の下で、何と美しく
 輝いていることでしょう。ワインもさることながら、セバストポールのちょっと
 奥まったところにある当ワイナリーそのものを見るだけでも、訪れる価値あり。
 当日は、Don Miguel Vineyardのシャルドネ、Doña Margarita Vineyard
 ピノ・ノワールがバレル・テイスティングで出されていました。
 ここのワインは全て自家農園のフルーツで、ヴィンヤードはオーガニック。
 ワインメーキングに携わっておられるのだろう若い男性が、とても活発・フレンドリーな人で、
 私が、レモンの木を見て「これはマイヤー・レモンかも」とつぶやいていたら、「マイヤーだよ!」と
 話しかけてくださり、それから約10分ほど、料理におけるマイヤー・レモンの使い方について、
 あ〜でもない、こ〜でもないと二人で話し込んでしまいましたとさ。
 
Sbragia Family

 
  Sbragia
さんと言えば、ベリンジャーのワインメーカーとして大・有名ですが、
 彼が子供を育てたドライ・クリーク・ヴァレーにご自身のワイナリーを建てられ
 ました。ドライ・クリーク・ヴァレーの北端近く、もうすぐレイク・ソノマに達すると
 いうカントリー・サイドに、ど〜んとワイナリーがそびえ建っています。
 立派な門構え、このあたりでは最大規模と思われる駐車スペース。
 まわり一面、丘陵ヴィンヤード。素敵なセッティングなのに、ああ、何故でしょう。
 建物がまるでどこかの学校のよう。或いは、モダンな公民館。もうちょっと、
 どうにかならなかったかと唖然。 「あなたの知ったこっちゃない」なのですが。
 バレル・テイスティングは、スブラギア氏の息子さん、アダムさんが
  Gino's Vineyard
のジンファンデルをサーヴしておられました。
 テラスが広々と取られていますし、駐車場も大きいので、団体で訪れることも可能。
 テイスティング・ルームが一般公開されていることが、あまり宣伝されていないのですが、
 火曜・水曜以外は毎日オープンしています。
 
Rued Vineyards

 
 去年10月、ドライ・クリーク・ヴァレー地区をお客様と一緒に回った時、
 もうすぐ完成しそうな建物がありました。新しいワイナリーができるのかな?
 と思っていたのですが、今回、その建物がこの「Rued」(ルーエド)であること
 がわかりました。イベント参加ワイナリー・リストには、土・日のみオープンと
 なっていたので訪問予定には入っていなかったのですが、金曜日の
 その日も開いていたので、どんなものかなと思い、立ち寄ってみました。
 が、これが大正解。
 同行のロバートが、「Ruedって、マリマー・エステートの葡萄に、そういうクローンの名前があったね」
 と鋭い指摘。ルーエド一家は、ソノマ・カウンティで5代に渡って葡萄造りをしてこられています。
 テイスティング・ルーム付きのワイナリーが完成したのが、昨年11月。
 できたてホヤホヤです。
 バレル・テイスティングは、5代目ご主人が2005年のドライ・クリーク・ヴァレー
 、ジンファンデルをサーヴ。ジンファンデルの中でも、ロシアン・リヴァー・ヴァレー、
 ドライ・クリーク・ヴァレー地区のものが個人的に大好きなのですが、このバレル・
 テイスティングしたジンファンデルの、何とキュートな味わい!一口含んだ瞬間、
 「ワオ!」と、ロバートと二人顔を見合わせてしまいました。
 「ずっと、フルーツを他ワイナリーに売ってきたけど、私達が造るこのワインも、
 結構美味しいと思いますよ。」と、ものすごく謙虚なルーエドさん。
 ジンファンデルのほかに、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニョンなどを出して
 おられますが、いづれも、彼同様、値段が謙虚。
 シャルドネなぞ、18ドルで、これがとってもナイス。
 ジンファンデルだって24ドルです。迷わず、2004年ものを購入しました。
 奥様のDeeさんが、また素敵なレディ。この日一番の収穫でした。
 
Nalle Winery

 
 ドライ・クリーク・ヴァレーのジンファンデルを極めていくと、ここを無視するわけ
 にはいきません。
 まったく今風でない、大胆なラベルは一度見たら忘れることができない類のもの。
 昔は、山(ヨセミテとか)に入っていく時、ここのワインを買って、ハイキングのあと
 のバーベキューで飲む、というのが好みのパターンでした。
 という話はさておき、当ワイナリーの大きな特徴は、その建物です。
 ローズマリーがぎっしり植えられた屋根は、他ではあまり見かけません。
 ローズマリー屋根(と勝手に名づけてますが)のおかげで、その建物の中は
 天然エアコンディショニング状態。
 余談:Nalleは「ナール」と発音されるのですが、日本では「ノール」という
 名前で売られているのだそうです。
 
Sapphire Hill
Holdredge Wines

Davis Family Vineyards
Christie Vineyards

 
 ヒールズバーグの街には、ワイナリーのテイスティング・ルームが何軒かありますが、
 ダウンタウンからほんの少し離れたロシアン・リヴァー沿いに、数軒のワイナリーが集まって
 いる場所があります。

  「サファイア・ヒル」は、ピノ・ノワールで名をあげていますが、数年前オーナー
 兼ワインメーカーのTim Meinken氏とお話した時、「ロシアン・リヴァー・
 ヴァレーのジンファンデルが個人的にものすごく好きでねえ・・」とおっしゃって
 いたことを覚えています。
 あれから5年ほどがたち、希望通りにオールド・ヴァインを使ったジンファンデル
 を出しておられます。樹齢101年というWinberrie Vineyardジンファンデル
 の06年ものがバレル・テイスティングで出ていましたが、フルーツ風味炸裂、
 ちょっぴり甘いハーブのアロマ。
 奥様のAnneさんに「ジンファンデル好きのためのジンファンデルですね」と申し上げたら、
 「是非、これもテイストしてみて」と、マグナム・ボトルを指差されました。
 その名も「VineAgra ジンファンデル」。 (声を出して読んでみてください)。だから、マグナム(笑)
 マグナムでしか販売していないものですが、これが意外とイケました。結構するする飲めて
 しまったのが自分でも驚き。ですが、さすがにマグナムは買えない。

 「ホールドレッジ」は、ピノ・ノワールが主体、あと少量のシラー、ジンファンデルを造っている
 総生産量1000ケース程のブティック・ワイナリーです。
 バレル・テイスティングは、ピノ・ノワール、ジンファンデルの2006年もの。
 スワン・クローン(要注目のクローン)のフルーツが使われている方のピノ・ノワールが、
 earthyで深遠で素敵でした。
 ここまで来て、ようやくデザート・ワインが出てきたのも嬉しかった。
 レート・ハーヴェスト・ピノ・グリも良かったけれど、06年ヴィンテージから出されるレート・
 ハーヴェスト・ゲヴェルツトラミナーが、甘スパイシー(私の造語です)で、とてもナイス。
 
 「デイヴィス・ファミリー」は、通りを隔てて川側にあります。
 ファンキーなトーテンポール(?)が目印の、ガレージ・ワイナリー的建物。
 小石が敷き詰められている上にガラスを乗せてあるテイスティング・カウン
 ターがお洒落で、 ラベルのデザインと言い、ちょっと気にしておきたい
 ワイナリーです。
  私が訪れた5分後くらいに、15名くらいの団体がドドド〜と入ってきたため、
 ゆっくりテイスティングすることができなかったのもありますが、ここが
 この日8軒目で既に50種類くらいのワインをテイストしてきていたので、もう、
 いい加減何が何だかわからなくなってきてました。
 メモも取らずに、ふ〜らふ〜ら回っていた罰です。
 でも、デザート・ワインにも目がない私は、カウンターにそれらしいボトルを発見。
 ジンファンデル・ポートでした。団体さんの間を縫って、これだけテイストさせてもらい、
 気に入って一本購入。まったく懲りていない。

 「クリスティー・ヴィンヤーズ」は、当イベントのリストにも載っておらず、
 上記ワイナリーが集まっている所の更に奥まったエリアにあるので、
 見逃してしまうところでした。
 ワインメーカーさんレシピだというクラム・チャウダーがとても美味しくて、
 「エステート・シャルドネと合わせると、もっと美味しいよ。」ということでしたが
 バレル・テイスティングしていたジンファンデルとも、意外にマッチしており
 ました。クラムチャウダーとジンファンデル・・???
 アレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニョンも造っておられますが、
 ドライ・クリーク・ヴァレーのジンファンデルが断然ナイス。
 

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