ズーニー・カフェ

今まで、どちらかというと新しくオープンしたレストランを中心に取り上げてきましたが、
今回は、サンフランシスコの老舗をご紹介します。

【数々の賞】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　画像をクリックしてご覧下さい。

                サンフランシスコのレストラン・ガイド、ダイニング・ガイド
                の類で、「Zuni Cafe」を載せていないものは、おそらく
                ないと思われます。オープンしてもう、２０年以上にも
                なる老舗ですが、オーナーが変わったり、スタイルを
                変えたり、さっさと閉めてしまったり、と、目まぐるしく
                変わるレストラン業界にあって、ずっとその人気と評判
                を保っているというのは、すごいことです。

                2003年には、James Beard Foundationの、「Outstanding Restaurant」
                「Cook Book of the Year」で賞を取っていますし、同じ協会から、２００４年には、
                「Outstanding Chef」で賞を取っています。「ベスト・シェフ」のカテゴリーでは、
                1993年からほぼ毎年ノミネートされていて、一度2000年にWinnerとなっています。

                街を斜めにずど～んと突っ切るマーケット・ストリートの、
                丁度中間点あたりに、レストランはあります。
                天気が良いと、通りに出されたテーブル席が心地よいの
                ですが、店内もなかなか素敵です。
                一階は大きな長いバーの存在感がすごく、その奥が
                オープン・キッチンになっていて、地元の人達、常連客で
                常に賑わっています。
                微妙～～に傾斜している階段を上がって２階には、
                白いテーブル・クロスがかけられた、クラシックなダイニ
                ング・スペース。
                窓際の席からは、マーケット・ストリートが見下ろせて素敵です。

                さほど広くないスペースですが、建物のあらゆる空間にテーブルが上手にセットされており、
                我々のテーブルも、きっちり３人用、すぐ隣は、なんと一人席でした。（私達がいる間、
                誰もここに座りませんでしたが）

                新しい店がどんどん登場してきて、そちらに気を取られて
                訪問を重ねるうち、ここベイエリアに２０年住んでいるの
                に、Zuni Cafeに一度も来たことがありませんでした。
                評判はもちろん知っていましたし、「やっぱり私は、
                Zuni Cafeが一番好き」と公言する食べ歩き好きの
                友人もいて、でも「いつでも行ける」という思いが、
                今までここに足を向けなかった理由でした。ここを訪れなくして、食べ歩き好きと言うな、です。

午後６時の予約で食事を始めましたが、７時になる頃には満員御礼状態。私達のテーブル担当の
ウエイトレスさんは、キュートでフレンドリー、手際よくサーヴしてくださいました。

メニューは、グラス・ワインのメニューも含めて、日替わり

                です。ここの名物と呼ばれるディッシュもあり、それを
                目当てに訪れる常連客もいるようです。
                パっと目を引く、個性的な斬新なメニューではありま
                せんが、どれを注文しても間違いないのではないかと
                思われます。少なくとも、私達が注文したディッシュは、
                これこそ「王道」と言うべき、素晴らしいものでした。
                「あら」「わ～」「へえ～」という感嘆詞が間断なく出る、
                そんなディッシュでした。

                店全体がカジュアルでありながら、顧客は年齢層が高く、皆さんこの店の食べ物が大好きで
                来ている、といった雰囲気があり、なんだかとても居心地が良いのです。
                こんな素材が、こう調理するだけで、こんなに美味しくなるのか！といった目からウロコ的
                感動もあり、季節が変わったら、また食べに訪れたいと思うようになります。

この店が、長い間人気を保ってきているのも、これは当然だなあと、しみじみ思わされました。

                サンフランシスコはシーフードの街として知られています
                が、おいしいオイスターを揃えている店は、意外に多く
                ありません。オイスター・バーを前面に出している店
                でも、サーヴした時に、どれがどのオイスターかをちゃんと
                説明してくれなかったり、聞いたら「ちょっと待って」と
                引っ込んで、メモを片手に頼りない説明をしたり、
                なんてことがあります。
                日替わりでメニューが替わるズーニー・カフェでは、
                オイスター・メニューも日替わりです。その日に揃って
                いるものが、メニューの上に丸印が書き足されていました。
                大好きなプリンス・エドワード島のものがなかったので、
                ブリティッシュ・コロンビア産、カリフォルニア産、ワシントン州産の３種類を注文しました。
                ヒットは、ブリティッシュ・コロンビア産の「Sinku」というオイスターでした。美味。

                まず、シュリンプの活きの良さ、そのプリプリ感に
                感動しました。一皿に３匹のシュリンプで、３人で
                分けましたから、一人１匹という情けなさでしたが、
                かえって、そのありがたみが増すというものです。
                レモンのジャムがアクセントになっていて、グリーン・
                オリーヴ、ひよこ豆がこれまた美味。
                Harissaという、スパイス・フルーツとトマトから作ら
                れるソースが使われていて、ほんのりピリ辛の
                味わいを出しています。

                おそらく、楽器のピッコロと形が似ているから、こう
                いうメニュー名になっているのかと思います。
                玉ねぎとアスパラガスのフライ・・という、実に何
                ということのないメニューなのですが、このアス
                パラガスの魅力的だったこと！
                何とかという小麦粉（教えてくれたのですが、
                わからない）でコーティングして揚げられており、
                塩味がしっかりした味わいに、同席の友人らと、「うわあ」と声を上げました。
                付け合せのフェネル・サラダも、口の中がさっぱりする効果を出していて、
                この一品だけで、また来たいと思いました。

                店内、照明をぐんと落としているおかげで、もう
                写真を撮るには暗い、暗い。右の写真、取り込み時
                に明るさを目一杯上げましたが、これで精一杯です。
                リゾットは、アーティチョーク、トマト、黒いシャンテレル・
                マッシュルームが細かく刻まれて盛り込まれています。
                上にどんと乗っているのは、ラムのソーセージ。
                このソーセージだけで別ディッシュ作って欲しいです。
                Chimichurriという、アルゼンチンで一般的なソースがベースになっていて、
                ワインが進む、進む。

                夜も深まり、更に写真も何が何だかわからない。
                一階のキッチンに、れんが造りのオーブンがあり、
                そこでローストされています。どっさり新鮮な
                mesclunという野菜に、トーストされたアーモンド
                が散らばされています。サラダもおいしかったです
                が、香ばしいひな鶏の皮とお肉が素晴らしかった
                です。
                結構な量ですので、ひとりで食べきるのはきつい
                かもしれません。私達は３人で、二皿の肉料理を
                注文し、わけあいましたが、それで丁度良かった
                ようです。

                この肉厚さ！これだけの厚さがありながら、
                しっかり中まで火が通っていて、しかもジューシー
                さが充分に残っています。
                こういうのは、材料は揃えられても、家で作る
                のは難しいです。火を通しすぎてパサパサするか、
                ポークのミディアム・レアという、ちょっと怖いもの
                になってしまいます。
                そら豆が入ったマッシュ・ポテトと、可愛らしい
                ベイビー・キャロットも美味。
                Merry Edwardsの2001 Pinot Noir Russian River Valleyを
                飲んでいましたが、ワインも美味しいし、お肉も美味しいし、で、うっとりしてました。

ズーニー・カフェ Zuni Cafe
住所	1658 Market Street, San Francisco
電話番号	(415) 552.2522
ウエブサイト	残念ながら、ありません。
営業時間	火曜～土曜：午前１１時半～深夜０時日曜：午前１１時～午後１１時。　月曜定休。
メモ	★ワインも充分にありますが、シングル・モルト・　　スコッチやテキーラの品揃えも素晴らしいです。　　大きなバーの存在感にふさわしい。　★名物メニューは、チキンの丸ごとローストで、　　二人用、注文から約５０分を要します。　　次回、食べてみたいものです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2005年3月現在）